かねてから家内の友人に一度はと熱望されていた満山荘への訪問の日がやってきた。本来なら予約は3ヵ月前からなのだが、1月初めに問い合わせたところ、予想だにしていなかった OK の返事がもらえた。彼女は勤務の関係で連休でないと出かけられず、年間で連休のとれる日は限られている。でも予約できてよかった。というのも着いた日に訊いたところ、4月、5月の連休や土日は10室すべて満室とのこと、僥倖であった。
4月28日(日)、午前7時に家を出る。途中で彼女と合流し、森本ICから北陸高速道へ、有磯海SAで朝食をとり、妙高PAで暫し休憩し、上信越道の信州中野ICで下りる。今日の昼食は前回行けなかった小布施町の「おぶせ」でそばを食することにしていた。
「手打百藝おぶせ」は上田市の大西氏考案の「おお西流十割蕎麦」を食べさせる店で、発芽そばが売りである。ナビで付近まで行ったが店の場所が分からず、詰めは近所の人に教えてもらった。先客が一組いた。取りあえず「発芽そば」が看板ということもあり、私と家内は「発芽そば切り」「季節そば(木の芽入り更科そば)」「田舎挽きぐるみ」の三つが盛り合わせとなっている「三種そば」(1400円)、それに「えび天」(1000円)と「山菜天ぷら」(700円)を貰う。天ぷらが先に、私は車運転ということもあって、蕎麦前はなしで、ただむしゃむしゃと天ぷらを食べることに。ややあってから三種盛りが赤い長方形の蒸籠に盛られて出てきた。そばは十割の細打ち。先ずは挽きぐるみ、可もなく不可もない出来、次いで季節、そばは淡い緑色、でも木の芽というが香りはしない。ただ更科特有の口当たり。ところで売りの発芽だが、味と香りは良しとして、そばの切りがとても雑で、切れ端があったり、きしめん幅のがあったりで、これはひどい。家内はもうお断りと言っていた。
車をおぶせミュージアムの無料駐車場に移して、町を散策することに。家内の連れはガラスギャラリーへ、その後恒例のごとく栗菓子を小布施堂で求める。私は造り酒屋の松葉屋本店で「北信流」の純米吟醸を、そしてもう一軒の桝一酒造場で 「□一純米」の徳利を求めた。その後桝一酒造の屋敷内の小径を抜け、さらに「栗の小径」などの路地道を辿った。これまで小布施には何回か来ているが、こんな小径は通ったことがなく、初めてだった。こんな裏道の散策は素晴らしく、これこそ小布施のもう一つの顔だと思った。収穫だった。
やがて1時近く、小布施町を通っている国道403号線から県道66号線に入り、松川沿いに高山村の山田温泉に向かう。山道になると、あちこちにエドヒガンと思われる桜が丁度見頃、また枝垂れ桜が満開との表示もある。山田温泉を過ぎて松川渓谷も深くなると、八滝に次いで雷滝の表示、駐車場に車を停め、雷滝へ。階段を下って行くと、滝がゴーゴーと流れ落ちていて、小径は滝の裏側を通って更に下って対岸へ。まことに豪壮、水量も多く、初めての彼女らは感動していた。戻って五色温泉からは九十九折りの山道、300mばかり高度をかせぐと、奥山田温泉に着く。今日は天気が良く、西に北アルプスの山々をパノラマで眺められる。
チェックインして部屋で寛ぐ。部屋は観山館の燕(ツバクロ)という3人部屋、ベッド2つに畳の和室、西側に階段があり、数段上がると床暖房の板張りの部屋があり、ソファとテーブルが置かれ、西側の全面ガラス戸からは北アルプスが、南は奥穂高岳から北は小蓮華岳までの山々がくっきりと見えている。戸を開ければ簀の子のテラス、この前に来た時は少なかったが、今日は沢山のイワツバメが飛び交っているのが見える。陽はまだ高い。先ずはこの時間男湯の展望岩風呂へ。イワツバメを見ていると、岩風呂の天井と新館の天望館の軒下に集団営巣しているようだ。こんなに多くのイワツバメを見たのは初めてだった。風呂から上がって、山々とイワツバメを眺めながら。神の河を飲む。午後6時近く、陽は傾き、夕日が山の端にかかる。北アルプスは小蓮華岳まで、夕日はその右に見えている戸隠連峰へ真っ赤になって沈む。荘厳な一瞬、落日後も空には赤の余韻が残っている。
午後6時半になって「風土」へ食事に行く。テーブルにはこの前の時と同じく創作料理の「北信濃風春の献立」が、色彩感覚が実に素晴らしい。事前に若旦那から料理の説明がある。食前酒で乾杯する。飲み物は地ビールと地酒、料理は全部で11種、揚げたての山菜五種の天ぷらは新鮮だった。食事をしていると、外のテラスに狸の番いが、窓は開けないで下さいと館主、噛まれた人がいるとか、現れたのはそんなに前のことではないとのことだが、今は毎晩夕食頃に現れて、皆さんの食事が済むのを待っているとか、まるまると肥えていて毛並みも良く、実に愛くるしい。互いに毛繕いもしている。客の食事が終わった後、食事を与えるようで、食べた後は何処かへ去るとか。この前来た時は1ヵ月前、雪もあったから、まだ冬眠していたのだろうか。とにかく4度目の訪問で初めrて出くわしたハプニングだった。
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