2013年4月25日木曜日

飛騨古川逍遥

「ざる蕎麦 せと」を出たのは正午過ぎ、これからの予定は、高山は丁度桜が満開で見頃なので、臥龍桜を見てから、飛騨古川をブラつこうかということになった。車は和泉さんの奥方の運転で、国道41号線を北へ進む。この臥龍桜、国道からも見えるはずだし、看板も出ているはずで、後は助手席においでの寺田会長に一任した。ところが、もう古川という辺りまで来て、そんな看板は一切見なかったとのこと、狐にだまされたようで腑に落ちなかった。ところで、これは私や前田さんの思い違いで、その場所は、高山市街を北ではなく、南へ4kmばかり行った場所だった。国道からはその臥龍桜も見えるし、標識もあるので、見落とすことはないはずなのだが、如何せん、方角が反対だと分からない訳である。
〔臥龍桜〕案内では、JR高山本線飛騨一ノ宮駅下車、徒歩1分とある。大撞寺境内の臥龍公園内にあり、樹齢1,100年以上のエドヒガンザクラの大樹で、国の天然記念物に指定されている。一本の長い幹が地面すれすれにまで延びていて、枝張り30mにも及び、樹形全体を見ると、さながら龍が臥している姿に見えることから名付けられたという。丁度見頃だったはずで、高山駅から南に4kmばかりだから、方角さえ間違えてなければ、その素晴らしい姿を拝見できたろうに、残念なことをした。
 ところで国道41号線を北上していると、ずっと電柱に、ある区間では「蓬萊」という看板が、ある区間では「白真弓」という看板が、交互に何kmも続く。これが高山より南だと「久寿玉」となる。これは清酒の広告なのだが、石川県では考えられない。さて車は古川の街へ入る。街中のあちこちに駐車の案内が出ている。私達の車は、高山本線の飛騨古川駅の近くの踏切を渡ったところにある飛騨市文化交流センターの駐車場に車を停めた。そして三々五々、今来た道を再び戻り、街の中心部へと向かう。右手に飛騨市役所が見えたので、その前にある観光案内所へ向かう。私が古川に来る時は、大概この駐車場に停めるようにしている。無料である。今日は平日なので案内の人はおらず、適当にパンフレットを頂き、そぞろ歩く。
 先ず始めに「飛騨古川まつり会館」の前を通る。ここでは本物の屋台3台が展示されているし、からくり人形や伝統工芸の実演もやっている。また明日と明後日(4月19日と20日)に行なわれる古川祭の様子なども立体映像で見せてくれる。見たことがあるが、大変勇壮で実に迫力がある。通りの向かい
側には「まつり広場」がある。
 次いで通りを渡ると「飛騨の匠文化館」がある。これは飛騨の匠の伝統技術を駆使して建てられた建物で、中には匠が使った道具等が展示されているし、木組み等も体験できる。
 福全寺蕎麦(あまり旨くない)の前を通り、次に左に折れて壱之町通りの町並みに入る。この街の家々は、飛騨の伝統的な町家建築様式をとっていて、家の軒下には「雲」と呼ばれる腕肘木があり、これはその家を建てた棟梁の印だという。少し歩くと、左側に渡辺酒造店の重厚な建物がある。あの「蓬萊」の醸造元で、建物は国指定有形文化財になっている。またもう少し歩くと、「白真弓」の醸造元である蒲酒造場の古い建物もあり、やはり国指定有形文化財で、白壁の酒蔵は裏を流れる瀬戸川用水を背にして建っている。
 会長の希望で三嶋和ろうそく店へ寄る。240年以上続く「生掛け和ろうそく」の老舗、原料はすべて植物性で、すべて手作業、全国ではもう10軒もないとか。交差点に出ると、対角に本光寺が見える。十四間四面総檜造りで、飛騨では最も大きい木造建築とされる。山門も見応えがある。浄土真宗の開祖・親鸞上人の御遺徳を偲び、円光寺、真宗寺との三寺を参拝する三寺参りが毎年1月15日に行なわれるという。
 瀬戸川に沿ってある白壁土蔵街をそぞろ歩く。この川は古川にあった平城の増島城の壕の水を、新田開発に利用するために作られたもので、世話人の名をとって「瀬戸川」と名付けられたという。現在千尾もの鯉が放流されているという。立派な鯉ばかり、冬期には越冬池に移されるというが、常に流れている川で鯉は休めるのかと思う。さらに歩くと三寺参りの一寺の円光寺に至る。ここの山門は増島城の城門を移築したと言われている。これでざっと一巡したことになるが、飛騨の匠文化館の近くにある大イチョウを見に行く。この樹は今はない福全寺の境内にあったもので、男木で高さ30m、樹齢700年と推定されていて、飛騨市指定の天然記念物になっている。最後に若山牧水の歌碑を見に行く。前半は分からないが、「ひだのくにの 古川の町に 時雨ふるなり」は読めた。
 駐車場へ戻り、午後1時40分に古川を発つ。スキーに通ったことのある数河高原や流葉を通って神岡に下り、県境を抜けて富山の道の駅細入で休憩し、白山IC で下りて出発した「和泉」に戻った。帰着は午後4時10分過ぎ、充実した1日だった。
 今日1日運転の労をとって頂いた和泉さんご夫妻に深謝します。   

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