2013年8月30日金曜日

白川義員の「永遠の日本」に見る日本の原風景〔3〕

 ここでは第2章の名瀑の20滝の写真32点について紹介する。

第2章 名 瀑 Waterfalls
2−1 北海道をめぐる
● 羽衣の滝  (1):北海道中央の大雪山群の天人峡にある7段の滝、落差は 250m。「世界百名瀑」に選定されている。
● 銀河の滝・流星の滝(2):大雪山群の層雲峡にある滝で、前者は落差 120m で別名は雌滝。後者は落差 90m で別名は雄滝、2滝合わせて以前は夫婦滝といわれていた。この滝も2滝合わせて「世界百名瀑」に選定されている。
● オシンコシンの滝(3):知床八景の一つに数えられるこの滝は、知床の入口のウトロ港のまだ手前にあって、国立公園からも世界自然遺産からも外れている。でも落差 80m、幅 30mの知床最大の滝である。
2−2 関東・東北をめぐる
● 湯滝(4-5):奥日光戦場ヶ原の北にある湯ノ湖から流れ落ちる滝で、落差 50m、幅 25m。この水は湯川となって戦場ヶ原を横断し、竜頭の滝となって再び落下し、中禅寺湖に入る。紅葉の時期が素晴らしい。華厳の滝、竜頭の滝と合わせて奥日光三名瀑とされる。
● 霜降の滝(6-7):日光の華厳の滝の北東にある日光三名瀑の一つ。上下2段の滝で、上段は落差 25m、幅 15m、上下合わせて落差 75mとされる。新緑も瑞々しくて良いが、紅葉の華麗さには及ばない。
● 袋田の滝(8):茨城県大子町にある 滝の高さ120m、幅 73m、大岸壁を4段になって流れるので「四段の滝」といわれる。この滝は、華厳の滝、那智の滝とともに日本三名瀑と呼ばれる。滝と周辺の風景は良いが、滝の上は畑と民家になっている。
● 梅花皮 (かいらぎ) の滝(9):山形県小国町にある 落差 270m、7段の滝である。「世界百名瀑」の選定にあたり、アメリカやドイツの委員から提示された日本を代表する6滝中の1滝である。彼らは衛星写真で発見した。日本人が知らない滝があったことに驚く。
● 華厳の滝(10 - 11 ):霜降の滝、裏見の滝と合わせて日光三名瀑布とされる。落差 97m、幅 7m、807年に日光を開山した勝道上人が発見したと伝わる。
● 秩父・丸神の滝( 12 ):埼玉県子鹿野町にある3段の滝。上段 12m、2段目 14m、3段目 50mの滝。
2−3 北陸・中部・東海をめぐる
● 白山・阿弥陀ヶ滝( 13 ):岐阜県郡上市にある落差 60m、幅 7m の滝。723年に白山を開山した泰澄によって発見され、天文年間長滝寺の僧が護摩を焚いて修行中、阿弥陀如来の姿が現れたことかsらこの名が付いた。滝の姿が阿弥陀如来の立ち姿に似ている。
● 称名の滝(14 - 15 ):立山弥陀ヶ原の大地を浸食してできたゴルジュの先端から落ちるのが日本最大の名瀑で、落差が 349m あり、「世界百名瀑」に選定されている。
● 七ツ釜五段の滝( 16 ):山梨県西沢渓谷の最奥にある有名な滝で、落差は上4段が 35m 、最下段が 20m 。
● 七味大滝( 17):長野県高山村の七味温泉の奥にある落差 20m の滝。
● 白糸の滝( 18 - 20 ):静岡県富士宮市にある高さ 20m、幅 200m、水量毎秒 1.5 t の滝である。「世界百名瀑」。白糸の滝は全国12の県に14滝ある。中でも山形県の白糸の滝は落差が 120m あり、最上四十八滝中最大である。また山梨県富士吉田市の白糸の滝は岩盤うえを140m にわたって滑り落ちる。
2−4 近畿・中国をめぐる
● 布引の滝( 21 ):三重県熊野市にある4段落差 53m の滝。白い反物をすっと投げたような姿である。
● 千尋 (せんひろ)の滝( 22 ):奈良県上北山村にある落差 85m の滝。滝に太陽が当たるのは日の出直後の早朝のみ、撮影は容易ではない。
● 鼻白の滝( 23 ):和歌山県新宮市にある上段の一ノ滝 45m 、下段二ノ滝 38m の滝である。
● 荒滝( 24 ):布引の滝の 200m 手前に落差 25m のこの滝がある。修験道の水行の場である。
● 中ノ滝・西ノ滝( 25 ):奈良県上北山村、大台ケ原にある。西ノ滝 落差 150m、中ノ滝 落差 250m、東ノ滝 落差 25m もある。「世界百名瀑」に選定されている。
● 那智の滝( 26 -28 ):和歌山県勝浦町にある落差 133m の日本有数の名瀑。一の滝とも呼ばれ、上流には那智四十八滝がある。この滝の最大の特質は、落下する水が信仰の対象であること、水そのものが御神体で、こういうのは世界に例がない。
● 神庭の滝( 29 - 32 ):岡山県真庭市にある落差 110m、幅 20m の西日本一と称される豪快な滝である。滝の下半分には虹がかかり、見事な色彩の滝である。

