ここでは30項目について記載した。このうち田中豊子さんの「不思議を訪ねる」には、文様の項に6項目、民具・その他の項に14項目記載されている。残り10項目は田中さんの本には記載のない項目である。これらについて、五十音順に記載した。各項目の記述はこれまで同様、松村明監修の「大辞泉」の各項目の「紋所の名」によった。各項目の和名と漢字名及び簡単な説明に加えて、[1] 紋所の由来、[2]代表的な紋所の名称を記した。
● あかとり 垢取り 赤鳥 : 櫛の間にたまった垢を取る道具。赤鳥は当て字。
[1] 六つ歯の櫛を図案化したもの。 [2] 今川赤鳥 など。
● いしだたみ 石畳 甃 : 庭や道路などで、平らな敷石を敷き詰めた所やその石。
[1] 方形の石を一面に敷き並べたような形状を図案化した文様の石畳をかたどったもの。
[2] 三甃、三寄せ甃、四甃、石畳車 など。
● いづつ 井筒 : 井戸の地上部分に設けた円筒状あるいは方形の囲み。
[1] 井筒を図案化したもの。
[2] 平井筒、角立井筒、丸に角立井筒、唐井筒、花井筒、重ね井筒、三井筒 など。
● うちわ 団扇 : あおいで風を起こす道具。
[1] 団扇を図案化したもの。普通、細く削った竹の骨に紙や絹を円形に張って作る。
[2] 丸に団扇、三つ団扇、桑名団扇、軍配団扇、三つ軍配団扇 など。
● おうぎ 扇 : 手に持ち、あおいで風を起こす道具。普通、折り畳めるものをいう。
[1] 扇をかたどったもの。種類が多い。
[2] 丸に日の丸扇、三つ扇、檜扇、丸に五本扇、島原扇、違い扇、扇菱 など。
● かさ 笠 傘 : 日光、雨,雪などが当たらないように頭にかぶったり、さしたりするもの。
[1] 笠や傘を図案化したもの。
[2] 神宮笠、丸に笠、柳生笠、二蓋笠、竝笠、対笠、三蓋笠、三本傘 など。
● かま 鎌 : 草などを刈るのに使う道具。
[1] 鎌をかたどったり、または鎌を取り合わせたもの。 [2] 違い鎌、卍鎌 など。
● くぎぬき 釘抜き : 打ち込んだ釘を抜き取る道具。
[1] 釘抜き、またはそれを組み合わせた形を図案化したもの。
[2] 釘抜き菱、重ね釘抜き、違い釘抜き、丸に釘抜き、釘抜きに閂 など。
● くつわ 轡(口輪の意) : 手綱をつけるため、馬の口にかませる金具。
[1] 円形の中に十字を置く。轡の鏡の部分をかたどったもの。 [2] 轡、花轡、轡菱 など。
● くるま 車 : 軸を中心にして、回転する仕組みの輪。車輪。
[1] 車輪をかたどったもの。 [2] 源氏車、木下車、榊原車 など。
● こくもち 石持 黒餅 : 紋所の名。
[1] 黒い円形で中に文様のないもの。もと矢口の祭りの黒餅をかたどったもの。
[2] 石持、黒餅 など。
● こづち 小槌 : 小さな槌。
[1] 打ち出の小槌を図案化したもの。 [2] 打ち出の小槌 など。
● ごとく 五徳 : 金属や陶器で作った三本または四本の脚のある輪。
火鉢や炉の火の上にかぶせて立て、やかんや鉄瓶などをかける。
[1] 五徳の形を図案化したもの。 [2] 五徳 など。
● ことじ 琴柱 箏柱 : 琴や箏で胴の上に立てて弦を支え、その位置によって音の高低を調節する。
[1] 琴柱や箏柱をかたどったもの。 [2] 一琴柱、三琴柱、三盛り琴柱 など。
● じがみ 地紙 : 扇や傘などに張るために、その形に切った紙。
[1] 扇の地紙をかたどったもの。 [2] 重ね地紙 など。
● ぜに 銭 : 金属でつくられた貨幣。
[1] 銭の形をかたどったもの。 [2] 表一文銭、裏一文銭、四文銭 など。
● ちきり 千切り : 織機で、縦糸を巻くのに用いる。木製で中央が括れた棒状の部品。
[1] 上記のものを図案化したもの。 [2] 千切り、丸に千切り、四方千切り など。
● ぬさ 幣 : 祈願をし、または、罪・穢れを払うために神前に供える幣帛。御幣。
[1] 幣をかたどったもの。 [2] 丸に幣 など。
● のし 熨斗 熨 : 方形の色紙を六角形に襞をつけて折りたたみ、中に熨斗鮑の細片を包んだもの。
祝儀などの進物などに添える。鮑の代わりに昆布や紙も用いたりする。
[1] 熨斗鮑の形を図案化したもの。 [2] 熨斗、熨斗の丸 など。
● ひさご 瓢 瓠 : 瓢はユウガオ・ヒョウタンなどの総称。またその果実。なりひさご。
瓠はヒョウタンの果実の果肉を取り去って中空にし、乾燥させて容器としたもの。
[1] ヒサゴの果実をかたどったもの。 [2] 中輪に一つ瓠 など。
● ふんどう 分銅 : 秤で物の重量を計る時、重量の標準として用いるおもり。
[1] 分銅を図案化したもの。 [2] 分銅、子持ち分銅、三つ寄せ分銅 など。
● ほ 帆 : 帆柱に高く張り、風を受けて船を進ませる船具。
[1] 帆を図案化したもの。 [2] 丸に一つ帆、霞に帆、帆巴 など。
● まさかり 鉞 : 伐木用の大型の斧。古くは武器、刑具にも用いられた。
[1] 鉞を図案化したもの。 [2] 四つ違い鉞 など。
● ます 枡 升 桝 : 液体や穀物などの分量を計る容器。木製や金属製、方形や円筒形がある。
[1] 枡の形を図案化したもの。 [2] 丸に枡、三つ入子枡 など。
● や 矢 箭 : 武具・狩猟具の一つ。木または竹で作った棒状のもので、一方の端に羽をつけ、他方 の端に鏃(やじり)をつけ、弓の弦につがえて、目的物を射るもの。
[1] 矢の形を組み合わせて図案化したもの。
[2] 一本矢(1)、並び矢(2)、違い矢(2)、三矢(3)、矢扇(5)、六本矢車(6) など。
● やはず 矢筈 : 矢の末端の弓の弦を受ける部分。
[1] 矢筈を図案化したもの。 [2] 丸に矢筈 など。
● ゆいわた 結綿 : 数枚重ねた真綿の中央を結び束ねたもの。祝い物に用いる。
[1] 結綿を図案化したもの。 [2] 結綿 など。
● ゆきわ 雪輪 : 文様・紋所の名。
[1] 六角形の雪の結晶を円形に表したもの。 [2] 雪輪、外雪輪 など。
● りんぼう(ぽう) 輪宝 : 七宝の一つ。もとは車輪の形をした古代インドの武器。
[1] 輪宝を図案化したもの。 [2] 輪宝 など。
● ろくもんせん 六文銭 : 一文銭を三個ずつ横二列に並べたもの。
[1] 信州上田の真田氏の紋として有名。 [2] 真田六文銭、六連銭 など。
2013年8月8日木曜日
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