5月の探蕎は信州へというのは総会時には決まっていたものの、出かける日も場所も未定であった。いつもなら副会長で信濃通の久保さんがセットして下さるのだが、今回は会長も参加できないとかで、そのお鉢が私と松川さんに回ってきた。それでこの信州探蕎に最終的に参加することになったのは、ほかに松田さんと和泉さんご夫妻の3人の計5人、それで松川さんの車に5人乗って出かけることにする。車選択の一因はカーナビ装着で、不案内な土地へ出かけるには必須と考えたからである。それで相談の結果、出発日は5月7日(火)、また折角信州まで出かけるのだから1泊しましょうということで、宿は以前探蕎会で宿泊したことのある別所温泉の「七草の湯」、立ち寄る蕎麦屋は、初日は「つる忠」、二日目は宿から推薦のあった「美田村」とした。
5月7日の朝7時40分に、例のごとく白山市番匠の「和泉」を出発する。白山ICから北陸自動車道へ、途中有磯海PAと上信越自動車道の妙高PAで休憩する。妙高PAで立ち寄る予定の「つる忠」に電話したところ、本来は日曜と月曜が定休日なのだが、連休で営業したので、8日(火)9日(水)はお休みとか、それではと別所温泉の「美田村」へ行くことにして電話すると、営業してますとのこと、石川県の5人で予約し、場所をナビに入力して出発する。ナビに従って高速道を坂城ICで下り、一般道を別所温泉へ、途中ナビで永久廃道に案内されたりしたが、隣の立派なバイパスへ移って先へ進む。上田電鉄の踏切を渡ると、そこはもう別所温泉、目指す蕎麦屋はもう近い。ところで、とある小さな交差点でナビに従い曲がらねばならないのに、ついうっかり行き過ぎてしまったが、ナビではバックはご法度のようで、先へ進んで道をぐるりと回って漸く件の交差点へ、そして目的の店へ着くことができた。駐車場では車を前向きに停めるようにと注意書きがあり、思うにそれは排気ガスが植木にかからないようにとの配慮のようだ。18台駐車できるとある。
● 石臼挽き手打蕎麦「美田村」 上田市別所温泉 1859-12 TEL 0268-38-2739
外見はこじんまりとした店、植木を縫って店に入る。主人の三田村さんが石臼で蕎麦を挽いているのが見える。奥の一画のテーブルに席が予約されていた。店内は飾り物が多く満艦飾の感、大きな御幣までも鎮座している。そばは店の方の推奨もあって、親父手挽きで十割の「田舎おしぼりそば」(1500円)をお願いする。蕎麦前は常温の「飛鳥」という地酒(600円)、一品に「山菜天ぷら盛り合わせ」(800円)を2つ注文する。そばは1人前200gとかである。山菜は、うど、たらのめ、こしあぶら、せり、ふきのとう、こごみ とのことで、一盛りで出てきた。お酒の妻には、野沢菜と独活の味噌漬けがついた。「田舎そば」は角盆に丸い蒸籠に盛られて、ほかに白い小皿2枚に塩と信州味噌、そして白の器に辛味大根のしぼり汁、初めはそれぞれでそばを味わって下さいと。そばは中細、香りはともかく、そばの味は存分に味わえた。やや置いてからそば汁が出され、後で味噌を出汁に溶いて下さいと。そば汁は大変美味しく旨く、得がたい味だった。「かえし」には特に吟味してるという。食べなかったが、蕎麦がきも旨そうだった。そばはこのほかに外二のそば(手挽きでない)があり、冷たいのも、温かいのもあるとか。手打ちの冷たいうどんもあるという。帰り際に、これはサービスですと言って、綺麗な桜色をしたプリンを出してくれた。程よい甘味だった。
〔営業時間 午前11時〜午後3時、定休日 毎週木曜日〕
美田村を出て裏に回ると、山田池が眼下に広がっている。塩田平のため池群では2番目に大きい池とか、遠景は高峰高原と浅間山、長閑な風景である。ここから初めてという方もいて、空海上人開基の古刹「前山寺」へ行くことに。私はこれで三度目、今回は下の駐車場から参道を歩く。入り口に欅の巨樹、山門には「真言宗独鈷山法蔵院前山寺」とある。200mもあるという参道には松や桜や欅の大木が植わっている。石段を本堂へと上がると、更に一段高い処に重要文化財の「未完の完成塔」と呼ばれ親しまれている三重塔がある。庫裏へ上がり、よく手入れされた庭を愛でながら、私以外はここの住職夫人手作りの「胡桃おはぎ」を賞味する。庭には沢山のショウジョウバカマが植わっていた。
辞して今宵の宿の別所温泉「信州の奥座敷 七草の湯」へ向かう。到着は3時20分。玄関も館内も畳敷きでバリアフリー、3階の2室(花ざかり、花ごよみ)へ案内される。お茶請けに袋入りの地元の和菓子5種とお酒の友の味噌漬け(舞茸、野沢菜、山独活、山海月など)が、一寸多過ぎる感がある。暫く歓談した後、最上階の6階にある浴場へ、ここの湯の泉質は単純硫黄泉、源泉の温度は52℃とある。内湯からも露天風呂からも、塩田平と千曲川向こうに広がる上田の町並み、そして背後の菅平高原、高峰高原、浅間山を望見できる。湯上がりに部屋で「飲み比べビール」を、先ずはヒューガルテン・ホワイトというベルギーの小麦から醸造したというビール、何という上品な、色も白くビールとは思えない代物だった。次いでアサヒスーパードライ、これこそビール、この順序が逆だったら大変だった。午後6時半からの食事はテーブル席、夕食の膳は「皐月のお料理」、食前酒で乾杯し、料理を頂く。お酒は熱燗と岩魚の骨酒、十分に堪能した。部屋へ戻ると、眼下に別所温泉から上田の市街へ続く光の帯、夜景を飽かず眺める。
「皐月のお料理」のお品書き:「食前酒〕洋梨ワイン.「先付」二色胡麻寄せ(百合根 山葵 美味出汁).「前菜」若鶏新丈 烏賊小袖 三色百合根団子 りんご砧巻き 浅利の辛子酢味噌和え.「御椀」若竹豆腐 白玉 小蕪 春小椎茸 木の芽.「御造り」鮪 甘海老 鯛 湯葉 妻色々 山葵.「鉢肴」鰆の照り焼き 生麩田楽 海老.「煮物」菜の花道明寺(独活 筍 梅花人参 梅花里芋 青味 銀餡).「強肴」信州黒牛の陶板焼き.「揚物」白魚黄味揚げ 南瓜湯葉巻き こごみ 香り塩 レモン.「御飯」筍の炊き込み御飯.「止椀」信州味噌仕立て(わらび 豆腐 油揚げ).「香物」季節の漬物.「水菓子」果物とシャーベット. 七草の湯(旧菊乃屋)料理長 松本洵承。
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