白川義員の「永遠の日本」に見る日本の原風景〔2〕

 ここでは、第1章 名岳 後半の51点について紹介する。
(承前)
1−4 上信越をめぐる
● 浅間山 (2568m) (55) 浅間山:残雪深い山頂火口を東南方向から空撮.(56) 浅間山噴火口鳥瞰:噴火口真上からの鳥瞰. 直径は450m, 最も有名な噴火は 1787年の大噴火, その時の溶岩流が鬼押出し, 実に危険な撮影だった.
● 妙高山 (1977m) (57) 妙高山:中央火口丘から西望. 火打山, 焼山, 裏金山, 金山, 雨飾山まで妙高連峰が延びる.
● 谷川岳 (1977m) (58) 谷川岳一ノ倉沢衝立岩鳥瞰:衝立岩をヘリコプターから真下に向って撮影.(59) 一ノ倉沢衝立岩正面:下方に左右に延びる湯檜曽川周辺は紅葉真っ盛りであるが, ここ一ノ倉沢は紅葉も終わり, 上部には既に新雪が来ている.
1−5 南アルプスをめぐる
● 北岳 (3193m) (60) 北岳:冬の北岳を南から空撮.
● 赤石岳 (3120m) (61) 赤石岳と南アルプス連峰:赤石岳上空から南アルプス北望.
● 聖岳 (3013m) (62) 聖岳:冬の聖岳を北から空撮.
● 仙丈ヶ岳 (3033m) (63)  仙丈ヶ岳:冬の仙丈ヶ岳を西から空撮.
1−6 富士山をめぐる
● 富士山 (3776m) (64) 満月と富士山:箱根仙石原の北にある金時山から夜明けに撮影した満月と富士山.(65) 富士山赤変:富士山上部を日没直前に北西方向から撮影. この方向からのみジグザグの登山道が見えない.(66) 富士山乱気流:日の出直後, 箱根スカイラインから撮影した富士山と逆巻く雲. 1週間通った. この時刻, 人工物は写らない.(67) 富士山火口:夕方北西方向から撮った富士山火口. 直径約800m.(68) 富士山朝光:箱根スカイラインから撮影した日の出10分後の富士山. 眼下に雲が張りつき, 人工物は見えない.(69) 落日と富士山:山頂に沈む落日を東方向からセスナ機で撮った.
1−7 大山をめぐる
● 大山 (1729m) (70) 大山紅葉:奥大山の紅葉と大山.(71) 大山夕照:有名な鍵掛峠の紅葉と大山南壁. 夕方快晴になって, 長波長の赤い光が紅葉を一層際立たせた. 三脚が林立していた. (72) 大山南壁遠望:大山は南面が最高である.(73) 大山夏景:鍵掛峠から真夏に撮った大山南壁.(74) 大山と落日:北東方向から空撮した大山と落日.(75) 大山東壁:厳冬期の夕方空撮.(76) 大山西面:日没直前, 真っ赤に染まった大山西面を空撮した.(77) 大山南壁:日没前に赤く染まった南壁を空撮.(78) 大山北壁:夕方の大山北壁を空撮.(79) 晩秋の大山:一ノ沢の紅葉と大山南壁.
1−8 九州をめぐる
● 雲仙岳 (1483m) (80) 平成新山:平成2年11月の始まった噴火で, 報道陣を中心に43名が死亡した.
(81) 平成新山と月:日の出直後に真東から撮った平成新山と落月.(82) 平成新山頂上岩塔:平成新山の頂上をヘリから俯瞰撮影.
● 阿蘇連山/阿蘇中岳 (1506m) (83) 阿蘇根子岳:南東から見た阿蘇根子岳. 阿蘇六岳の中でこの山だけが山容も鋭く特異な山である.(84) 阿蘇中岳第一火口:阿蘇六岳の中で噴煙を上げているのは中岳で, 4つある火口のうち生きているのはこの第一火口のみ.(85) 冬の中岳第一火口:季節を変えて4度空撮したが, 冬には明らかに煙の量も多く, 水面は白かった.(86) 沸騰する火口:中岳第一火口は強烈な酸を産出し煮えたぎって白煙を噴き上げている. 生きているようだ.
● 由布岳 (豊後富士) (1584m) (87) 由布岳:日の出直後に南から撮影.(88) 由布岳頂上:頂上を冬季の夕方に空撮.
● 九重山群/中岳 (1791m) (89) 九重硫黄山と阿蘇遠望:画面左には九重硫黄山が, 右奥には阿蘇中岳が噴煙を上げている. 冬の日没近くの風景。(90) 三俣山:三俣山を5月下旬に撮影. 一面にミヤマキリシマが咲いている. 緑とピンクのコントラストが素晴らしい.
● 霧島火山群/新燃 (もえ) 岳 (1421m) , 高千穂峰 (1574m) (91) 噴火前の新燃岳:2011年1月に突然大爆発. その3ヵ月前にヘリで空撮.(92) 噴火後の新燃岳:大噴火後の3ヵ月後にヘリで空撮.(93) 新燃岳残像:噴火する前の新燃岳の火口全景.(94) 新燃岳俯瞰:噴火後の火口全景.(95) 高千穂峰:霧島火山群の名山. 噴火口は御鉢と呼ばれ, 直径500mもある.
● 桜島 (1117m) (96) 朝焼けの噴煙と満月:朝焼けと満月と噴煙の三拍子が揃うのはただただ運次第である.(97) 桜島噴火の瞬間:ここに掲載した9点の写真は, 2011年3月から4月にかけての26日間に, 夕方から明け方にかけて撮影したものである.(98) 噴火と火山雷:噴煙が物凄いと火山雷が発生する.(99) 噴火する昭和火口:噴火口が南岳の東斜面にあるため, 撮影は東からに限られる. 毎日撮影者が押し寄せる.(100) 桜島閃光:噴火した火が火口周辺にばらまかれた.(101) 黒煙と火花:風下 (南東) にいると, 爆発的噴火でも猛烈な噴煙で火が隠されてしまう.(102) 火柱立つ:猛烈な噴火では火柱が立つが, 猛烈な噴煙で一部が隠される. こんな時に火山雷が発生する.(103) 桜島沸騰:噴火を大写しで撮るには, 桜島一周道路東側以外にはない.(104) 桜島燃ゆ:地元テレビ局が初めて夜の噴火を撮影した場所で撮影. 夜中に風向きが変わると, カメラに火山灰が降り積もる.(105) 火花舞う:噴煙が風で流れると, 噴火の火がよく見える.

