・2日目:8月4日(土) 宿泊:奥黒川温泉 里の湯ー和らく
隼人駅から特急で鹿児島中央駅へ、ここから9:30発のさくら550号で熊本駅へ、10:25に着いた。ここから高速バスの「九州横断バス」に乗る。当初このバスに乗って阿蘇駅前まで行き、ここで黒川温泉行きのバスに乗り換えて行く予定にしていたが、件の豪雨で国道57号線が寸断されているので、新しい案では、阿蘇猿まわし劇場でバスを降りて、ここから迎えのタクシーで宿へ向かう段取りになった。このバスは熊本から阿蘇を巡って黒川温泉、由布院温泉を経由して別府へ行くという。指示どおり私たちのみバスから降りると、そこに阿蘇エースタクシーが待っていた。時間は12時過ぎ、乗って話していると、今日は黒川温泉まで案内し、明日は阿蘇の火口付近と草千里、その後熊本市内観光をすることになっていて、今日の午後と明日の午前は貸切りでお客様専用になっているという。ところで、阿蘇は明日観光することになっているが、熊本市では「火の国まつり」が催されていて、市内は交通渋滞が予想されるので、今日阿蘇巡りをして、明日は直に熊本へ行くようにした方がよいと仰る。お任せすることにした。
車はお椀を伏せたような米塚(954m)の裾から高度を上げて、烏帽子岳(1337m)の麓に広がる一面の草原の通称「草千里」に至る。この辺りまで上ると、山肌が数条にわたって焦げ茶色の地肌が剥き出しになっていて、一面の緑の中に痛々しい傷痕を晒している。あの豪雨が此処でも猛威を振るったことが歴然としている。阿蘇山ロープウェイを左に見て、有料の阿蘇山公園道路へ入り、中岳(1506m)火口へ向かう。凄く風が荒い。吹き飛ばされそうな風、火口からは白い煙が立ち上っている。しかし風で煙が吹き消されて、底に緑色の池が垣間見えた。神秘的な色だ。あれは水だという。火口壁は荒々しい断崖、これ程に活動している火山の火口を目の当たりに見るというのは、他に例がないのでは。活火山は大概が立入禁止になるのに、此処だけは例外らしい。しかし至る所にシェルターがあり、これが必要なこともあるのかなあと思ったりする。
再び車上の人となり、パノラマラインを北へ向かい、所々に設けられている展望所で広大なカルデラや外輪山を眺める。また外輪山の上を走る道路からは、急峻な外輪山や阿蘇五岳が見え、十分に阿蘇を堪能した。この後どういう道程で、どこをどう通ったかは皆目検討がつかないまま、午後3時頃、今宵の宿の「里の湯ー和らく」に着いた。広い道路から狭い山道を回り込んでの最初の宿だった。パンフレットには奥黒川温泉とあったが、入り口なのか奥なのか、この山の中では判然とせず、また見回しても周りに宿は全く見えない。当初は湯巡りを楽しもうと思っていたが、とても歩いて巡るのは、この宿からは難しそうなので、断念した。入口は巨大な茅葺きの山門、タクシーが着くとすぐに宿の人が出迎えてくれた。バス停からだと徒歩で30分とか、タクシーで助かった.
記帳を済ませ、11室あるというとある和室に案内される。入り口は6畳、テーブルが置かれ、奥には板張りの和室に和風ベッド、既に布団が敷いてある。どこかでも経験したが、お客が部屋に入ってから出るまで、宿の人は一切干渉しないということらしい。和室の奥は板張りの広いテラスになっていて、テーブルとチェアが置いてある。和室の向かいはドアで仕切られ、洗面所とトイレ、その奥にはテラスとは大きな透明なガラスで仕切られた大きな檜の湯船、大きさは縦3m横2m、深さ60cmばかり、お湯が掛け流しになっている。実に贅沢だ。テラスや湯船からは、火焼輪知川のせせらぎをはさんで、緑の野山が見渡せる。
露天風呂へ行く。この時間帯、男性は洞窟風呂の穴湯、部屋の湯と同じく無色透明な湯。一方この時間帯は女性専用の露天風呂は、お湯が乳白色、泉質が違うようだ。穴湯は岩が円形にくり抜かれた空間に円形にくり抜かれた岩風呂、ふんだんな掛け流し、至福の一時である。部屋は自動ロック、キーは2個あり、それぞれに持っているので、好きなだけ浸かっておられるのが良い。泉質は乳白色の含硫黄泉とナトリウム塩化物・硫酸塩泉(弱酸性低張性高温泉)、泉温は90℃、流量は100ℓ/分。ここ黒川温泉では6種類もの温泉が楽しめるという。湯巡りが推奨されるわけである。
しばらく寛いでから食事へ、食事処は母屋にある「むぎの香」、オープンキッチンになっている。祝酒のレーベンブロイで乾杯し、お酒は生ビールとモエ。料理は以下のようだった。
〔和彩〕箒茸信田巻豚肉角煮、水前寺生海苔鳥貝旨酢掛け、焼茄子蛸梅肉漬け。〔味彩〕穴子チーズ焼、銀杏松葉串、馬肉たたき、プチトマトワイン煮、フォアグラのソテー、石川小芋雲丹焼、鰯梅煮。〔小向〕太刀魚昆布〆焼霜造理。〔向附け〕鰺姿造理、鮪平造理、鯒薄造理。〔合肴〕舌平目木の芽揚げ。〔お凌ぎ〕三味素麺。〔留肴〕和牛ステーキ野菜添え。〔食事〕梅茶漬け。〔新香〕いぶりがっこ、野沢菜昆布。〔水菓子〕デザート盛り合わせ。
2012年8月14日火曜日
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