2016年9月21日水曜日

9月12日 (月) に「やまぎし」と「草庵」へ

 友人の N さんは、体格も大柄、車もランクルの4.5L と大型、本業が不動産取引とあってか交友も広く、しかも旅行好きでよく出かけるようだ。そして折々にふれ、その土地の土産と称して、お酒やお菓子を持参してくれる。いつも貰いっぱなしなので、家内とは何かお返しをしなければと話していた。9月初め、彼は京都の土産と称して、赤唐辛子の十倍もの辛さという黄金唐辛子一味柿の種というものを持参してくれた。そこでその時思いついたのは、「そば」が好きだという彼にそばを食べに行かないかと誘ってみた。すると行きましょうという返事。そこで鳥越の山奥に「やまぎし」という蕎麦屋があるというと、ぜひ行ってみたいという。それで行くのは9月12日の月曜日とし、小生宅へ10時20分に来てもらうことにした。というのも彼はお酒を飲まないので、それにあやかったのである。でも「やまぎし」のみではお礼に不足があるので、帰りに「草庵」へ寄ることにした。
 当日の朝、何時もは時間励行の彼が約束の時間に来ないので、ひょっとして忘れたのではと心配したが、5分延で来てくれた。こうして私が便乗したのは、彼は体格は立派なのだが、お酒が飲めないという特技があるからである。しかもお彼は仕事がら旧鳥越村をよくご存じで地理にも明るい。「やまぎし」のある左礫 (ひだりつぶて) の一つ手前の渡津 (わたづ) を通っているとき、ここは「蛍の里」といって、農薬を使わない山田 (水田) で蛍を育てていて、夏には大変賑わうという。何せ蛍の幼虫が食するカワニナが、ここでは川ではなく、水田で生育しているとかだった。この貝は清澄な水環境でないと住まないというから、環境がよっぽど良好なのだろう。説明を聞きながら、車は程なく「やまぎし」に着いた。
 この家は山岸さんの生家で、築75年、ここ20年ばかりは無住で、ここで開店するにあたり、正月から3ヵ月かけて、自前の大工仕事で、内装も外装もこなし、かつ飲食店営業に不可欠な設備も備えた。本当に器用でかつ超人的な人だ。開業したのは3月26日、私も駆けつけた。山岸さんでは、当面は10年を目標にしています(果たして ?) とも。
 この日はまだ先客がなく、車を停めて下りると山岸さんから声がかかった。この日予約はしてなかった。玄関に入るとご夫妻に迎えられた。玄関にある券売機で注文の品を求める。N さんは「白」と「田舎」の普通盛りと「天ぷら」、私はいつもと同じく「田舎粗挽き」の普通盛りと「天ぷら」と焼酎「財宝」を2杯。今日のスタッフは山岸さんの妹さんも加わっての3人体制である。奥の座敷の老樹の座机に陣取る。雨戸は開け放たれていて、県道に面している。野菜の天ぷらと焼酎がそれぞれ2つずつ届く。2人分と思ってましたとは奥さんの言だった。暫くすると、2家族と1女性団体が、この山奥に月曜日なのに訪れる人があるのは驚きだ。ややあって白と田舎粗挽き、付き出しに沢庵と煮物、薬味には辛味大根と刻み葱と山葵、粗挽きには岩塩が似合う。N さんの白が食べ終わる頃、田舎が届いた。普通盛りは 170 g  とか、そばは中太で、少々噛んだ方が味わい深い。また粗挽きは噛まないと食べられない。因みに「白」は丸ヌキを40メッシュで、「田舎」は玄そばを18メッシュで、「田舎粗挽き」は同じく13メッシュで篩っているとか、すべて自家製粉である。
 今週の金曜日には10人ばかりで来ますと予約して「やまぎし」を辞した。
 来た道を引き返して白山市鶴来日吉町の「草庵」へ。入ると店には数組がいた。座敷を希望し案内されて一卓に座る。N さんは熱いそばをということで「鴨なんばん」を、私は「鴨せいろ」を、つまみには「出し巻き玉子」と「焼みそ」を貰う。ここでは粗挽きの十割そばは1日10食限定とかで、基本の「せいろ」は外一の中細である。お酒は「八海山」を頂く。つまみとお酒がなくなる頃、そばが届いた。鴨はフランス原産種の合鴨を国内で飼育したものとか、柔らかいがプリプリした食感と歯応えが素晴らしい。終わって奥さんと暫しの懇談、今年ある全国誌の特集で、全国厳選そば店80に選ばれたと喜んでおいでた。開業してもう16年になるとか、以前ほど混んではいないが、やはり繁盛している。満腹になり、満足して草庵を後にした。帰り際、奥さんから、「また奥さんともども来て下さい」と言われた。

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