白川義員の「永遠の日本」に見る日本の原風景〔1〕

 ここでは第1章の「名岳」の105点の写真のうち、前半の54点を紹介する。彼の写真には人工物は一切移らないように工夫・配慮されている。それには映ったものを消去するという技法を使うのではなくて、写す段階でいろいろ工夫している。それには、人工物がない場所を選定する。またあっても写らないよう工夫する。それはアングルであったり、写す時間、例えば日の出や日没の前後であったり、逆光を利用したり、積雪の多い厳冬期だったり、様々である。また彼は上空からの撮影、空撮を多用している。足では見えない鳥瞰・俯瞰は有力な手段である。彼は高度3,000メートルを超える場合はセスナ機で、それ以下ではヘリコプターを多用する。しかし日本の空港の場合、大部分は国土交通省の管轄であって、小型機やヘリの発着は午前9時から午後5時までであり、これでは早朝や日没後の撮影はままならない。ただ日本では航空自衛隊の訓練空域をもつ空港は24時間離着陸自由で、彼は特に北アルプスの撮影に当たっては金沢(小松)を多用したという。ただ日本では、指定された場所以外での着陸は認められていなくて、空撮ではドアを外して撮影するので、これには撮影場所近くで外せれば最も効率がよいのだが、近くの空港からにしても随分動線は長くなる。その点外国ではこんな煩わしい制約はないらしい。ここでは、地域ごとに、山名と写真のナンバーとタイトルと要約した説明を付した。

