2011年8月10日水曜日

蕎麦屋情報一筆:「茗荷庵」(羽咋市神子原町)

 表記標題の初出は「探蕎」会報第35号(平成18年12月5日発行)の蕎麦屋情報一筆の欄で、訪ねたのは平成18年(2006)9月17日である。  「晋亮の呟き」に再録する。

 山へ行く予定が秋雨前線と台風13号の襲来で延期になり、それではと、かねて訪れたいと思っていた羽咋市神子原町の「茗荷庵」へ出かけた。連れは家内とその友人。名前が同じ孝子なのも何かの縁か。午前10時に家を出る。国道159号線の飯山交差点を右折して、国道415号線に入り、神子原町に到る。辺りは山間に開けた田園風景が広がる長閑な一帯で、そのそば屋はその国道沿いにある。着いたのは11時過ぎだったが、もう我々のも入れて、車が4台、石川ナンバー2台、富山ナンバーが2台、氷見に近いこともあって、富山の人も多く訪れるようだ。この「茗荷庵」については、「探蕎」会報第24号に、松原さんが「元六兵衛、いま茗荷庵 辛いおろしそば」の一文を既に寄稿されている。
 「茗荷庵」は神子原町で開店して4年目になるという。暖簾をくぐると右手に打ち場があり、ガラス越しに中が窺える。左手通路を挟んで右手はカウンターになっていて、止まり木が5つ、左は上がり框になっていて、10人は座れる大きな囲炉裏と6人座れる座卓が2つ置かれている。お品書きは、「冷」が、ざる・おろし・とろろ・天ざる、「温」が、かけ・山かけ・おろし・ニシン・鴨南蛮・天ぷら。飲み物は、そば焼酎・ビール・酒。酒には銘が入ってなく、ただ「酒」とあるだけ。女性は「天ざる」、小生は「鴨南蛮」を所望する。
 先ず冷酒が来る。藍色の瀟洒な湯飲み風の片口に、対の盃とつまの蕎麦味噌、温物は後で案内があった時にお持ちしますとの付言、中々気が利いている。次いで女性に「天ざる」が届く。天ぷらは角盆に乗り切らない6種盛り、そばは角の塗った蒸篭に盛られている。一筋摘まませてもらう。細いが中々コシがあってしっかりしている。喉越しも良く、上等だ。お酒をお代わりし、鴨南蛮を出してもらう。温かいそばは、駅の立ち食いそばを除けば、廃業した「砂場」のそば以来だ。そばを手繰ると、温かなのにしっかりコシがある。これは余程しっかり打たないとこうはゆくまい。早々にそばをすべて手繰り、残りの鴨と葱を肴に酒を干す。この鴨と葱は絶妙の火の通し加減、実に美味い。つゆの味加減も抜群、すべて飲み干した。
 備えの芳名禄を見ると、石川・富山以外の地域からも結構来店している。そんなに宣伝しているとは思えないから、恐らくは口コミなのだろう。また訪れたい店の一つだ。少し遠いが、環境も良く、素晴らしい立地条件と言えよう。今度は松原さん推奨の「おろしそば」を賞味しよう。
 営業は午前11時~午後4時、でもそばが無くなり次第終了。定休は水曜日。電話は 0767-26-2419

 [付記] この後、七尾市国分町の「欅庵」へ寄った。ここで食べた「辛味おろしそば」の辛味大根の辛さは素晴らしく、家内はその大根下ろしを除けて食べる始末。後で店主の岡崎さんに聞くと、信州伊那の「みのわ大根」とか、直径が10cmばかりの丸い大根、今まで扱った大根の中では最も辛いと仰る。また丸いもの程辛いとも。私にとってもこれまでで最高の辛味だった。

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