2016年3月2日水曜日

久保さん夫妻とのみちのくへの蕎麦屋巡り(その3)

4.再度のみちのく蕎麦ツアー 平成15年 (2003) 5月30日〜6月1日
 このツアーに参加されたのは、第1回に参加した久保夫妻,小塩、砂川、波田野会長、前田、松田と私に、新たに石黒、和泉、永坂、野村、平澤、米田の諸氏が加わった14名である。
第1日 5月30日 (金)
 砂川さん運転のマイクロバスで金沢を早朝に発ち、昼には鶴岡市の「寝覚屋半兵衛」に着いた。ここは「むぎきり」と「そば」のみの店、欲張ってその合い盛りを頂く。この店明治6年の創業、現当主は5代目、屋号は「目が覚めるような美味しさ」からとか、また下半分は初代の名とか、そばは歯ごたえ十分だった。次いで羽黒町にある出羽三山神社に参拝した。三山とはs、羽黒山、月山、湯殿山のこと、雪形の残る月山がきれいだった。それから朝日村にある湯殿山注連寺へ、この寺の本堂には恵眼院鉄門上人の即身仏がガラスケースの中に安置されていた。初めての拝見、ここに至る迄には凄まじい修行と年月が必須とか、久保さんでは山形には八体あるという。この後天童市の宿舎「滝の湯ホテル」へ。この日の夕は丁度祝賀会があり、女将とは会えなかったが(翌朝ご対面) 、3年ぶりに天童蕎麦道楽衆とは懇談できた。
第2日 5月31日 (土)
 平澤会員は山形の出身とかで、案内されて山形市の山寺立石寺へ行く。頂上まではかなりの標高差、でも私、野村、石黒の順に登拝、往復した。その後北上し、大石田町の「手打大石田そばきよ」へ行く。ここは「板そば」と「かいもず (そばがき) 」のみ、酒は十四代、漬物はお代わり自由、何とも嬉しい店だった。次いで南下して東根市に至り、東根小学校の校庭にある国指定特別天然記念物の大欅を見る。樹齢1500年、幹回り13m とか、畏敬の念で仰いだ。そして平澤会員推奨の寿屋で名物漬物を土産に買い、その後は佐藤錦などのさくらんぼ園を見ながら南下し、上山市の「原口そばや」へ。古い茅葺きの民家、創業は大正3年、現在は3代目、「もり」と「そばがき」のみというこだわり、その味の深さは、壁に多く貼られた色紙を見ても頷けた。今宵の宿は最上川上流の大樽川沿いにある標高 850 m の秘湯、米沢市白布温泉の「中屋別館不動閣」である。ここでは王将戦や本因坊戦が行われたという由緒ある宿である。
第3日 6月1日(日)
 近くにある白布大滝を見て、バスで峠を越えて裏磐梯へ、更に3年前に寄った山都町宮古の「なかじま」へ。途中、村松友視氏命名の「夢見水」を口に含む。そして再びあの「水そば」に邂逅したが、以前食した時より細めで腰が柔らかく、前の面影はなかった。訊けば都会の女子衆の要望に応じてこのような「そば」にしたとか。時の流れなのであろうか。残念だ。

5.三度目のみちのく蕎麦ツアー 平成16年 (2004) 9月18〜20日
 このツアーに参加したのは、第1回に参加した久保夫妻、小塩、砂川、前田、松田と私に、2回目参加の石黒、野村、新たに寺田、中岸夫妻、松川の諸氏が加わった13名。
第1日 9月18日(土)
 三連休を利用した今回の旅、砂川さん運転で早朝に金沢を発ち、昼には山形の白鷹町の「千利庵」に着いた。久保さんでは白鷹町は近年「隠れそば屋の里〕として知られるようになった由、ここの「しらたかそば」は十割の白い細打ち、良品だった。前庭には三椏 (みつまた)、初めて見た。天気が良く、1日前倒しして蔵王の御釜へ向かう。蔵王連峰刈田岳下にある火口湖は青く澄んでいた。この前訪れた時は濃霧だったが、今度もやがて霧に閉ざされてしまった。バスで麓にある、とはいっても標高 900 m にある蔵王温泉の「深山荘高見屋旅館」に入る。享保元年 (1716) 開業という老舗旅館、この温泉、玉川温泉に次ぐ強酸性の温泉とかだった。
第2日 9月19日(日)
 この日の本命は初回にも訪れた「あらきそば」、途中前回にも寄った東根市の大欅を見た後、村山市へ向かう。着いたのは 11 時 15 分前、この到着時間が絶妙だった。すんなり入れたものの、開店の 11 時には満席になった。しかも外には客が次々と、僥倖だった。注文は「身欠き鰊の味噌煮」と「うす毛利」、そばは太く荒々しく野性的、しかも量が多い。終えて白鷹町の鮎祭り会場へ寄るが、最上川に架かる簗場には落ち鮎の姿はなく、面々は誰も大振りな鮎の焼物には手を出さなかった。次いで久保さんも初めてという上山市の「村尾」へ。出されて食した白いそばは味なくまずかった。久保さんの論評では論外とのことだった。そして今宵の宿は昨年と同じく米沢市白布温泉の「中屋別館不動閣」。今年は昨年と異なり満館、しかも一月先までもとか。
第3日 9月20日(月・祝)
 早朝、大樽川に懸かる白布大滝へ。急な径は金漆 (こしあぶら) の喬木林の間を縫うようについている。この木は笹野一刀彫の鷹ポッポの材と聴いた。宿を出てバスで一旦峠まで往き、引き返して高台から最上川源流の赤滝・黒滝を遠望した後、再び白布温泉へ。そして再度白布大滝を見る。それから米沢市郊外にある笹野観音堂 (長命山幸徳寺) 別名アジサイ寺へ行く。さらに上杉家歴代藩主の墓所がある上杉氏廟所を訪ねた。そしていよいよ今日の本命の「蕎酔庵」へ。久保さんでは以前は米沢市内にあったそうだが、今は郊外の田園地帯、ミゾソバが溝に咲き誇る、日射しが眩い場所にある。ここは一茶庵系、十一、次いで十割をもらう。清々しい逸品に感激する。満足し蕎酔庵を後にした。そして締めは「そば」ならぬ「吉亭」の「ステーキ」、ワインと極薄のレアとミディアム、よくぞその極めつけの技に感心した。

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