第1章 名 岳  Mountains
1−1 北海道をめぐる
● 雌阿寒岳 (1499m) (1) 雌阿寒岳夕照:冬季の噴煙上げる日没直前の雌阿寒岳を真北からセスナ機で空撮. 山体も噴煙も赤いオレンジ色. 背後に阿寒富士.(2) 雌阿寒岳静日:冬季の珍しく無風の昼間, 噴煙が静かに天に向かって延びるのを空撮.(3) 雌阿寒岳火口赤変:日没直前の頂上火口を空撮.(4) 雌阿寒岳火口鳥瞰:夏は噴煙が少なく火口真上から空撮. 新火口と赤沼, 旧火口と青沼が見える.(5) 走る噴煙:強風の中, 落日寸前の雌阿寒岳を逆光で撮影. 噴煙は赤に, 山肌の雪は青に. 当日のパイロットは南極で飛んでいたベテランパイロット.
● 十勝岳 (2077m) (6) 十勝岳夏景:望岳台からの十勝岳. 山全体から噴煙が上がる.(7) 十勝岳紅葉:望岳台は観光客で満杯になる. 喧噪を避けた場所からの撮影.(8) 十勝岳鳥瞰:冬季に上空から撮影. 周囲に噴煙を上げている火口や火口跡が散らばって見える.  
● 利尻山 (利尻富士) (1721m) (9) 利尻山全景:南海上から空撮. 遠くに礼文島の礼文岳を望む.(10) 利尻山西壁:冬季に西から見上げた利尻山の全景.(11) 利尻山東南壁:夏季に東南から見上げた利尻山の全景.(12) 利尻山落日:海を隔てたサロベツ原野から望遠レンズで撮った利尻山山頂の落日.
● 知床連山/羅臼岳 (1661m) (13) 知床連山赤変:初冬の夕方に真西から空撮. 右から羅臼岳, 三ツ峰, サシルイ岳の三山が赤く彩色されている. 遠くに国後島の爺爺(チャチャ)岳を望む.(14) 知床硫黄山:半 島のほぼ中央, 羅臼岳の北東にある円錐状複式火山. 上空から見ると, 噴火によって山がずたずたに引き裂かれたことがよく分かる.(15) サシルイ岳夕映え:この山は知床連山の中では最も秀麗な形をしている. 夕日が当たった西面が特に良い.(16) 知床岳と国後島:半島の北端にある知床岳と流氷の海を隔てた国後島の爺爺岳を上空から撮影.(17) 夕映えの硫黄山:日没直前の太陽の光を受けて赤く染まった硫黄山.
● 羊蹄山 (蝦夷富士) (1898m) (18) 羊蹄山火口:火口を俯瞰撮影. 周囲2kmの巨大火口.(19) 羊蹄山冬景色:積雪豊富な4月に空撮.(20) 樽前山と羊蹄山:噴煙を上げている樽前山上空から支笏湖を隔てて羊蹄山を遠望.(21) 洞爺湖と羊蹄山:洞爺湖南岸上空から真北に積雪の羊蹄山を見る.
1−2 みちのくをめぐる
● 岩手山 (南部富士. 岩手富士) (2038m) (22) 岩手山:残雪の岩手山を南西から空撮. この方向からが最も秀麗.(23) 東岩手山火口:岩手山は東西の複式火山. その火口を上空から鳥瞰。(24) 岩手山焼走り: 1732年の大噴火で溶岩が走り抜けた溶岩原. 今は木々が生えていて, 特別天然記念物として保護されている.
● 八甲田山群/大岳 (1585m) (25) 八甲田山群:初冬に空撮. 左に井戸岳の噴火口, 右に大岳と火口. 雲が噴煙のように見える. 
