2010年9月16日木曜日

平成22年秋の日帰り探蕎は荘川町の「式部の庵」

 平成22年秋の第1回探蕎は9月12日(日)に、久保副会長の世話で岐阜県高山市荘川町の「式部の庵」ということになった。出発は朝8時30分、面々16名は石川県予防医学協会の駐車場に集合した。寺田会長の挨拶と久保副会長の説明を聞いて、3台に分乗しての出発となる。予定では白川郷ICを過ぎ飛騨トンネルを出たところにある飛騨河合PAで一旦トイレ休憩をして荘川ICに行く予定が、私の乗った前田車は一気に荘川ICまで来てしまった。約2時間弱、後の2車は予定通り、ICの駐車場で暫し待ち合わせて合流後、時間があるので道の駅「桜の郷荘川」で時間をやり過ごす。目的とするそば処の開店は11時の由、道の駅からはほんの2,3分の至近距離だった。
 着いた「式部の庵」は豪壮な入母屋造りの民家、まだ新しい築造、入口には本日臨時休業の張り紙、久保さんでは飛騨河合PAから連絡するとのことだったが、もし本当に休業だとすると、その時に分かる筈。とすると我々一行が訪れるので、他はお断りの意味なのだろうか、でもお入り下さいということで謎は氷解した。真新しい豪邸に歩を入れる。柱や梁は檜、床は寄木だが、中々重厚である。玄関には三嶋喜之助の表札、古い家柄とのことだったが、それとこの豪邸との結びつきが今一つしっくり来ない。あるいは古い家屋はどこかへ移築したのか、その辺りのことは当たらず終いになってしまった。
 部屋へ通される。絨毯にシックな机、それに両肘掛けの椅子、豪華な感じ、16名分がセットされてある。メニューは「三種もり」と3人に1皿の「山野草天ぷら」と聞いている。長押の上には、手槍、薙刀、槍が飾られている。また壁には、天ぷらになる山野草の名と効能が書かれているが、大部分はそこらにある野草の類、恐らく春ならば、毒草でない限り何でも天ぷら材料になるような気がする。かなりあり、これには興味が持てた。知らないものも二三あるが、調べてみよう。後で聞いたことだが、出てくる山野草は皆此処の敷地で採れたものとかである。敷地は広い。
 玄関に御神酒が置いてあるのを思い出し、そばが出るまで暫く時間がかかるようだったら蕎麦前をと思い、お年寄りに「おみきを下さい」と言ったら、「おみずですか」と言われ慌ててしまった。なんか若い姉さんは体調不調で店に不参とか、手伝いの方もいるが、どうも話が通じにくい。賄い処へ出向いて、お酒を所望すると、コップでいいですかと言われたから、それで結構ですと言うと、後で持って上がりますと。暫時の後にコップ七分目位のお酒、銘柄は「久寿玉」という地酒、会長に一献、飲みやすい美味しいお酒だ。前田事務局長があと何杯かほしいと言うと、あと2杯くらいしかないと、これはしたり、予め予約する必要があるらしいが、そば屋に酒はつきもの、何と間の抜けた。本当に銚子2本と盃が出て、これで終いとか、面白い店だ。また、どぶろくが解禁になりましたとあるのを見た前田さんが、「どぶろくありますか」と聞くと、「あります」とのこと、「じゃそれを下さい」と言うと、ややあって片口に入ったどぶろくが登場した。匂いが立つ。「もう少しありませんか」と言うと、「これで最後です」と言ってもう一杯の片口を持って来られた。私も貴重な一滴を頂戴した。蕎麦前を出さない店はあるにはあるが、でも本当に珍しい蕎麦屋に出会った。
 先に天ぷらが。説明では「くわ」と「よもぎ」と「はっか」とか、蓬と薄荷は何となくそれらしき香りがする。中々上手に揚げてある。天ぷらは揚げたてでないといけない。お酒もどぶろくも天ぷらもなくなって、最後に「三種もり」が登場した。量は多め、平打ちの田舎、粗挽きの細打ちに更科の細打ち、この中では更科の出来が比較的よいように見える。特に粗挽きの十割の細打ちは切れ切れ、これだけ多くを一気に仕上げるというのは無理のような気がする。少しずつ順に出してもらえば良かったのに。今は端境期で、打つには最も難しい時期、考慮してほしかった。臨時休業と張り紙してあったのに、2組が入って来たが、そばにはありつけたようだった。二組のそばはどうだったろうか。
 辞して白川村平瀬にある「しらみずの湯」に向かう。国道156号線を北上すると、車窓からは「そばの里 荘川」の日本一大きいという五連水車が、御母衣湖畔には荘川桜も見えた。新道脇にできた「しらみずの湯」は、今は湖底の元の大白川温泉の源泉から14kmも導湯して開かれている含硫黄ーナトリウムー塩化物泉、かけ流し、白山から平瀬へ下りた時にはよく利用する温泉だ。源泉の温度は92.5℃、到達温度は約60℃、若干加水されている。肌に優しく、古くから「子宝の湯」として親しまれているとか。
 湯から上がり、久保さんがいつも訪れるという白川村保木脇にある「深山豆富」に寄る。私は何回も通っているのに、全く気付かなかった。堅豆富「石」、深山「雪」豆富(笊入りそぼろ豆腐)、深山こも豆富(味付け)を求めた。保冷剤には冷凍した「おから」、後で味付けすると食べられるとか、考えたものだ。出て白川郷ICから高速道へ、こうして最初の探蕎は無事終わった。恒例で小矢部SAで総括、解散した。

