平成 27 年度後半の探蕎会の行事のうち、9月は 16 日の木曜日に、山中温泉中津原町にある「だんくら」という蕎麦屋へという提案が副会長の久保さんからあった。私にとっては初めて聴く蕎麦屋、時々県内の蕎麦屋が雑誌などで紹介されるが、でもこの店が紹介されて出ていたという記憶はない。そんな点はすごく興味が持てる。事前に事務局長の前田さんから、参加者は6名なので、局長自らアッシー君を務めるとかで、お言葉に甘えることにした。一行の面々は、寺田会長、久保副会長、松田・竹内両女史と私である。予定では松田さんの所へ 9 時 45 分、殿の私が乗車したのは1時間後だった。
町道から国道8号線に出てから、松田さんが探蕎会で集まる際、駐車スペースに適当ではないかという国道 157 号線沿いの、白山市橋爪町にある松任除雪センター駐車場を見に寄った。トイレも完備されていて、松田さんでは2〜3日の駐車も可という。スペースもあり有望だが、これまでの白山市番匠町にある和泉さんの所に比べると公共交通の便は悪い。
再び国道8号線に戻り、南下する。松山交差点を左折し、一路山中温泉中津原町を目指す。四十九院トンネル手前に、「そば」と青地に白く染め抜かれた幟が風にはためいていて、そこを左折すると、目指す蕎麦屋はあった。着いた時刻は 11 時 20 分、この店は民家が 20 軒近くある中の1軒、敷地の入り口右手には「手打蕎麦 だんくら 午前11時〜午後4時 定休日火曜日」と書かれた看板が立ててあり、隣には福井県産蕎麦を扱っていることを示す幟も立っていた。店は切り妻の2階建て、見上げると、正面上部に大きな一枚板に金文字で「伝統木竹工芸 寿輪挽 福田工房」の文字、後でご主人に訊くと、この工房を買い受けた時、この板額を下ろそうかと思ったが、余りにも大きくて重く、そのまま掲げておくことにしたとのことだった。店内に入る。4人掛けのテーブルが2脚、2人掛けのテーブルが2脚のこじんまりとした、清潔感のある店だ。右手手前が調理場、右手奥に打ち場がある。奥さんと二人で営業しておいでるとかである。
店に入ると、右手に、板の額が掛かっていて、それには「越前そば手打そば 池田流」「岡本道場 岡本康雄」の墨書、そしてその下には、それを証する認定証があり、次のように書かれていた。「認定証 岡本康雄 殿 あなたは池田ふるさと道場の認定する池田流蕎麦打ち技術指導課程を優秀な成績で修了されましたので 支部道場を開く事を証します 平成 24 年8月 27 日 池田ふるさと道場 師範 中丁昭夫」とあった。私たちが入った時点では、客は私たちのみだった。4人掛けのテーブル2脚に案内され、3人ずつ座った。程なくしてお品書きが届く。注文したのは、「ざるそば」と「おろしそば」、皆さんどちらかだが、前田さんは両方。お酒は「宗玄」のみ、久保さんと私が注文した。摘みには、短冊にも書かれていた「だんくらのそば豆腐」と「半熟卵の味噌漬け」を貰うことに。
初めにお酒、杉の柾目の一合枡の中にガラスのコップ、コップには常温の宗玄が1合、コップから溢れたお酒が枡の中に、こんな風情は、記憶ではもう随分昔のおでん屋でのことだ。銚子とお猪口を期待したが、これでは皆さんには振る舞えない。次いで「だんくらのそば豆腐」が出た。細長の角皿に6切れに切ったそば豆腐、生山葵が付いている。皆さんと賞味する。もう1品の半熟卵は、彩色した手捻りの皿に、黄身が鮮やかな4つ割りの卵に、緑鮮やかな刻み葱が散らされていて、色彩のコントラストも良く、食欲をそそる一品だった。ところでお酒は何故か能登珠洲の「宗玄」のみ、奥さんに何故と訊くと、主人の好みで、主人ではこれが最も旨いとか。でも常温では今一インパクトがなく、冷やならまだしも、冷やはないとかで、むしろお燗の方が良かったのかも。
「そば」が出た。そばは二八の中細、いわゆる越前そばである。私はおろしそば、円い中深の皿にそばが盛られ、上に削り鰹と刻み葱が、もう一つの器には、出し汁に大根おろしが、そばにぶっかけて食べて下さいとの指示、全く越前おろしそばの流儀である。小皿には細切りの煮付昆布がつまに付いていた。そばの味は、そこそこの味、正に「越前おろしそば」だった。石川県加賀の国にあって、さすが福井県知事推奨の店だけのことはある。1時間ばかり居たろうか。帰りに玄関でご主人にも入ってもらい記念写真を撮った。
帰りには四十九院トンネルを抜けて山中温泉に出て、山代温泉経由で戻った。
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