2010年8月24日火曜日

飛騨そばの老舗 恵比壽本店(高山市)

 子供達3家族が旧盆で一堂に会することができるのは8月13日しかないというので、夕方6時半に集まることにした。いつもはこちらで料理するのだが、今年は略して個々に手巻き寿司でやるのだという。その材料だけは家内が調達し、私も刺身のサクを切り分けるのを手伝った。しかし総員13名ともなると、大きなテーブルでもすし詰めの状態、その上寿し飯や沢山の材料がのっかるものだから、修羅場である。この類は家では初めてだが、子供達の家族ではチョクチョクやるという。まあ大変な賑わい、私はそんな喧騒の場には加わらずに、用意されたレタスと生ハムで赤ワインを飲んでいた。
 そろそろ孫達もお腹が膨れ、別の部屋へ移動した。長男が明日どこかへ皆で行こうと言う。15日は旧盆、16日には長男も横浜へ帰るから、もし一緒に出かけるとすれば明日の14日しかない。何処にするかも問題だったが、何かのはずみで高山へ蕎麦を食べに行こうということになった。どうも私が蕎麦を食べに行くのなら付き合いすると言ったらしい。次男の家族は保留、三男の家族は小旅行で参加できないという。金沢から高山までは2時間ばかり、それで家を朝10時に出ることにする。
 当日私は家内の車で行こうと思っていたら、突然私に運転の命が下った。そんな折、次男の家族も同道したいとの連絡、じゃとにかく10時に家を出てほしいと伝言する。長男と私達は10時に家を出た。ルートはともかく、北陸道の小矢部SAで集合することにする。長男は金沢西ICから、私達は例の如く山側環状から森本IC経由で向かうことに、次男も私達と同じルート、ところがこの日のこの時間帯、山環は強烈な渋滞、ノロノロは高速道に上がるまで続いた。私達が小矢部SAに着いたのは11時53分、次男が着いたのは10分延、それに対して長男は11時頃の着き、ここで朝食も取れたほどの余裕、高速道はそんなに混んでいなかったから、早くに高速道へ上がった長男の作戦勝ちだった。天気は小雨模様、3台ともガソリン補給し、次は飛騨清見ICの手前、長い飛騨トンネル(10.7km)を抜けた飛騨河合PAで集まることにする。
 東海北陸自動車道は大部分が2車線、片側1車線の対面通行、バラバラになることもなく河合PAに着いた。トイレ休憩して清見ICへ向かう。この辺りはトンネルと橋が交互といった山岳地帯、ICを出て、そのまま高山清見道路を高山へ、目的とする蕎麦屋は老舗の恵比壽本店にした。市内の道路はことのほか混んでいる。先ずは駐車しなければ、蕎麦屋にも若干の駐車スペースがあるらしいが。通りをゆるゆる走っていると、丁度駐車整理をしているのに出くわした。渡りに船、そこは高山別院の境内だった。料金は前払い、夕方5時までには出ると言うと800円、一安心して蕎麦屋に向かう。
 雨はまだ降っている。漸く目的の店を特定できた。この店を選んだのは、高山市で最も古い店だし、名前は思い出せないが、誰かがこの店で修業したと書いてあったからで、一度訪れたかった店である。外見は古い平屋建て、屋根の勾配が緩く、以前は板葺きだった雰囲気だ。入り口の上の厚い一枚板には横書きで「手打そば 恵比壽本店」とある。そしてその上には立派な飾り屋根のついた大きな行灯が鎮座し、「そば」「宇どん」とある。また入り口の行灯には「ひだ手打そば ゑびす本店」と、また暖簾には「飛騨そば 明治31年創業」とある。ここは高山市上二之町46、この場所は創業時と変わっていないそうだ。中へ入る。手前の土間にはテーブル席が、十数人は入られよう。奥は上がり框になっていて、二人座れる小さな座机が20ばかり、人数によって離合集散できる仕掛け、私達は通路を挟んで右手に2家族8人、左手に私達2人が座った。奥には坪庭が、涼しげだが、戸が開け放たれていると、むしむしする暑さがそのまま部屋に流れ込む。私達は「天ざる」を注文した。皆思い思いに注文するが、見たところ「天ざる」が最も多い。ただ天ざるは、天ぷらの揚げたてをお持ちしますので少々時間がかかりますと。最も注文の早かった私達のところに漸く天ざるが来た。そばつゆとは別に天つゆと塩が付いている。これは良心的だ。ただ「ざる」にはたっぷりの刻み海苔が、「ざる」と「もり」の違いが海苔のあるなしということがあったが、それを踏襲しているのでは。蕎麦粉は業者から購入した粉を二八で打っているのだろう。今は四代目が打っておいでとか。打ちは大変きれいで、切りも丁寧だ。ただ蕎麦の産地とかは不明で、時期が時期だけに、香り高いそばを求めるのは無理だ。そばは並み、量は多いほうだ。片や天ぷらの方は大変上手に揚げてあって、海老も野菜も満足いくものであった。私達が食べ終わった頃に、やっと次男のところに「天ざる」が届いた。
 店を出る頃には雨も上がり、古い町並みをブラつき、ゆっくり買い物をした。付き合いも孝行のうちか。孫たちもお気に入りの土産を買い、満足げだった。私も「鬼ころし」の本舗で、蕎麦焼酎「甚六」をゲットした。終えて駐車場を出たのは午後5時少し前だった。

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