2013年8月30日金曜日

白川義員の「永遠の日本」に見る日本の原風景〔1〕

 ここでは第1章の「名岳」の105点の写真のうち、前半の54点を紹介する。彼の写真には人工物は一切移らないように工夫・配慮されている。それには映ったものを消去するという技法を使うのではなくて、写す段階でいろいろ工夫している。それには、人工物がない場所を選定する。またあっても写らないよう工夫する。それはアングルであったり、写す時間、例えば日の出や日没の前後であったり、逆光を利用したり、積雪の多い厳冬期だったり、様々である。また彼は上空からの撮影、空撮を多用している。足では見えない鳥瞰・俯瞰は有力な手段である。彼は高度3,000メートルを超える場合はセスナ機で、それ以下ではヘリコプターを多用する。しかし日本の空港の場合、大部分は国土交通省の管轄であって、小型機やヘリの発着は午前9時から午後5時までであり、これでは早朝や日没後の撮影はままならない。ただ日本では航空自衛隊の訓練空域をもつ空港は24時間離着陸自由で、彼は特に北アルプスの撮影に当たっては金沢(小松)を多用したという。ただ日本では、指定された場所以外での着陸は認められていなくて、空撮ではドアを外して撮影するので、これには撮影場所近くで外せれば最も効率がよいのだが、近くの空港からにしても随分動線は長くなる。その点外国ではこんな煩わしい制約はないらしい。ここでは、地域ごとに、山名と写真のナンバーとタイトルと要約した説明を付した。

