2017年11月8日水曜日

白山白川郷ホワイトロードと中宮温泉

1.錦繍の白山白川郷ホワイトロード
 10月27日の金曜日、私は治療から帰って家で寛いでいたが、あまりにも天気が良いので、俗称スーパー林道にでも出かけようということになった。今日は平日なので道路も空いていようからという心づもりもあり、家を出たのは10時半、事実道の駅瀬女までは車の通行量も多くはなくウハウハでノリノリだった。ところが瀬女に着くと駐車場は一杯、山猫で蕎麦でもと思って訊ねると、カミさんでは40分は待って下さいとのこと、それで道の駅で少々の食べ物を調達して出立することに。尾添から一里野、さらに中宮へ、まだ車の量はそれ程多くはない。ゲートの中宮料金所でも前には2台のみ、もうこの辺りの狭まった両岸の山肌は錦繍の黄葉、陽が当たって輝くばかりだ。時刻は正午、左岸に付けられた林道を進むと、対岸に先ずしりたか滝、そして赤石の滝、いずれもその対面には車を数台停められるスペースがあるものの満車状態、被写体としても格好だ。私達は停まることもできず通過する。次いで岩底の滝、ここも満車状態。蛇谷大橋を渡り対岸の右岸へ、左手に優しいかもしか滝、次いで車20台は停められよう蛇谷園地のパーキング、でもここも満杯、対岸の親谷には姥ヶ滝が見えている。ここから谷へ下りると親谷の湯がある。さらに車を進めると、この谷最大の落差のふくべの大滝がある。でもここも駐車スペースはほとんどない。仕方なく更に上へ、でも国見展望台も満車、しかし林道からの眺めは抜群だ。ふくべ上園地の広い駐車場で漸く駐車でき、ここで一旦休憩する。ただここは余り眺望は効かない。車を進めて白山展望台へ、さらに進めると栂の木台駐車場、標高は 1450 m、ここからは県境稜線の瓢簞山 (1637) が見え、稜線近くの木々はもう落葉して枝が白くなって見え、冬の気配を感じさせる。一方反対側には雪を頂いた白山を遠望できる。そして三方岩隧道を抜けると岐阜県、ここは駐車場になっていて、ここからは容易に三方岩岳 (1450) に登られる。家内とも数回訪れた山だ。東方には新雪で真っ白な立山・剣岳が望見できた。
 ここから岐阜県側へ下る。ただ植生の違いからか、山肌は石川県側が錦繍なのに比し、岐阜県側はくすんだ茶色、雲泥の差だ。でも途中のスポットから見える白山北方稜線に位置する名山の笈岳 (1841) と大笠山 (1821) の眺めは素晴らしい。そして東方向には新雪の薬師岳も見えている。白川郷展望台のある蓮如茶屋をパスし、馬狩から鳩谷へ下りた。ここからは国道 156 号線をひたすら北上、五箇山上梨のそば屋「拾遍舍」で遅い昼食、地酒の三笑楽で喉を潤す。何度か来たことがあるが久しぶりだった。聞けば開店して25年経ったとか。

2.中宮温泉「くろゆり荘」
 翌週の11月2日、予約してあった「くろゆり荘」へ出かける。この日も快晴、当初は飛騨回りで行こうと計画していたが、先週通ったので、今日は直接宿へ。家を午後2時半に出て、宿へは4時に着いた。この日の泊まりは4組10人とか、記帳して部屋へ。部屋は全部で7室、1階には豪華な洋室1室、2階には和室6室、私達が入ったのは8畳間だった。明るい部屋で、窓からは蛇谷右岸の紅黄葉に彩られた急峻な山肌を間近に見ることが出来る。ところで部屋にはカメムシが、見つけたら粘着テープで捕って下さいとある。部屋でこの虫に出くわしたのは、小谷温泉、板ヶ谷温泉に次いでこれで3度目、でも粘着テープの利用とは賢い方法だ。朝までに7匹をゲットした。窓を開けられないわけだ。
 先ずは風呂へ。源泉はこの奥にある「にしやま旅館」と同じで、加水・加温なしの掛け流しの湯、湯船には樋を利用して湯量を調節し温度を調整する仕組み、無色透明な湯だ。窓を大きく取ってあり、浴室からは紅黄葉の林や山々を居ながらにして見ることができる。充分に温まってロビーへ、生ビールが美味しい。主の乾 (いぬい) さんと談笑する。今年の営業は 11月12日 までとか、スーパー林道も 16 日までで冬季休業に入る。もう一度来ようと思ったが、今期は調整が付かず、来期にしよう。自販機がなく、瓶ビールを貰い部屋で寛ぐ。
 夕食は1階のレストランで、明るい空間に頑丈な大きめの4人掛けのテーブルが5脚、夕食のコンセプトは「白山の恵みを、和に洋に」だとか、要はこの周辺で採れる山菜や茸をふんだんに使い、薬膳風に調理して提供するのだとか。ここの3人のスタッフ は皆さん中医薬膳指導員の資格をお持ちとか、他では味わえない品々が登場する。温泉水もふんだんに利用しているとか。お酒は手取川の常温、家内はビール、ゆっくり時間をかけて食事をした。
 翌朝の朝食のコンセプトは「発酵食で胃腸を元気に」とか、温泉水で炊いた温泉粥と発酵食品の数々、全部平らげ、お粥をお代わりした。ここでの薬膳、子供たちにはちょっと抵抗があるかも知れないが、年寄りにはすごく有り難い食事だった。
 終わって暫し乾さんと談笑した。乾さんはこれまでスウェーデン、ノルウェー、フィンランドにまたがるスカンジナビア半島北部のラップランドに4回も出かけておいでで、そこに住む先住民のサーミとはずっと交流を続けているとか、沢山の資料を見せて頂き、また貴重な話を聴かして貰った.また白山北部の登山道や山小屋の整備にも力を入れておいでで、その苦労話もされた。貴重な時間だった。
 ふと書棚を見ると、白山にコマクサの種子を蒔いたとされる故 R 氏の小冊子 (没後、長男さんが上梓、非売品) が。後日コマクサが生えているのが見つかり、国は1900 株全部を根絶やしにするとかだったが、その後どうなったろうか。私は同伴の人からその場所の詳しい地図を書いていただいたが、私はその場所にはまだ行ったことがない。白山にはほかに御前峰と大汝峰にも植生されているのを確認しているが、私ももう5年出かけていないのでその後の消息は不明である。冊子の冒頭には彼の辞世の句が書かれていた。乾さんはこれに気付かれていなかったという。
 「しら山の 神にたむけし 駒の草 夏来たりなば 永久にさくべし」
 「いわ原に 気品もて咲く 駒の花 よもの山々 従えしごと」
 「