2011年8月2日火曜日

道の駅「瀬女」に蕎麦処「山猫」を訪ねる

 表記標題の初出は「探蕎」会報第29号(平成17年4月17日発行)で、「山猫」を訪れたのは平成17年(2005)2月14日である。  「晋亮の呟き」に転載する。

 旧紀元節の日、何となく見ていたテレビ朝日に、尾口(今の白山市)の瀬戸に昨年12月開店した「山猫」の取材が映し出されていた。「そうか、そう言えばそんな名を誰かから聞いたことが」。画面では、男性が15食限定の「石臼手挽きそば」を、女性が「付け鴨そば」を食し、当然のことながら、「うまい」「本当にうまい」「こんなに美味しいのは食べたことがない」の連発。そしてオーナー田口夫妻とのインタビュー。いつか「多門」が取材放映されて、あの山の中へそば愛好者?が殺到したことを思い出した。あの頑固親爺には迷惑じゃなかったのか。
 翌日の土曜日の朝、余り天気が良くなかったのと、前日の酒宴で体調が本復しないこともあって、スキーを見送ったが、段々天気が良くなるのに気を悪くし、ままよそれなら「山猫」への遠征をと思い立った。昼を少しずらして午後1時半を目処に、道中はすいすい、「いくら放映されたと言っても、まさかはや殺到にはまだ早かろう」と思い込みながら、馴染みの「瀬女スキー場」へと車を走らせた。ところが着いてびっくり、何と、及びもつかない程の車の数、第1~第5駐車場は満タンなのか、溢れた車は第6と称する「道の駅」の一角にも、夥しい数が。そしてお目当ての「山猫」にも次々と客が。もう中を覗くまでもなく、超満員の有様に断念。1時間かけて来たのに、スキー場も満杯、そば屋も一杯、でもこんないいこことはないと祝福しつつ、その場を去った。3日前の9日には、平日だったこともあって、スキー場はガラガラ、お陰でユックリ、バッチリ滑られたのに。これじゃ今後どうなるのかと心配したが、土日がこうなら、まあ何とかなるだろう。
 再度の挑戦は、日曜日を挟んだ指定休の月曜日、天気予報が外れて晴なのに狂喜し、勇躍瀬女高原スキー場へ。午前9時から午後3時まで、お陰さまでガラガラのゲレンデで1日スキー公望、そしてやおら3時半に「山猫」へ。外からは主人が蕎麦を手挽きしているのが見える。中へ入る。右に折れ、やや進んで左が店内、右にカウンター5席、左の上がり框に座テーブル3脚、奥から6人、5人、4人とみた。先客は1組の夫婦のみ。小生は右のカウンターへ。取り合えず蕎麦前は純米冷酒に供は鴨焼き、そばはやや間を置いて「白山しぼり」太打ちを所望。鴨は塩・胡椒のみでの焼きに生姜と白髪葱、鴨はいささか薄味で物足りない。次いで挽きぐるみの「白山しぼり」、辛味大根のしぼり汁と出汁と薬味、薬味には天然山葵と葱と味噌。そばは細長の手びねりの浅鉢に三つ盛りに、ホシも大きく粗挽きで、噛めば蕎麦の香りが口中に広がり上等、程よい硬さ加減、先ずまずの出来だ。先客は加賀市からとか、「こんなに美味しいそばが、こんな田舎に」とか言い残して帰って行った。
 終わって暫らく、私はまだお若い夫婦と会話を交わしたが、素朴で朴訥で真面目、慢心しなければきっと素晴らしいそば屋になること請け合いだ。そばはすべて生粉打ち、手挽きは15食のみ、ほかは電動石臼、いずれも粗挽き、印象からふと縁続きの「敬蔵」を想った。帳場に「山英」「宮川」「敬蔵」の名刺が置いてあった。山英の親爺のことを聞いたら、今は営業しているとか。先ずは安心。

[資料]①蕎麦前:冷酒(福正宗純米) 600円、熱燗(銘なし) 400円、鴨ぬき 300円、鴨焼き 500円、鰊 500円、そば豆腐 300円。 ②飲み物:ビール、ノンアルコール、ウーロン茶、ジュース。 ③冷:山猫の石臼手挽きそば 1,000円、蕎香もりそば 800円、白山しぼり 900円、付け鴨 1,300円。 ④温:かけ 800円、きのこ 1,200円、鴨南 1,300円、卵とじ 1,100円、にしん 1,300円。 ⑤他:そばがき 700円、そばがきぜんざい(抹茶付き) 700円、山菜ごはん 300円、おろしそば 800円。 ⑥玄蕎麦:手挽き(丸岡在来種)、細打ち(福島会津在来種と岩手在来種)、太打ち(北海道沼田オトネップ)。 ⑦大根:白山しぼり(下伊那辛丸大根)、蕎香(自家産雪美人と野々市福田産ねずみ大根)。 ⑧葱:自家産葱と千住葱。 ⑨鴨:仏バルバリー種マグレ・カナール。 ⑩出汁:枯本節、枯宗田、枯鯖、うるめ鰯、利尻昆布。 ⑪器:増井洋子(金沢の陶芸家)、米田万太郎(美濃焼) 作陶。

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