2013年9月14日土曜日

白川義員の「永遠の日本」に見る日本の原風景〔8〕

 この第6章のタイトルは「高原」で、ここには31点の写真が収載されている。でもここに出てくる撮影地や被写体は一般に高原として通用しているとは限らない。高原と名の付く地形名は高校の地図帳では4高原のみとか、そこで私は成美堂出版の日本地図で当たってみたところ、「高原」と名の付く地形名は48あった。また似たような「山地」というのが46、ほかに「台地」が10、「〜原」が7、「〜平」が3、「高地」が2あった。しかし撮影者は必ずしもこれらにこだわってはいない。ところで撮影地や被写体は国立公園なので、公園をほぼ北から南へと順に示した。

第6章 高 原  Highlands
6−1 大雪山国立公園/大雪山・十勝岳
● 大雪山/(1) 銀泉台の日の出:かつて大雪山を横断する観光道路が造られることになったが、工事進行中に自然保護団体の猛反対が起き、工事が中止されたが、その地点がこの銀泉台 (1500m) である。大雪山周辺で車で行ける最高地点であり、大雪山赤岳の登山口でもある。ここが有名なのは日本で最初に紅葉が始まる所であり、またその紅葉が実に見事である。それで多くの人が押しかけるので、9月中旬の10日間はマイカー乗り入れ規制が行なわれる。したがって日の出を撮ろうとすればこの時期を外さねばならない。紅葉もさることながら、ここからの日の出は実に素晴らしい。 (2) 銀泉台紅葉:銀泉台から赤岳への登山道を30分ばかり登るとこの地点に着く。この辺りが最も素晴らしい場所で、淡い緑と濃い緑、黄色にオレンジに真っ赤と、紅葉を構成する色が豊かに揃っている最高の場所である。 (3) 大雪高原:銀泉台の南方に広がる高根ヶ原の下には大雪高原沼が散らばっていて、ここも紅葉の名所である。この写真は沼の一つ式部沼から見上げて高根ヶ原と紅葉を撮っている。 (5) 銀泉台秋色:赤岳への登山道をさらに登って第二花園辺りから見た紅葉で、これ程鮮やかな紅葉は銀泉台周辺以外にはない。 (7) 旭岳の噴煙:大雪山の主峰旭岳の山麓にある姿見の池の上方に5,6個の噴気口があって白い噴煙が上がっている。気温が下がる秋や冬には特に噴煙が多くなる。
● 十勝岳/ (4) 十勝岳:望岳台から吹上温泉へ行く細道から撮った十勝岳の噴煙と紅葉である。この辺りは撮影者があまり入らず、紅葉は新鮮だった。 (6) 姿見平から十勝岳:大雪山旭岳ロープウェイで姿見平に上がると、すぐ近くに第一展望台がある。そこから遠く南西の方向に十勝岳が見える。緑のハイマツの中の紅葉が鮮やかだった。(10) 望岳台から山麓:十勝岳の望岳台から十勝岳温泉に向う道から山麓の富良野方面を見た。丘や林が自然のまま残り、それが紅葉して見事な景観だった。

6−2 阿寒国立公園/アトサヌプリ (硫黄山) ・サワンチサップ (帽子山)             
 (8) 川湯・帽子山:阿寒国立公園の摩周湖と屈斜路湖の丁度中間に、硫黄山など3つの山がある。南から硫黄山 512m、この山は今も活発な噴気活動を続ける火山である。その北にマクワンチサップ 574m、一番北に帽子山 520m の二重式溶岩円頂丘がある。その手前に地元でキツネ山と呼ばれる紅葉が格別の山がある。この写真のターゲットは手前にある夥しい流木で、これは恐らく硫黄山の火山ガスで立ち枯れになった木々が倒れ、長い年月をかけてここまで流れ着いたと思われる。でもよく見ると、流木の中に紅葉している木があるのには驚かされる。 (9) 硫黄山中腹:温泉街の近くなのに人の手が入らない平地がある。その周りを取り巻く林は真っ赤に紅葉している。

6−3 磐梯朝日国立公園/吾妻小富士
 (16) 花見山:写真家の故秋山庄太郎氏が「福島に桃源郷あり」と言って一躍有名になった花見山。4月下旬に満開の桜を早朝に撮影した。吾妻小富士 1707m が見える。 (18) 天狗の庭から吾妻小富士:福島の高湯温泉から南の土湯峠まで磐梯吾妻スカイラインが延びている。このルートに沿って故井上靖氏が命名した吾妻八景がある。写真はこの第3番目の「天狗の庭」から見た吾妻小富士である。紅葉が見事だ。

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