2015年11月27日金曜日

久々に感動したオーケストラアンサンブル金沢 (OEK) の演奏

第369回 OEK 定期公演「アンダルシアの誘惑」
 県立音楽堂に着いたのは午後1時、開演1時間前だった。でももう2階ロビーには人が溢れていた。いつものように生ビールを手にしてプレコンサートを聴く。ヴァイオリン、ビオラ、チェロの三重奏でのモーツアルトの作品の演奏だった。開場になって、定位置の 10 列 10 番に着席する。今日の指揮者は台湾国家交響楽団音楽監督のリュウ・シャオチャさん、プロフィールには過去にブザンソン国際指揮者コンクールに優勝、その後ヨーロッパの主要オーケストラや歌劇場で指揮をしたとある。でも私には初めて耳にする方、いつもの公演のように静かに聴こうと思っていた。

1.メンデルスゾーン 序曲「フィンガルの洞窟 (ヘブリディース)」op.26
 メンデルスゾーンがイギリスのヘブリディース諸島にある伝説の王フィンガルの名が付いた洞窟を観て作ったという描写音楽、私の大好きな曲の一つである。曲が始まって、指揮者の曲の引き出し方に何かピッとした感覚が走った。指揮ぶりを見て、瞬時に OEK のミュージックパートナーである山田和樹を連想した。見ていると、右手の指揮棒の動きと左手の動き、時に同じなこともあるが、大方は異なっている。リズムと曲想とを実に巧みにコントロールしているところが実に何とも素晴らしい。そして北の荒海の光景と荒波が打ち寄せる洞窟の情景を彷彿とさせてくれる描写を、実にリアルに表現してくれていた。 OEK のこんなに溌剌とした演奏を久しぶりに聴いた。演奏の後の拍手が凄かった。

2.ファリア バレエ音楽「恋は魔術師」
 バレエ音楽とは言っても歌がとても多く、スペインのオペレッタとも言われるサルスエラに近い曲である。歌う方は、二期会所属のメゾソプラノ歌手の谷口睦美さん。よく聴く曲だが、生で聴くのは初めてだ。日本語訳の詩が両袖に出るが、内容はともかく、素晴らしい声量と艶やかな声質に圧倒された。しかも容姿端麗、それかあらぬか、指揮者の歌い手に対する心遣いも素晴らしく、それもあってオーケストラとの一体感が実に素晴らしかった。終わった後も聴衆のどよめきは凄く、ブラボーの声が数カ所から、そして中には立って拍手する人も、私は立たなかったが、でも精一杯の拍手をした。こんなに素晴らしい興奮は久しぶりだった。終わって、何度も何度もステージへ挨拶に見えられたが、聴衆の皆さんは本当に魅了されたようだった。 (続く)

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