付表
「式部の庵」に記載されていた植物の名称の科名と属名と効能〔庵での記載には誤りもあったので訂正して記載〕。植物名は50音順。

・アマナ(ユリ科アマナ属)〔咳、滋養強壮〕
・イタドリ/スイバ/スカンポ(タデ科タデ属)〔便秘、蕁麻疹〕
・イヌガラシ/アゼダイコン(アブラナ科イヌガラシ属)〔利尿、消炎〕
・ウド(ウコギ科タラノキ属)〔風邪、頭痛、歯痛、リウマチ、神経痛〕
・カキドオシ(シソ科カキドオシ属)〔糖尿病、黄疸、膀胱結石、尿路結石〕
・カタバミ(カタバミ科カタバミ属)〔皮膚病、虫刺され〕
・カラスノエンドウ/ヤハズエンドウ(マメ科ソラマメ属)〔胃炎〕
・カワラボウフウ/ヤマニンジン(セリ科カワラボウフウ属)〔消化促進、強壮、頻尿〕
・ギシギシ(タデ科ギシギシ属)〔動脈硬化、便秘〕
・同上おかじゅんさい(冬のギシギシの包葉)〔耳痛、便秘〕
・キランソウ/ジゴクノカマノフタ(シソ科キランソウ属)〔咳、痰、下痢、腫れ物〕
・クサソテツ/こごみ(若芽)(イワデンダ科クサソテツ属)〔滋養〕
・クワ(クワ科クワ属)〔滋養強壮、糖尿病、関節炎、咳、痰、頭痛、神経痛、リウマチ〕
・ゲンノショウコ(フウロソウ科フウロソウ属)〔高血圧、下痢、便秘、更年期障害〕
・コウゾリナ(キク科コウゾリナ属)〔利尿〕
・コシアブラ(ウコギ科ウコギ属)〔強壮〕
・ゴマナ(キク科シオン属)〔健胃、整腸〕
・スギナ(トクサ科トクサ属)〔糖尿病、肝炎、胆石、膀胱結石、尿路結石、湿疹〕
・セリ(セリ科セリ属)〔神経痛、食欲不振〕
・ソバ(タデ科ソバ属)〔動脈硬化、高血圧予防〕
・タマガワホトトギス(ユリ科ホトトギス属)〔滋養〕
・タラノキ/たらの芽(ウコギ科タラノキ属)〔滋養強壮、糖尿病、高血圧症、疲労回復〕
・タンポポ(キク科タンポポ属)〔滋養強壮、催乳〕
・ツユクサ(ツユクサ科ツユクサ属)〔下痢、風邪、心臓病、浮腫、利尿〕
・ドクダミ(ドクダミ科ドクダミ属)〔便秘、利尿、腫れ物、水虫、蓄膿症〕
・ハコベ(ナデシコ科ハコベ属)〔歯茎の炎症、歯痛、打撲傷、腫れ物、催乳〕
・ハッカ/ニホンハッカ(シソ科ハッカ属)〔消化不良、歯痛、目まい、眼の充血〕
・ハルジオン(キク科ムカシヨモギ属)〔糖尿病〕
・ヒメジョオン(キク科ムカシヨモギ属)〔糖尿病〕
・ヒメムカシヨモギ(キク科ムカシヨモギ属)〔滋養強壮〕
・フキ/ふきのとう(キク科フキ属)〔咳、痰、喉の炎症〕
・マンテンハギ/あずきな(マメ科ソラマメ属〕〔滋養〕
・ユキザサ/あずきな(ユリ科ユキザサ属)〔頭痛、リウマチの疼痛、打撲傷〕
・ユキノシタ(ユキノシタ科ユキノシタ属)〔利尿、浮腫、ひきつけ、腫れ物〕
・ヨメナ(キク科ヨメナ属)〔解熱、利尿〕
・ヨモギ/モチグサ(キク科ヨモギ属)〔健胃、整腸、滋養強壮、気管支喘息、腰痛〕

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