● 秋田駒ヶ岳 (1637m) (26) 秋田駒ヶ岳山頂:初冬に空撮. 画面中央の火口丘が1970年に噴火した女岳,
左上が男岳, そのすぐ右上が主峰の男女岳.
1−3 北アルプスをめぐる
● 剣岳 (2999m) (27) 剣岳と落日:夕方黒部側から空撮. 高度3000mでもスモッグに覆われ, 中々鮮烈な写真にはならない.(28) 剣岳黎明:厳冬期の黒部側からの剣岳近影. 日の出前30分, 東の地平線の空が赤く色づき始めた頃, 東側の一部が僅かに変色した. 全体はまだ暗い.(29) 剣岳赤変:日の出後5分. 剣岳は赤に染まる.(30) 剣岳黄変:更に5分後, オレンジ色から赤色が完全に抜ける直前の黄変した剣岳. まだ谷には陽光は届いていない.(31) 剣岳白景:白い山を白く撮るには, 日の出後30分から1時間以内である. これは鹿島槍ヶ岳の上空から望遠レンズで撮影したもの.
● 立山三山/大汝山 (3015m) (32) 立山夕焼け:厳冬期に夕照の立山を弥陀ヶ原上空から撮影.(33) 朝焼けの立山:厳冬期に日の出直後の立山を黒部川上空から撮影.(34) 立山紅葉:北アルプスで最も早く紅葉が始まるのは後立山連峰と立山周辺である. また北アでの紅葉の名所は, この立山周辺と穂高の涸沢であろう.
● 鹿島槍ヶ岳 (2889m) (36) 鹿島槍ヶ岳残照:厳冬期に双耳峰をほぼ真西から日没直前に撮影した.(37) 鹿島槍ヶ岳と日の出:厳冬期に黒部川十字峡から撮影. 山はまだシルエット.(38) 鹿島槍ヶ岳鳥瞰:冬の朝, 北東方面から空撮した.
● 白馬岳 (2932m) (39) 白馬岳夜明け:八方尾根から撮った, 日の出の太陽を受けて赤変した白馬三山.
(40) 白馬三山:八方尾根の紅葉と白馬三山.(41) 白馬岳と大雪渓:厳冬期の白馬岳と大雪渓を空撮. (42) 厳冬の白馬三山:厳冬期の早朝, 八方尾根上空から撮った白馬三山.
● 穂高連山/奥穂高岳 (3190m) (43) 朝焼けた穂高三山:3月の朝光を受ける奥穂, 前穂, 西穂の三山を
空撮.(44) 穂高連山朝光:3月の朝光を受ける奥穂, 北穂と涸沢岳を空撮.(45) 穂高三山と太陽:続い て, 奥穂, 涸沢岳, 北穂の三山と日の出の太陽を岐阜県側から空撮.
● 槍ヶ岳 (3180m) (46) 槍ヶ岳朝光:3月の朝光を受けて赤く染まる槍の穂.(47) 槍ヶ岳の稜線:西に雪を纏った槍ヶ岳から南へ延びる稜線を西望する.(48) アルプス銀座:北鎌尾根上空から南望した槍・穂高連峰.
● 乗鞍岳(3026m) (49) 乗鞍岳と槍・穂高連峰:冬の乗鞍岳上空から北望.(50) 乗鞍岳:冬の乗鞍岳8 峰を鳥瞰.(51) まいめ池と乗鞍岳:乗鞍高原には小さな湖沼が数多くあるが, この人造湖である「まい め池」からの眺めが代表的といわれる.(52) 一ノ瀬園地からの乗鞍岳:乗鞍高原の紅葉は素晴らしい が, 中でもこの一ノ瀬園地が最高に華やかである.
● 焼岳 (2455m) (53) 焼岳:雪の焼岳をヘリから撮影.
● 笠ヶ岳 (2455m) (54) 笠ヶ岳:雪の笠ヶ岳を空撮.  

