2016年6月13日月曜日

満山荘が奥山田温泉から沓掛温泉へ(その1)

 (株) 朝日旅行では、「日本の秘湯を歩く」という企画をしていて、3年間の間に、社団法人「日本の秘湯を守る会」に所属する温泉宿に10軒訪れると、その中の1軒に無料で招待され宿泊できるという仕組みになっている。宿の数は出入りがあるが、平成27年3月現在、1都1道30県にある178軒の宿が会員になっていて、北陸3県では、富山2軒、石川3軒、福井1軒が対象になっている。振り返って、この3年間に私たち夫婦が訪れたには、長野県の角間温泉、七味温泉、白骨温泉、小谷温泉、中の湯温泉、奥山田温泉、岐阜県の福地温泉、平瀬温泉で、このうち奥山田温泉の満山荘にはこの間に3回訪れた。ここは志賀高原に近い標高 1,550 m に建つ宿で、天気が良ければ、南は前穂高岳から北は白馬乗鞍岳までの、南北 80 km に及ぶ北アルプスが、その奥には立山・劔岳、手前には飯綱山、戸隠連峰、黒姫山の三山、眼下には善光寺平が眺められ、しかもこれらを露天風呂に浸りながら俯瞰できるのが醍醐味の宿である。もっとも天気が悪ければ、このような景色は見られない。それで無料で宿泊できる宿に、この満山荘を希望したのは必然だったとも言える。以前の招待の時もここで宿泊した。
 この無料宿泊には制限があって、正月、ゴールデンウイーク、旧盆、それに土曜日や祝祭日の前日は除外される。申込みには、宿は第1から第3希望まで、宿泊日も第1から第3希望までを指定して出すことになっている。ところで3月末に連絡があって、第1希望の満山荘は1月3日をもって閉館し、元の奥山田温泉から場所を離れて、沓掛温泉「おもとや旅館」を引き継ぐことになりましたが、それでも宜しいですかとのこと。それで場所は違うけれども手配をお願いしますと連絡した。その結果、新しい満山荘への招待は6月5日 (日) ということになった。
 6月5日 (日) の朝10時15分前に家を出た。この日はまだ百万石行列行事が金沢市内で行なわれているので、それを避けて白山 IC から北陸自動車道へ、そして時々休みながら、その後上信越自動車道に入り、上田菅平 IC で下りて沓掛温泉へ向かった。上田市内が混雑していて、通り抜けるのに少々時間がかかったが、その後国道143号線を西へ進み、青木村沓掛にある沓掛温泉満山荘に着いた。着時刻は午後3時15分で、所要時間は5時間半だった。
 沓掛温泉は国道筋にある青木村役場から鹿教湯温泉へ抜ける県道12号線の途中の山間にあり、県道から温泉への標識に従って小高い山腹を上がると着いた。ここには温泉宿が3軒と外湯 (大衆浴場) があり、すべて源泉かけ流しで、泉質はアルカリ性単純温泉とかである。この温泉は夫神岳 (おかみだけ) の西の麓の海抜 670 m に位置していて、反対側の東の麓には別所温泉 (上田市) がある。
 宿に入ってお会いしたこの宿の主人は、正しく奥山田温泉の主人だった。記帳した後に此処の温泉の特徴の説明があった。この温泉には泉源が2本あって、泉質は同じだが泉温が36℃と39℃で、ここでの内湯には前者を41℃に加温して用い、後者はそのまま露天風呂に用いていると説明があった。部屋は1階に7室、2階に4室、3階に3室あり、私たちは2階の201号室の「穂高」、2階では最も大きい部屋で、洋間風の寝室と居室、それに広縁の付いた青畳の和室までも付いていた。洋間はどちらもゆったりとしていて、窓を開けると、鬱蒼と繁った樹々の間からは青木村の田園風景が広がっているのが見えた。和室の窓を開けると、下に駐車場が見え、ここが玄関の上だということが知れた。居室には大きなソファと大型テレビとハンモック、部屋のスタイルは前の満山荘を彷彿とさせる雰囲気だ。
 風呂から上がって、高速道の SA で買ったつまみで焼酎「神の河」を飲む。今の時間帯は男性は内湯のみ、女性は内湯と露天風呂、家内はまったりのお湯三昧だった。ややあって2階にあるラウンジへ行く。前の宿でもこんなスペースがあったが、この新しい宿では2間も開放されていて、ここではコーヒー、紅茶、お茶、冷水などを自由に飲めるようになっている。また客室では禁煙だが、ラウンジの1室は喫煙可能とかだった。そして前の当主の堀江文四郎さんが、奥山田温泉の山田牧場から撮影された北アルプスの山並みの横幅4mもの写真も置かれていた。残雪期の写真で、山名はもちろん雪形なども記してあった。あの爺様は今はどうされているのだろうか、今の当主には何となく言い出すのが憚られ、聞きそびれてしまった。今夕の食事は午後6時半とか、それまでゆっくりと部屋で寛いだ。

0 件のコメント:

コメントを投稿