2013年9月28日土曜日

白川義員の「永遠の日本」に見る日本の原風景〔13〕

(承前)
8−8 吉野熊野国立公園/熊野灘
 (59)橋杭岩暁天:和歌山県串本町にあり、大小約 40 本の岩峰が 850m にわたって突っ立っている。橋脚のようだから橋杭岩と名が付いた。岩には総て名が付けられている。左から平岩、チョンギリ岩 (ボウズ岩) 、背の高いのが大オガミ岩、細いのが小オガミ岩、右端がビシャコ岩である。(60)橋杭岩朝光:太陽が右端の平岩と中央の蛭子岩の間から昇る。左へ折岩、コボレ岩。(61)橋杭岩薄明:夜明け前でまだ水平線がやっと黄色くなった頃である。中央がチョンギリ岩、右が大オガミ岩、左端がハサミ岩。(62)橋杭岩の午後:潮が引いた橋杭岩を少し北方から撮った。岩が散乱しているのが見え、これは宝永地震によるとされる。中央がチョンギリ岩、左端がハサミ岩、右へ大オガミ岩、小オガミ岩、右端がビシャコ岩。(64)ハサミ岩と太陽:ハサミ岩の3つの岩峰のうち、他の2峰より低い左の峰の上に太陽が来るようにセットした。(63)紀の松島・ラクダ岩:和歌山県那智勝浦町にある大小 130 余りの島々が、日本三景の松島に匹敵する意から「紀の松島」と呼ぶ。その中の1島がラクダ島である。(65)熊野灘・獅子岩:三重県熊野市の熊野灘に面した白砂青松の「七里御浜」にあるう。海に向かって獅子が吠えているような奇岩で、海から吹き付ける海風蝕によって造られたものだが、上顎の鋭さと下顎に生えた草のコントラストが正に絶妙である。(66)熊野灘・海金剛:三重県の熊野市と尾鷲市の境の海岸の二木湾の入口にある。柱状節理が高さ80m、600m にわたって続く。

8−9 山陰海岸国立公園/香住海岸・鳥取砂丘・浦富海岸
 (67)山陰香住海岸・鎧の袖:国立公園の中央部、兵庫県の日本海に面して香住 (かすみ) 海岸がある。「鎧の袖」は柱状節理の断崖で、高さ 65m、幅 200m、傾斜角度 70° の海蝕崖である。香住海岸には他にも鷹ノ巣岩、釣鐘洞門、小白岩、鉄砲島など写真になる被写体が多い。(68)鳥取砂丘:国立公園の西端に位置する東西 16km、南北 2.4km、最大起伏 47m の日本三大砂丘の一つである。中国山地の花崗岩が風化し、それが千代川によって海に運ばれ、海岸に集まったものが砂丘になったといわれる。撮影は人の足跡のない風紋が美しい風景を狙って何度か出掛けたが、もう日の出直後には百人以上もの人が歩いていた。画面に見える凹凸はすべて人の足跡だが、これ程密集すると自然の造形に見えなくもない。(69)砂丘と虹:砂丘と日本海に現れた二重の虹を咄嗟に撮った。(70)鳥取砂丘と日本海:砂丘の頂上をずっと東に辿って行くと、一部だが足跡のない自然があった。正に手つかずの新鮮な砂丘と日本海である。(71)城原海岸・菜種島:鳥取砂丘の北東部に山陰海岸国立公園を代表する景観の地の浦富海岸がある。城原海岸はその主要な一部である。波に浸食された島が連なっていて菜種五島と呼ばれ、その先端にあるのが写真上部の菜種島である。高さ 60m、周囲約 400m、春になると島全体が野生の菜の花で黄金色になる。

