2010年6月10日木曜日

今春のぎょう虫検査も漸く峠が見えてきた

 私の肩書は(財)石川県予防医学協会検査部顧問という閑職で、これといったノルマは全く無い。ただ春と秋の学童健診のうち、とりわけぎょう虫検査については全面的に協力することにしている。春の学童健診は新学期の4月~6月に実施され、検尿と寄生虫検査が柱である。検尿は石川県在住の乳幼児から高校生までの延べ14万人を対象に、尿糖と尿蛋白の検査をする。多い時は1日に1万人分の検体検査を行うが、この検査はその日のうちに実施しなければならないので、正直言って人海戦術で対応しないとこなせない。一方の寄生虫検査は、糞便による寄生虫卵の検査を2万人、ウスイ式粘着セロファンによるぎょう虫検査を7万5千人を対象に実施し、こちらの方は主として石川県内のほぼ全域の保育園、幼稚園、小学校が対象である。このうち寄生虫卵の検査での保卵率はほぼ0%で、人糞が肥料に使われることが皆無になった日本の農業事情からすると、検査の必要性は全く無くなったといってよいが、何となく惰性でやられているという感じである。ところがぎょう虫の方は、毎年1%弱の保卵率を維持していて、こちらの方は現行の保卵者への対処方法を続けている限り、ぎょう虫の撲滅はおろか、減少改善も無理、どちらかというと温存に相応しい対応と言える。何故か。それは、極端な言い方をすれば、虫卵が見つかった患者当人のみの除虫治療のみでは、糞口感染による潜伏感染者がいても野放しとなり、したがって改悪された現行の対応では、ぎょう虫の蔓延を防ぐことに寄与することにはなっていない。ということは感染者は決して無くなることはなく、結果的に次々に感染し常在することになる。感染の有無を確認するには、この検査は簡便で最適だが、その結果に対する現行の対策では、未来永劫まで存続する検査だと言える。正にモグラタタキである。
 寄生虫予防法が廃止され、学童における寄生虫検査はぎょう虫検査も含め、全く自主的な検査となった。でも何となく惰性で、とりわけぎょう虫検査は子供がいる県下の全施設で実施されているのが現況である。もしぎょう虫に感染しているとすると、通常成虫は盲腸に生棲しているとされている。時期が来て、雌虫の子宮内に虫卵が充満してくると、大腸内ではなく、必ず宿主であるヒトの就寝時に直腸を通り肛門外にまで出てきて、肛門周囲に産卵するとされている。その数は成書では6千~1万個と書かれていて、雌虫はその後死んでしまう。私も協会へ再就職してからかれこれ13年、来た当初の頃は検体のセロファンを鏡検していると、視野一杯に虫卵が見える検体もあったが、近頃は1視野に数個というのが大部分である。この原因は不明だが、以前に比べ虫あたりの産卵数が少なくなったのか、あるいは寄生している成体の個体数が少なくなったのか、とにかく虫卵の数は明らかに少なくなっている。
 さて、このぎょう虫検査は季節要因が大で、春は4~6月、秋は9~10月に実施される。また検尿と違ってその日にこなす必要もないことから、当日に検査する必要はなく、後日にまとめて検査することも可能である。検査は検査部の担当となっている。とは言っても、私以外の検査部の職員は日常ルーチン検査の定常業務を持っているので、流れとして、ヒマな私にこの仕事が回ってくるのは必至である。約1名旧職員が応援に来てくれてはいるものの、メインは検尿、ぎょう虫検査はサブであって、あくまでも応援の感じは拭えない。粘着セロファンは朝の排便前に肛門周囲に当てることによって虫卵を付着させ、そのセロファンをそのまま顕微鏡下で観察する。虫卵採取方法には、2日連続して当てる方法と4日連続する方法があり、2日法、4日法と呼ばれている。春季の検査では、前者が5万人、後者が3万5千人、鏡検する枚数は、前者が5万枚、後者が7万枚、計12万枚という勘定になる。このうち私の鏡検分は約10万枚、この作業が4月中旬から6月中旬にかけて集中することになる。
 1日にこなせる枚数は私では3千枚程度、午前3時間、午後3時間鏡検するとすると、単純に計算して、1枚7秒強、1分間に8枚強鏡検しなければならない勘定になる。このスピードで10万枚こなすに必要な日数は33.3日、週5日の稼動で7週弱を要する。今春は6月上旬まで検査し終わって残り約6千枚、漸く春季のぎょう虫検査も先が見えてきた。今年は三男が5月9日に他界して5日間休みをとったこともあって、検体が滞ってしまい、挽回するために、鏡検する時間を1日7時間にしたところ、目に疲労を感ずるようになった。たった1時間の差だが、歳をとると長時間の動体視力検査による眼性疲労がひどく、「目を酷使する人のつらい疲れ目の効くという眼科用薬」を注しながら奮闘する破目になった。でも「休みたくても休めない目に一滴」の効能書きは確かに効き目があったような気がする。
 というようなわけで、先月は書きたいことは沢山あったのだが、ぎょう虫検査への没頭と目の疲れからとで、とても時間的には切羽詰っていて、書くことができなかった。こなせばならない鏡検の数も先が見えてきたこともあり、これからは5月連休にあったラ・フォル・ジュルネ・イン金沢のこと、息子の他界のことなどを書き記したい。

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