2013年8月8日木曜日

人工物(道具・民具など)に係る紋所を探る

 ここでは30項目について記載した。このうち田中豊子さんの「不思議を訪ねる」には、文様の項に6項目、民具・その他の項に14項目記載されている。残り10項目は田中さんの本には記載のない項目である。これらについて、五十音順に記載した。各項目の記述はこれまで同様、松村明監修の「大辞泉」の各項目の「紋所の名」によった。各項目の和名と漢字名及び簡単な説明に加えて、[1] 紋所の由来、[2]代表的な紋所の名称を記した。

● あかとり 垢取り 赤鳥  :  櫛の間にたまった垢を取る道具。赤鳥は当て字。
  [1]  六つ歯の櫛を図案化したもの。 [2]  今川赤鳥   など。
● いしだたみ 石畳 甃  :  庭や道路などで、平らな敷石を敷き詰めた所やその石。
  [1]  方形の石を一面に敷き並べたような形状を図案化した文様の石畳をかたどったもの。
  [2]  三甃、三寄せ甃、四甃、石畳車 など。
● いづつ 井筒  :  井戸の地上部分に設けた円筒状あるいは方形の囲み。
  [1]  井筒を図案化したもの。
  [2]  平井筒、角立井筒、丸に角立井筒、唐井筒、花井筒、重ね井筒、三井筒 など。
● うちわ 団扇  :  あおいで風を起こす道具。
  [1]  団扇を図案化したもの。普通、細く削った竹の骨に紙や絹を円形に張って作る。
  [2]  丸に団扇、三つ団扇、桑名団扇、軍配団扇、三つ軍配団扇 など。
● おうぎ 扇  :  手に持ち、あおいで風を起こす道具。普通、折り畳めるものをいう。
  [1]  扇をかたどったもの。種類が多い。
  [2]  丸に日の丸扇、三つ扇、檜扇、丸に五本扇、島原扇、違い扇、扇菱 など。
● かさ 笠 傘  :  日光、雨,雪などが当たらないように頭にかぶったり、さしたりするもの。
  [1]  笠や傘を図案化したもの。
  [2]  神宮笠、丸に笠、柳生笠、二蓋笠、竝笠、対笠、三蓋笠、三本傘 など。
● かま 鎌  :  草などを刈るのに使う道具。
  [1]  鎌をかたどったり、または鎌を取り合わせたもの。  [2]  違い鎌、卍鎌 など。
● くぎぬき 釘抜き  :  打ち込んだ釘を抜き取る道具。
  [1]  釘抜き、またはそれを組み合わせた形を図案化したもの。
  [2]  釘抜き菱、重ね釘抜き、違い釘抜き、丸に釘抜き、釘抜きに閂 など。
● くつわ 轡(口輪の意) :  手綱をつけるため、馬の口にかませる金具。
  [1]  円形の中に十字を置く。轡の鏡の部分をかたどったもの。 [2]  轡、花轡、轡菱 など。
● くるま 車  :  軸を中心にして、回転する仕組みの輪。車輪。
  [1]  車輪をかたどったもの。  [2]  源氏車、木下車、榊原車 など。
● こくもち 石持 黒餅  :  紋所の名。
  [1]  黒い円形で中に文様のないもの。もと矢口の祭りの黒餅をかたどったもの。
  [2]  石持、黒餅 など。
● こづち 小槌  :  小さな槌。
  [1]  打ち出の小槌を図案化したもの。  [2]  打ち出の小槌 など。
● ごとく 五徳  :  金属や陶器で作った三本または四本の脚のある輪。
   火鉢や炉の火の上にかぶせて立て、やかんや鉄瓶などをかける。
  [1]  五徳の形を図案化したもの。  [2]  五徳 など。
● ことじ 琴柱 箏柱  :  琴や箏で胴の上に立てて弦を支え、その位置によって音の高低を調節する。
  [1]  琴柱や箏柱をかたどったもの。  [2]  一琴柱、三琴柱、三盛り琴柱 など。
● じがみ 地紙  :  扇や傘などに張るために、その形に切った紙。
  [1]  扇の地紙をかたどったもの。  [2]  重ね地紙 など。
● ぜに 銭  :  金属でつくられた貨幣。
  [1]  銭の形をかたどったもの。  [2]  表一文銭、裏一文銭、四文銭 など。
● ちきり 千切り  :  織機で、縦糸を巻くのに用いる。木製で中央が括れた棒状の部品。
  [1]  上記のものを図案化したもの。  [2]  千切り、丸に千切り、四方千切り など。
● ぬさ 幣  :  祈願をし、または、罪・穢れを払うために神前に供える幣帛。御幣。
  [1]  幣をかたどったもの。  [2]  丸に幣 など。
● のし 熨斗 熨  :  方形の色紙を六角形に襞をつけて折りたたみ、中に熨斗鮑の細片を包んだもの。
   祝儀などの進物などに添える。鮑の代わりに昆布や紙も用いたりする。
  [1]  熨斗鮑の形を図案化したもの。  [2]  熨斗、熨斗の丸 など。
● ひさご 瓢 瓠  :  瓢はユウガオ・ヒョウタンなどの総称。またその果実。なりひさご。
   瓠はヒョウタンの果実の果肉を取り去って中空にし、乾燥させて容器としたもの。
  [1]  ヒサゴの果実をかたどったもの。  [2]  中輪に一つ瓠 など。
● ふんどう 分銅  :  秤で物の重量を計る時、重量の標準として用いるおもり。
  [1]  分銅を図案化したもの。  [2]  分銅、子持ち分銅、三つ寄せ分銅 など。
● ほ 帆  :  帆柱に高く張り、風を受けて船を進ませる船具。
  [1]  帆を図案化したもの。  [2]  丸に一つ帆、霞に帆、帆巴 など。
● まさかり 鉞  :  伐木用の大型の斧。古くは武器、刑具にも用いられた。
  [1]  鉞を図案化したもの。  [2]  四つ違い鉞 など。
● ます 枡 升 桝  :  液体や穀物などの分量を計る容器。木製や金属製、方形や円筒形がある。
  [1]  枡の形を図案化したもの。  [2]  丸に枡、三つ入子枡 など。
● や 矢 箭  :  武具・狩猟具の一つ。木または竹で作った棒状のもので、一方の端に羽をつけ、他方   の端に鏃(やじり)をつけ、弓の弦につがえて、目的物を射るもの。
  [1]  矢の形を組み合わせて図案化したもの。
  [2]  一本矢(1)、並び矢(2)、違い矢(2)、三矢(3)、矢扇(5)、六本矢車(6) など。
● やはず 矢筈  :  矢の末端の弓の弦を受ける部分。
  [1]  矢筈を図案化したもの。  [2]  丸に矢筈 など。
● ゆいわた 結綿  :  数枚重ねた真綿の中央を結び束ねたもの。祝い物に用いる。
  [1]  結綿を図案化したもの。  [2]  結綿 など。
● ゆきわ 雪輪  :  文様・紋所の名。
  [1]  六角形の雪の結晶を円形に表したもの。  [2]  雪輪、外雪輪 など。
● りんぼう(ぽう) 輪宝  :  七宝の一つ。もとは車輪の形をした古代インドの武器。
  [1]  輪宝を図案化したもの。  [2]  輪宝 など。
● ろくもんせん 六文銭  :  一文銭を三個ずつ横二列に並べたもの。
  [1]  信州上田の真田氏の紋として有名。  [2]  真田六文銭、六連銭 など。