8−10 大山隠岐国立公園/隠岐諸島
 隠岐諸島:島根半島の北方約 50km の洋上にあり、最大の島の島後 (どうご) と中ノ島・西ノ島・知夫里島の3島からなる島前 (どうぜん) の2地域4島で構成される。但し小さい島々は 180 個もあるといわれる。(72)隠岐島前・知夫里島赤壁:知夫里島の南西にある名所の赤壁。絶壁の幾つかの岩層が真っ赤であることから赤壁という。(73)島前・中ノ島屏風岩:中ノ島の北東端の海岸が明星海岸で、海水浴場やキャンプ場がある。そこを西の突き当たりまで進むと、右側に赤い岩峰が屹立している。これが屏風岩で、海蝕で削られたハートの形が人気だそうである。(74)島前・三郎岩の日の出:中ノ島の北端の宇受賀 (うずか) から撮った。太陽の下の山は西ノ島の北端で、手前の海から屹立しているのが三郎岩である。(75)島後・ローソク岩の落日:島後の北西に海から 50m 突き出した奇岩があり、これがローソク岩である。夕日がこの岩塔の頂上に落ちるとローソクに灯がともったように見えることからこの名が付いた。これを見るのに夕方福浦港から観光船が出るが、操船が上手でないと見られない。(76)島前・観音岩日没:西ノ島の西端に有名な国賀海岸があり、ここも浸食を受けた奇岩や奇景が連なる。この観音岩もその一つで、海側から見ると百済観音の姿に似ているという。これは陸側から観音岩の頂上に落日を組み合わせて撮ったものである。(77)島後・浄土ヶ浦の朝:島後の東北にあり、この辺りは隠岐諸島随一の多島海といわれ、数百の島や岩礁がある。東に突き出した崎山岬の北側が浄土ヶ浦で、隠岐諸島を代表する景勝の地とされる。早朝日の出直後、逆光線でこの風景を見ていると、「さながら浄土のごとし」の意味が納得させられる。(78)島後・塩の浜夕日照る:島後の西南端にある「塩の浜」は夕日の美しい海岸として知られている。夕日を撮った。(79)島前・国賀海岸:隠岐諸島で最も有名な景観がこの国賀海岸ではないかと思う。これは赤尾の展望台から撮ったものである。右端の穴の開いた岩が通天橋、手前の入江が国賀浦である。(80)島後・那久岬:島後の西海岸で最も西に突き出した岬の、波浪で浸食された岩塔や岩礁を上空から撮った。ここは夕日を眺める名所でもある。(81)島後・帆掛島と洞門:島後の北端に白島崎が突き出ている。その先にある白島や沖の島が有名だが、その手前にあるのが帆掛島。波浪に洗われた岩礁と洞門、それに木々の緑が素晴らしい対比である。白島崎展望台から撮った。(82)島後・尾白鼻夕景:島後の北西部、ローソク岩の近くにある。西面の波浪と風によって浸食された崖は、夕陽を受けて赤く染まった。観光船から撮った。(83)島後・鉄砲岩日暮れ:これも島後の北西部、ローソク岩の近くにある。ローソク岩で太陽が下がり過ぎてローソクに灯がついたような風景が見られないと、観光船で周囲の島々を巡ってくれる。その際に撮った。左が鉄砲岩。(84)島後・流門岩と洞門:島後の北端にある白島海岸の南東に笠崎海岸がある。そこに流門岩と2個の洞門がある。水の力で出来たものだろうが恐ろしい力だ。

8−11 西海国立公園/九十九島・五島列島
 (85)展海峰から九十九島:長崎県佐世保市の佐世保湾入口のすぐ北にこの展海峰がある。島が最も多く見える展望台である。九十九島とは島が多くあるという意で、実際には 208 島ある。5月に撮影した。(86)光芒射す九十九島:展望台としてはこの石岳が最も有名である。佐世保港の西側の山の上にあり、ここから見た九十九島。夕陽が光芒を放つのは冬季に限られる。(87)九十九島逆光:石岳展望台から左 (南) 方向にある島々を逆光で浮かび上がらせた。2月初旬に撮影。(88)多島海冬景:石岳展望台へ向かう山道の途中にこの船越展望台がある。したがってアングルが低く、2月に太陽と組み合わせようとすると、少し南方向に向けることになる。北方向の島なら10月ということになる。(89)西海・高浜海岸の落日:五島列島の南端福江島の南端にある高浜海岸。すぐ北に、かつて遣唐使が風待ちをした三井楽や魚津ヶ崎がある。干潟に潮が満ち始め、それが夕陽に輝き、真っ赤な波や黄金色の波が交互にひたひたと迫って来る様に、自然の営みとはかくも美しいものかと感激した。(90)西海・高浜海岸:島を一周する国道 384 号線の道路上から撮った。これ程静かで美しい海岸が道路から見える所など世界でも多くはない。ニースやカンヌなどより、ここの方が美しい。(91)西海・曽根の赤ダキ:五島列島中通島の北部にこの断崖がある。かつての火山の火口壁で、上部に赤い断層が複数ある。「赤ダキ」とは赤崖がなまったもので、今日も使用されているそうである。

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