2014年9月12日金曜日

四度目の中の湯温泉(その4)

6.安曇野三郷村の「みさと」なるそば屋
 9月3日の朝、上高地へ行く積もりで、7時に朝食、8時のバスで出発を予定していたが、宿への戻りは昼頃になるので、それなら宿でそばを食べようかと算段した。すると安曇野でのそばはパスしなければならないことに。家内に相談すると、今回は上高地を割愛して安曇野でのそばを優先しましょうということで、そうすることにした。するとそば屋の開店は11時だから、宿は9時半にチェックアウトすればよく、それで朝はゆっくりでき、ここで土産も仕込み、宿の主人に送られて宿を後にした。
 目指すそば屋は安曇野三郷にある庭園そば処「みさと」、電話番号を入力すると、すんなり場所を特定できた。地図を見ると複雑で迷いそうだったが、これで一安心。この店は雑誌「男の隠れ家」に推奨掲載されていたので選んだのだが、なんと築百年の旧家で営むそば屋とか。縁側の向こうには1200坪の日本庭園が広がり、その庭園を愛でながら、地元三郷産の透明感のある香りあるそばを食べられるという。また出汁にも工夫がなされているという。家族5人で切り盛りしているとも。この記事からはすごく家庭的で落ち着いた雰囲気、しかも存分に信州三郷の味を満喫できるように思えた。
 向かう途中に「サラダ街道」なる標識がよく目立つ。でもこの道路沿いにあると言われても、忠実に辿るのはかなり困難だ。とは言え、ナビのお陰で、無事到着できた。開店は11時、15分前に着けた。門があり、竹の移動できる車止めが置いてあるが、車が通れるスペースが開いていて、既に邸内には車が2台駐車していた。それでその隣に車を停めようとしたところ、妙齢の奥さんが出てきて、「まだ開店前なので入らないで下さい。外で待っていて下さい」と。すると先に停めていた方が、「じゃ、私たちも」と言うと、「あなた方は結構です」と。何故か知らないが、とにかく出された。すると車止めが真ん中に移動された。11時になったので車を門の前に移動する。でも車止めが外されたのは2分後だった。
 家内が先に母屋に入った。少し遅れて私も入り、部屋へ入ろうとすると、玄関で待てとのこと。先の1組2人は応接室にいる。家内はというと部屋へ入り縁側から庭を眺めている。「家内はもう中へ入っているのですが」と言うと、しぶしぶ入れてくれた。何とも高飛車だ。座敷には4人は座れる平机が4つ、その一つに座る。ややあってお品書きが届く。お勧めはと訊くと、「御膳そば」という2200円のそば、家内は「天ぷらそば」1580円。先に出された林檎ジュースを飲みながら待つ。やがて黒塗りのお盆に、黒塗りのせいろに盛ったそば。小さい笊には、茗荷、大葉、獅子唐、玉蜀黍、それに紅葉の天ぷら、それに塩。中位の鉢には、冷たい天つゆ、真ん中に茄子,胡瓜、刻み揚げ、白髪葱が入っている。そして胡瓜の漬物が六角の小鉢に。家内のはと見ると、天ぷらがないほかは私と同じ。薬味はないのかと訊くと、天つゆに細工がしてあり、薬味は要らないとの御託宣。他の2組は生山葵とおろし金が配られていて、これは見慣れた天ざるそばだ。家内のは天ぷらそばなのだろうか。何とも解せない。肝心のそばは二八の平打ち、ビチャッとしていて、家内は半分しか食べず、残りを私に、何とも締まりのないそばだった。「ふじおか」のそばが上の上なら、このそばは中の下だ。帰ろうとしたら、応接セットのある間で、御膳そばには抹茶が付いているので、飲んでいって下さいと出される。家内には本来付かないのだが、貴方もどうぞと半量で出された。それにしても実に何とも後味の悪い蕎麦探訪だった。

7.大町山岳博物館
 安曇野から大町へ向かう。時間はまだ午後0時台。大町市制60周年を期にリニューアルされたという大町山岳博物館を見たいと思った。私はこれまで旧館を数回、家内も1回訪れたことがある。ここへもナビの世話になる。建物は少し小高い所ににあり、場所は前と同じだが、規模は倍位、しかも3階建て、外観は煉瓦色、重厚な感じがする。受付では、先に3階へ上がってから順次下の階へ下りながら観て下さいとのこと。入ると左手に武井清による「春の穂高連峰」という100号の油彩、緻密さと大きさに圧倒される。エレベーターで上へ。3階は展望ラウンジ、生憎北アルプスは曇っていて見えないが、晴れていれば素晴らしいパノラマ景観だ。大型画面での「北アルプスの自然と人」の紹介もある。また足下には北信濃の航空写真があり、その自然の素晴らしさを満喫できる。2階の「山の成り立ち」のコーナーでは、素晴らしい大きな化石や岩石が陳列されていて、ぜひ手で触ってその感触を味わって、北アルプスの成り立ちに思いを馳せて下さいとも。また「山と生きもの」のコーナーでは、大町市の市街地から高山にいたるまでの多様な生物を展示してある。こちらの方は触らないで下さいとある。雷鳥の世界にいる仲間の紹介もユニークだった。フロア面積も旧の倍近い。1階は「山と人」のコーナー、先史時代から今日までの山麓での人の暮らしが伺える。また日本の近代登山の幕開けから、ヒマラヤまでの道のりを通史的に捉えてあるコーナーも。そして特別展示室では「山と美術」のコーナー、この日は日本山岳画協会の24人による「日本の山・世界の山」をテーマに、48点の絵画が展示されていた。またユニークなショップもあった。十分堪能して帰路についた。

0 件のコメント:

コメントを投稿