2016年3月17日木曜日

大白川の秘湯と能登島のそば(その1)

1.はじめに
 唱和50年 (1965) に、当時の朝日旅行会 (現株式会社 朝日旅行) によって、(社) 日本秘湯を守る会が設立され、平成27年 (2015) 現在、31都道県に178軒の会員宿がある。そして3年間の間にこれらの宿の10軒に宿泊すると、訪れた宿の中から希望で選んだ1軒に、年末年始、ゴールデンウイーク、旧盆以外の日曜〜金曜に、1泊宿泊の招待をされるという仕掛けになっている。ただこれに該当する宿泊は、あくまでも個人で行った時のみであって、団体で行ったような場合には該当しない。探蕎会でも過去に3度ばかりこの会の宿に泊まったことがある。
スタンプ帳を見ると、平成25年 (2013) 4月に2巡目のラリーに入り、この3月で有効期限が切れることが判り、慌てて比較的近くにある岐阜県の平瀬温泉の「ふじや」に出かけた。これまで2巡目で訪れたのは、長野県の奥山田温泉3回、角間温泉、七味温泉、白骨温泉、中の湯温泉、小谷温泉に各1回、岐阜県の福地温泉に1回の計9回である。年別では、初年が5回と最も多く、2年目3回、3年目1回、そして今年1回で、計10回となる。

2.3月13日 (日) 一路白川郷へ
 朝9時半に家を出た。天気は良く、山側環状道路ー北陸自動車道ー東海北陸自動車道と継いで、白川郷 IC で下り、国道 156 号線を南下し、先ずは荻町の白川郷合掌造り集落へ寄る。世界文化遺産に指定され、国指定の重要伝統的建造物保存地区であることからして、平成26年 (2014) 4月以降は集落内に車を入れないとかで、村営せせらぎ公園駐車場へと誘導された。この有料駐車場は集落とは庄川を挟んだ対岸にあり、案内では大型バス38台と普通車188台が駐車可能とある。着いたのは11時過ぎだった。普通車のスペースは若干余裕があるものの、観光バススペースは残りが少ないようだった。そして駐車場に隣接した庄川左岸の堤防には、まだ雪が残っていた。でも対岸に見える集落の家々の屋根には雪は全くない。
 庄川に架かった「であい橋」を渡る。橋の幅が比較的狭いので、左側通行でお願いしますとある。見ると日本語ばかりでなく、英語、中国語、韓国語でも表示してある。確かに中国や台湾の人たちも多く見受けられ、皆さんスマホを持ち歩いている。橋を渡り、神社の脇を通って集落に入る。今日は日曜日のせいか、とにかく人が多い。村の中心を縦貫している旧国道156線の本通りを横切り、先ずは山手にある明善寺へ向かう。ここは岐阜県の重文とある。山手の東通りに沿って歩く。途中に手打ちそば処と書かれた幟が出ている店があり、沢山の人が並んでいた。中を窺うと、止まり木のみの小さな店だった。気が動いたが諦めて、更に進んでやはり岐阜県重文の長瀬家に入る。この家は白川郷最大級の5階建ての合掌造り家屋、五箇山の合掌造りの家には入ったことがあるが、白川郷では初めてだった。入館料は大人300円、1階には祝祭道具と代々漢方医の当主が使用していたという薬棚、中でも大きな仏壇と九段重ねの朱塗りの盃と片口には目を見張った。3階には生活用品等、4階には山仕事に使う道具や農機具などの展示、私たちが小さい頃に周りにあった品々の数々を懐かしく見ることが出来た。また屋根裏に結わえてある縄の色が真新しく、訊くと5年前に80年ぶりに屋根の葺き替えをしたとか。その模様は NHK で放映されたとか、そう言えば私も見た記憶がある。またこの前に此処を訪れた時は、丁度「結い」で茅葺きの屋根の葺き替えをしているのに遭遇したことを思い出した。
 昼も過ぎて、展望台へは上がらずに本通りへ戻り南下する。とにかく外国人観光客が多い。東洋人に混じってフランス人のご一行もいる。通りに面して「五平餅」「みたらしだんご」と書かれた看板が出ている店には人だかりがしていて、外国の方もいる。家内は食べたいと言って列についた。暫くして嬉々として団子を2本ゲットしてきた。私にも1本と差し出してくれたが、ノーサンキュウである。食べながらブラつき、やがて1軒の軽食堂に入った。ここも店内は客で溢れている。店前に置いてある順待ちのノートに記帳し、暫く待って案内され中へ入る。家内は山菜うどん、私は山菜そばを注文する。暫くして、空いた隣りのテーブルに、シンガポールかマレーシアからと思しき6人が掛けた。皆さんスマホを駆使している。見ればお品書きには英語でも名称と内容が記されている。店員は会話は無理だが、片言での品物の説明は OK のようだった。それにしてもこの店、40人は優に入ろうというのに、厨房には3人ばかり、品は何でも有りなこともあって、手がまわらないのか、私たちも注文してから届くまで30分以上も待たされた。隣のテーブルも注文はそれぞれが個々に別々、何でも有りにしては仕事は丁寧なように感じたが、いつ皆が食べ終わるのだろうか、人ごとながら気になった。
 再び本通りに出てブラつく。車が通らないので歩行者天国のような感じ。外国人がやけに多いように感じる。以前にも何回か訪れているが、こんなに多いのは初めてだ。橋を渡ってせせらぎ公園に戻り、堤防を歩き、県重文9棟があるという合掌造り民家園まで歩く。傍らにはそば道場もある。民家園に入ろうと思ったがかなり広大で、料金所の前で引き返した。そろそろ午後2時近く、駐車場への帰り際、「総合案内であいの館」に寄った。そこにはここ白川郷の各国語のパンフレットが置いてあった。日本語のほか、中国語、韓国語、タイ語、英語、ドイツ語、フランス語、スペイン語など、高山市内でも外国語パンフレットを見たことがあるが、こんなに多言語のにお目にかかったのは初めてだった。

0 件のコメント:

コメントを投稿