2013年9月4日水曜日

白川義員の「永遠の日本」に見る日本の原風景〔5〕

(承前)
3−6 支笏洞爺国立公園
● 倶多楽湖(27)倶多楽湖の日の出:周囲 2km の円形のカルデラ湖。流入流出河川はなく、透明度は摩周湖に次いで国内2位。原生林に囲まれた無人静寂の湖の日の出。
● 支笏湖(28)支笏湖の朝焼け;周囲 40.2km のカルデラ湖で、貯水量は琵琶湖に次いで2番目、面積はカルデラ湖では屈斜路湖に次いで2番目、最大水深 363m は田沢湖に次いで2番目。4年間で最も赤かった朝焼けを収載した。
● 洞爺湖(29)洞爺湖昼景:東西 11km 、南北 9km のカルデラ湖。周囲 50km 、最大水深 180m、湖の中島は標高 455m 、左端の白い山は羊蹄山。洞爺湖一周道路南側から撮影。(30)洞爺湖夕景:車で一周できるので、日の出も日没も撮影できる。これは秋の日没直後に撮影した。右端に羊蹄山。
3−7 十和田八幡平国立公園
● 十和田湖(31)十和田湖錦秋:周囲 46km の二重カルデラ湖。有名な展望台の瞰湖台から10月下旬に撮影。紅葉は見事に真っ盛りだった。
● 後生掛温泉の沼(32)後生掛大湯沼:八幡平北端にある後生掛温泉の西南端にある沼。撮影は10月初旬、紅葉が実に見事だった。
● 南八甲田の沼(33)蔦沼朝光:撮影したのは10月下旬の早朝。日の出直後の長波長の赤い光線を受けて、風景が赤く輝いた。左上に南八甲田山群の赤倉岳。この山の爆発の土砂で沼ができた。(34)蔦沼明暗:「蔦の七沼」のうち最大の沼である。赤倉岳の噴火でこれら七沼が出来た。一般的には6沼(蔦沼、鏡沼、月沼、長沼、菅沼、瓢簞沼)を巡る。もう1つの赤沼は離れているので訪れる人は少ない。七沼の内で最も写真になるのはこの蔦沼で、紅葉の盛りのシーズンには多くの人が殺到し、午前5時に現場へ行ったのでは、撮影場所がない。
3−8  磐梯朝日国立公園
● 裏磐梯の湖沼(38)中瀬沼と磐梯山:裏磐梯にはよく知られた檜原湖がある。磐梯山の爆発で出来た湖である。そのすぐ東側にあるのが中瀬沼で、駐車場から15分歩くと展望台に着く。藻北から撮影するため、日の出前後がよい。この写真は新緑が見事な6月中旬に撮影したものである。
3−9 上信越高原国立公園
● 戸隠高原の池(35)鏡池と戸隠山:戸隠高原にある鏡池は、前方にある風景をまるで鏡に映したかのように見せることから名付けられたという。我々が撮影した日も湖面は静かであったが、何か風が遮られる地形なのかも知れない。ここは紅葉の名所で、私の写真も紅葉の写真ばかりである。今回の「永遠の日本」は紅葉の写真ばかりとなったが、それは日本を代表する景観、日本独自の景観、日本にしかない景観、それらはすべて紅葉だからである。外国には黄葉はあっても紅葉はない。ただ今回の鏡池の2点は、思い切って緑の風景にした。しかし晴々とした素晴らしい写真景となった。(36)鏡池と西岳:戸隠山の左、西南方向にあるのが西岳である。水面が静かで、まるで夢の中の風景のようだった。
● 志賀高原の池(37)志賀高原蓮池:志賀高原には16の池や沼があって、さまざまな姿と表情を見せるが、この蓮池の紅葉は格別である。湖畔散策路から撮った。
● 妙高高原の池(39)妙高高原乙見池:妙高高原にある笹ヶ峰ダム、高原奥関川の源流に作られたダム湖がこの乙見池である。写真を見てこれがダム湖と思う人はいない。実に静寂そのもの、これ程素晴らしいダム湖を他に知らない。
3−10 日光国立公園
● 中禅寺湖(40)中禅寺湖八丁出島:この湖は男体山の噴火による溶岩で渓谷が埋められて出来た湖である。周囲 25km 、最大水深 163m 。人工湖以外では水面の海抜が 1269m と日本一高い。紅葉の八丁出島を半月山から撮影する予定で出かけたが、渋滞が激しく、急遽宇都宮に引き返し、ヘリコプターを飛ばして撮った。これは半月峠上空から撮ったものである。(41)八丁出島は元々紅葉が美しいスポットであるから、1週間前から戦場ヶ原などを撮りながら最高の時を待った。10月19日、時が来てヘリを飛ばして撮影した。これは湖上から撮ったもので、赤や黄や緑の錦を一杯に纏った大蛇が頭をもたげているかのようで、狙い通りの見事な写真になった。(43)西ノ湖と中禅寺湖:日光国立公園の中心部。画面下が西ノ湖、その右上が中禅寺湖、その左に男体山、中禅寺湖の左手の原っぱが千手ヶ原。紅葉満開の色彩を競う日光高原を空撮。
● 鬼怒川のダム湖(45)五十里 (いかり) 湖:川治温泉の北にある鬼怒川の支流の男鹿川に作られたダム湖で、かつて江戸から丁度五十里であったことからこの名が付いた。紅葉の名所で、秋は一斉に華やかな風景になる。
● 那須岳の池(47)那須沼原池:茶臼岳の南西約 4km にあるこの池と沼原湿原は、以前は一般の人の立ち入りは禁止されていたが、現在は自由に入れる。9月中旬に撮影したが、日没がまるで原色の風景になった。
3−11 尾瀬国立公園
● 尾瀬沼(42)尾瀬沼と燧ヶ岳:尾瀬国立公園は群馬県側と福島県側とに二分される。この時は後者の沼山峠から入って撮った。水面は海抜 1665m の高所にある。6月中旬に尾瀬沼南端から燧ヶ岳 2356mを入れて撮った。静寂の風景。
● 利根川のダム湖(46)ならまた湖空撮:利根川の支流の楢俣川に作られた奈良俣ダムのダム湖。尾瀬ヶ原を空撮した際、すぐ南西方向にあるこのならまた湖の湖面の青さと周囲の紅葉が実に見事なので撮影した。 
3−12 富士箱根伊豆国立公園
● 富士山麓の湖(44)田貫 (たぬき) 湖の富士と月の出:富士山の西麓にある周囲 4km 、水面標高 660m の湖。かつては狸沼と呼ばれていたが、人工的に拡張されて出来た人造湖。4月と8月の20日頃にダイヤモンド富士が見えることでも有名である。日没後の月の出を撮った。
3−13 霧島錦江湾国立公園
● 霧島山群の池(48)霧島六観音御池:主要な霧島連山の山頂は、宮崎県と鹿児島県の県境になっている。その北にあって宮崎県にあるのが六観音御池である。左上が霧島連山の主峰の韓国岳 1700m 。撮影は11月初め、紅葉が盛りだった。(49)霧島大浪 (おおなみの) 池:霧島山群にあって、湖面の標高が 1241m という日本最大の山頂湖で火山湖。直径 630m 、周囲 2km ある大浪池の落日。(50)六観音御池と白紫 (びゃくし) 池:霧島山群の北に、えびの高原と呼ばれる一帯があって、そこには3つの火山湖がある。表題の2湖ともう1湖が不動池である。3湖を巡る一周1時間半の自然研究路が付けられている。写真はこのうちの2湖を空撮した。この辺りはまだ自然が残っている。

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