2013年8月6日火曜日

文様に係る紋所を探る

 田中豊子さんの「不思議を訪ねる」には、文様の項には45項目が記載されている。ところで、このうち紋所に関連あるのは15項目のみだった。そこでここでは更に3項目を加え、18項目について、五十音順に記載した。ここでの記述は、松村明監修の「大辞泉」の各項目の「紋所の名」によった。これまで同様、その文様の和名と漢字名及び簡単な説明に加えて、[1] 紋所の由来、[2] 代表的な紋所の名称を記載した。

● いげた 井桁  :  木で井の字の形に組んだ井戸のふち。井の字の形。
  [1]  井の字を菱形に図案化した文様・紋所。
  [2]  井桁、井桁に木瓜、三つ井桁、丸に角立井桁、陰陽重ね井桁 など。
● うろこ 鱗  :  動物の体を覆って保護する硬い薄片。
  [1]  三角形と逆三角形又は円形を組み合わせたもの。
  [2]  北條鱗(三鱗)、清明鱗(六鱗) など。他に、一鱗、二鱗、五鱗、九鱗 などがある。
● きっこう 亀甲  :  龜の甲の形(亀甲形)の略。
  [1]  龜の甲をかたどったもの。
  [2]  違い亀甲、結び亀甲、三つ盛花菱亀甲、相馬亀甲、六郷亀甲、毘沙門亀甲花菱 など。
● ぎょうよう 杏葉  :  形が杏の葉に似ているところから。
  [1]  杏の葉を二つ左右から抱き合わせた形のものなど。
  [2]  丸に一つ花杏葉、鍋島杏葉、花なし杏葉、杏葉牡丹 など。
● くよう 九翟  :  七曜星(日・月・火・水・木・金・土)に羅喉と計都を加えた名称。
  [1]  中央の大きな円の周りを八つの小さな円で囲んだもの。九翟紋の略。
  [2]  九翟、結び九翟、割り九翟、九翟車、蛇の目九翟 など。
● しっぽう・しちほう 七宝  :  仏教での七種の宝。
  [1]  七宝文(円周を円弧によって四等分した文様)を図案化したもの。
  [2]  七宝、大岡七宝、七宝に花菱、七宝輪違い など。
● じゃのめ 蛇の目  :  蛇の目のように太い輪の形をした図形。
  [1]  上記図形をした紋所。 [2]  蛇の目、三つ盛蛇の目 など。
● ともえ 巴 鞆絵  :  湧き出した水が渦を巻いて外へ巡るような形の模様。
  [1]  上を図案化したもの。巻く方向によって左、右があり、数によって一〜三がある。数が多い。
  [2]  左・右一つ巴、左・右二つ巴、やせ二つ巴、陰陽勾玉巴、左・右三つ巴、三つ巴菱、有馬三つ巴、
   角形三つ巴、隅切り勾玉巴 など。
● はなびし 花菱  :  菱形の周囲を花弁の形に図案化したもの。
  [1]  上に同じ。 [2]  花菱、三つ花菱、剣花菱、亀甲花菱 など。
● ひきりょう 引両  :  輪の中に横に一〜三本の太い線を引いたもの。
  [1]  横だけでなく、縦に引いた紋もあり、変形も含め多くの種類がある。
  [2]  丸に一つ引、丸の内に二つ引、丸に立二つ引、田村立引、岩城立引 など。
● ひし 菱  :  菱形の略。
  [1]  菱形を様々に図案化したもの。
  [2]  幸(さいわい)菱、三蓋菱、中陰松皮菱、武田菱、日向一つ菱、五つ重ね菱 など。
● まる 丸  :  丸い形、円形または球形。
  [1]  円形の紋所の名。円形単独のもののほか、他の文様と組み合わせたものもある。
  [2]  丸輪、丸に十、丸に並び棒、丸に中の字、丸に生の字、薄(すすき)の丸、鶴の丸 など。
● まんじ 卍  :  印度のビシュス神の胸の旋毛を起源とする瑞兆の相。仏教に入り、仏の胸など体に現   した吉祥の印の表象となった。日本では仏教寺院の記号・紋章、標識として用いられる。
  [1]  卍を図案化したもの。 [2]  左卍、右卍、丸に卍(蜂須賀卍) など。
● めゆい 目結  :  布地を摘んで糸で括り、括り目を回のような目の形に染め出す絞り染め。
  [1]  上の絞り染め(鹿の子絞りなど)を図案化したもの。
  [2]  角立一つ目結、三つ目結菱、四つ目結菱、角出し四つ目結、平四つ目結 など。
● もっこう 木瓜  :  数個の円弧形をつなぎ合わせた中に、唐花や花菱などを入れたもの。
  [1]  鳥の巣が卵を包んでいるように見える図柄。また瓜を輪切りにした形を図案化したものともいう。
  [2]  木瓜、剣木瓜、唐木瓜、竪木瓜、横木瓜 など。
● やまがた 山形、山型  :  山のような形。
  [1]  山をかたどったもの。 [2]  山形、入り山形、違い山形 など。
● わ 輪  :  曲げて円形にしたもの。
  [1]  円形を図案化したもの。 [2]  丸輪 など。
● わちがい 輪違い  :  二つ以上の輪が交差して半ば重なっている形。
  [1]  上を図案化したもの。 [2]  輪違い、三つ輪違い など。 

