・オハグロトンボ
お盆前に路地の草むしりをしていた土曜(7月31日)の午前、この日はオオバコに絞って根から抜く作業をしていた。オオバコは小さくてもしたたかで、小さくても穂をつけ、実もつけている。一区画の掃討が済んで、取った草を竹薮(孟宗竹と矢竹)へ捨てに行った折に、薄暗い林床でオハグロトンボ数匹に出会った。何十年ぶりのことである。ずっと昔、それは昭和20年代だろうか、裏の背戸では普通に見られていたのに、いつの間にか姿が消え今日まできた。それが突然現れたものだから驚いた。正式な和名はハグロトンボ、イトトンボ亜目、カワトンボ科に属し、以前はハグロカワトンボともいった。翅が黒く、尾?は雄は黒緑色、雌は黒褐色、全身黒づくめのトンボである。飛ぶ様は翅をゆっくり上下し、蝶よりももっと優雅にひらひらと飛ぶ。このように翅が黒いからハグロと思いがちだが、名の由来は黒色でも「お歯黒」の色に似た色のトンボということで、私たちが子供の頃にはオハグロトンボと言っていたが、するとこちらの読みが正統かも知れない。しかしどうして出現したのか、背戸には南北に用水が流れているが、幼虫のヤゴが生息できそうな環境はというと、?がつく。来年ももし見られるならば、用水の曲水のどこかで繁殖しているということになろうか。でももし一斉消毒されると、生息できないかも知れない。
・オナガとヒヨドリ
オナガはカラス科の、ヒヨドリはヒヨドリ科の留鳥である。どちらも群れで庭に来て、よく啼いている。オナガは頭が黒く、背は灰褐色、翼と長い尾は青灰色、喉から腹は灰白色、そして尾の先が白い。郊外ではよく見かける鳥だが、私にとっては特にお気に入りの鳥でもある。ところでカラス科の鳥は皆鳴き声がよくなく、オナガも例外ではない。鳴き声は文字では表しにくいが、敢えて書くと、グェーイグェイグェイグェイグェイとギューイギュイギュイギュイギュイの中間の発声になろうか。庭に来ていると姿でも声でもすぐに判る。一方のヒヨドリは頭と胴体は灰色の羽毛に被われ、頬に褐色の部分があり目立つ。翼と尾羽は灰褐色で、飛び方に特徴があり、波のような上下動があり、一目でそれと判る。鳴き声はヒーヨヒーヨかピーヨピーヨと聴こえる。こちらも来ているとすぐに判る。どちらもある程度の群れをなしているからか、両方が一緒にいることは少なく、どちらか一方が占拠するような状況になる。ただどちらも長逗留することはない。もっとも両方の群れを包容するほど大きなキャパがないことにもよるのかも知れない。私は雨が降っていなければ山側環状道路まで早朝に往復しているが、途中の久安一丁目にある御馬神社の境内の森にはいつもヒヨドリがいて、棲みついているというような印象を受ける。
・庭に昔はなかった草木が生えた(続き)
〔イワヒバ〕イワヒバ科の羊歯植物で、そのものは観賞用として市販されている。大概は岩に付着した形で、ヒバの葉に似たような印象があるから命名されたと思われる。ところで道路(旧北國街道)を隔てた向かいの家2軒の庭には、イワヒバが付いた岩が鎮座している。私の家にも石や岩があるが、私の家の前庭に生え出したイワヒバは、岩でなく露地に育っている。そしてこの野性的なイワヒバはどんどん増える傾向にある。だが起源は前2軒からかどうかは判らない。家内が春先に前年の古葉を刈ったところ、後に綺麗な新葉が出てきた。 〔ヒメツルソバ〕タデ科の植物で、ヒマラヤ原産だという。花はピンク色の小花が毬形にまとまっていて、盛夏以外は年中咲いている。葉は赤みがかった緑色、中央にV字形の斑紋がある。茎は匍匐性で、どちらかというと乾いた地面を好むようだ。一面びっしりになるのでグラウンドカバー植物となる。どうして私の家に訪れたのかは全く不明だが、家とアスファルト舗装との間の隙間に種がこぼれて芽吹いて、今では玄関の外のタタキの半分を覆い尽している。まん丸な球花が可愛い。 〔センリョウ〕センリョウ科の常緑小低木。漢字では千両と書き、冬には赤い実をつけることもあって、お正月にはやはり赤い実をつける万両(マンリョウ:ヤブコウジ科の常緑小低木)と共に縁起物とされる。去年の秋、前庭に十数株の赤い実をつけたセンリョウを見つけ家内に話したところ、以前に誰かから貰った苗木をコウジミカンの根元に植えたとのこと、どうもこれが元になって、実が散らばり殖えたらしい。よほど環境が好かったのだろう。そこはまたフキの原でもある。 〔余談〕縁起物としては他に百両と十両がある。百両とはヤブコウジ科の常緑低木のカラタチバナ(タチバナ)のことで、赤い実をつける。花は白色の5弁花で、文化勲章のデザインとなっている。また十両はヤブコウジ科の常緑小低木のヤブコウジのことで、やはり赤い実をつける。これは私の家の庭にも生えている。これら万両、千両、百両、十両は本来は赤い実だが、白い実をつけるものもある。
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