2013年8月5日月曜日

自然及び自然現象に係る紋所を探る

  この自然及び自然現象に係る紋所については、田中豊子さんの「不思議を訪ねる」には該当するものがないので、これまでの植物や動物に準じて、五十音順に記載した。ここでは、松村朗監修の「大辞泉」から、紋所の名と記載のある事象を抽出し、その事象の和名と漢字名と簡単な説明、及び [1] 紋所の由来、 [2] 代表的な紋所の名称を記載した。

● いし 石 : 岩石の小片。岩よりも小さく、砂よりも大きなもの。
  [1]  石を図案化したもの。  [2]  三つ石、四つ石、丸に一つ石 など。
● いなずま 稲妻  :  空中電気の放電によって生じる電光。
  [1]  稲妻形:稲妻の形を折れ曲がった直線で図案化したもの。
   稲妻菱:稲妻形を菱形に描いたもの。
  [2]  稲妻鶴、丸に稲妻 など(以上稲妻形)、稲妻菱、四つ稲妻菱 など(以上稲妻菱)。
● しちよう 七曜  :  日・月と火星・水星・木星・金星・土星の七つの天体。七曜星。
  [1]  中央の大きな円の周りを6つの小さな円で囲んだもの。 [2]  七曜、割り七曜 など。
● すはま 州浜、洲浜  :  曲線を描いて州が出入りしている浜。
  [1]  州浜形(州浜を上から見下ろしたような)もので、三つ輪形とも。[2]  州浜、丸に州浜など。
● つき 月 : 地球の衛星。
  [1]  月の形を図案化したもの。 [2]  半月、朧月、月星 など。
● なみ 波  :  風や震動によって起こる海や川の水面の高低運動。波浪。
  [1]  波を図案化したもの。 [2]  向い浪、二頭浪、三頭浪 など。
● ひあし 日足、日脚  :  雲の切れ目や物の隙間から射す太陽の光線。陽射し。
  [1]  陽射しを図案化したもの。 [2]  六つ日足 など。
● ほし 星  : 夜空に点々と小さく光っている天体。
  [1]  円形を星に見立てて、いろいろに組み合わせたもの。
  [2]  三つ星、丸に三つ星、一文字に三つ星、渡辺星 など。
● やま 山  :  陸地の表面が周辺の土地よりも高く盛り上がった所。日本では古来、草木が生い茂り、  さまざまな恵をもたらす場所としてとらえている。また古くは神が住む神聖な地域として、信仰の  対象や修行の場とされた。
  [1]  山を図案化したもの。 [2]  山に霞 など。