第1章 名 岳  Mountains
1−1 北海道をめぐる
● 雌阿寒岳 (1499m) (1) 雌阿寒岳夕照:冬季の噴煙上げる日没直前の雌阿寒岳を真北からセスナ機で空撮. 山体も噴煙も赤いオレンジ色. 背後に阿寒富士.(2) 雌阿寒岳静日:冬季の珍しく無風の昼間, 噴煙が静かに天に向かって延びるのを空撮.(3) 雌阿寒岳火口赤変:日没直前の頂上火口を空撮.(4) 雌阿寒岳火口鳥瞰:夏は噴煙が少なく火口真上から空撮. 新火口と赤沼, 旧火口と青沼が見える.(5) 走る噴煙:強風の中, 落日寸前の雌阿寒岳を逆光で撮影. 噴煙は赤に, 山肌の雪は青に. 当日のパイロットは南極で飛んでいたベテランパイロット.
● 十勝岳 (2077m) (6) 十勝岳夏景:望岳台からの十勝岳. 山全体から噴煙が上がる.(7) 十勝岳紅葉:望岳台は観光客で満杯になる. 喧噪を避けた場所からの撮影.(8) 十勝岳鳥瞰:冬季に上空から撮影. 周囲に噴煙を上げている火口や火口跡が散らばって見える.  
● 利尻山 (利尻富士) (1721m) (9) 利尻山全景:南海上から空撮. 遠くに礼文島の礼文岳を望む.(10) 利尻山西壁:冬季に西から見上げた利尻山の全景.(11) 利尻山東南壁:夏季に東南から見上げた利尻山の全景.(12) 利尻山落日:海を隔てたサロベツ原野から望遠レンズで撮った利尻山山頂の落日.
● 知床連山/羅臼岳 (1661m) (13) 知床連山赤変:初冬の夕方に真西から空撮. 右から羅臼岳, 三ツ峰, サシルイ岳の三山が赤く彩色されている. 遠くに国後島の爺爺(チャチャ)岳を望む.(14) 知床硫黄山:半 島のほぼ中央, 羅臼岳の北東にある円錐状複式火山. 上空から見ると, 噴火によって山がずたずたに引き裂かれたことがよく分かる.(15) サシルイ岳夕映え:この山は知床連山の中では最も秀麗な形をしている. 夕日が当たった西面が特に良い.(16) 知床岳と国後島:半島の北端にある知床岳と流氷の海を隔てた国後島の爺爺岳を上空から撮影.(17) 夕映えの硫黄山:日没直前の太陽の光を受けて赤く染まった硫黄山.
● 羊蹄山 (蝦夷富士) (1898m) (18) 羊蹄山火口:火口を俯瞰撮影. 周囲2kmの巨大火口.(19) 羊蹄山冬景色:積雪豊富な4月に空撮.(20) 樽前山と羊蹄山:噴煙を上げている樽前山上空から支笏湖を隔てて羊蹄山を遠望.(21) 洞爺湖と羊蹄山:洞爺湖南岸上空から真北に積雪の羊蹄山を見る.
1−2 みちのくをめぐる
● 岩手山 (南部富士. 岩手富士) (2038m) (22) 岩手山:残雪の岩手山を南西から空撮. この方向からが最も秀麗.(23) 東岩手山火口:岩手山は東西の複式火山. その火口を上空から鳥瞰。(24) 岩手山焼走り: 1732年の大噴火で溶岩が走り抜けた溶岩原. 今は木々が生えていて, 特別天然記念物として保護されている.
● 八甲田山群/大岳 (1585m) (25) 八甲田山群:初冬に空撮. 左に井戸岳の噴火口, 右に大岳と火口. 雲が噴煙のように見える. 
● 秋田駒ヶ岳 (1637m) (26) 秋田駒ヶ岳山頂:初冬に空撮. 画面中央の火口丘が1970年に噴火した女岳,
左上が男岳, そのすぐ右上が主峰の男女岳.
1−3 北アルプスをめぐる
● 剣岳 (2999m) (27) 剣岳と落日:夕方黒部側から空撮. 高度3000mでもスモッグに覆われ, 中々鮮烈な写真にはならない.(28) 剣岳黎明:厳冬期の黒部側からの剣岳近影. 日の出前30分, 東の地平線の空が赤く色づき始めた頃, 東側の一部が僅かに変色した. 全体はまだ暗い.(29) 剣岳赤変:日の出後5分. 剣岳は赤に染まる.(30) 剣岳黄変:更に5分後, オレンジ色から赤色が完全に抜ける直前の黄変した剣岳. まだ谷には陽光は届いていない.(31) 剣岳白景:白い山を白く撮るには, 日の出後30分から1時間以内である. これは鹿島槍ヶ岳の上空から望遠レンズで撮影したもの.
● 立山三山/大汝山 (3015m) (32) 立山夕焼け:厳冬期に夕照の立山を弥陀ヶ原上空から撮影.(33) 朝焼けの立山:厳冬期に日の出直後の立山を黒部川上空から撮影.(34) 立山紅葉:北アルプスで最も早く紅葉が始まるのは後立山連峰と立山周辺である. また北アでの紅葉の名所は, この立山周辺と穂高の涸沢であろう.
● 鹿島槍ヶ岳 (2889m) (36) 鹿島槍ヶ岳残照:厳冬期に双耳峰をほぼ真西から日没直前に撮影した.(37) 鹿島槍ヶ岳と日の出:厳冬期に黒部川十字峡から撮影. 山はまだシルエット.(38) 鹿島槍ヶ岳鳥瞰:冬の朝, 北東方面から空撮した.
● 白馬岳 (2932m) (39) 白馬岳夜明け:八方尾根から撮った, 日の出の太陽を受けて赤変した白馬三山.
(40) 白馬三山:八方尾根の紅葉と白馬三山.(41) 白馬岳と大雪渓:厳冬期の白馬岳と大雪渓を空撮. (42) 厳冬の白馬三山:厳冬期の早朝, 八方尾根上空から撮った白馬三山.
● 穂高連山/奥穂高岳 (3190m) (43) 朝焼けた穂高三山:3月の朝光を受ける奥穂, 前穂, 西穂の三山を
空撮.(44) 穂高連山朝光:3月の朝光を受ける奥穂, 北穂と涸沢岳を空撮.(45) 穂高三山と太陽:続い て, 奥穂, 涸沢岳, 北穂の三山と日の出の太陽を岐阜県側から空撮.
● 槍ヶ岳 (3180m) (46) 槍ヶ岳朝光:3月の朝光を受けて赤く染まる槍の穂.(47) 槍ヶ岳の稜線:西に雪を纏った槍ヶ岳から南へ延びる稜線を西望する.(48) アルプス銀座:北鎌尾根上空から南望した槍・穂高連峰.
● 乗鞍岳(3026m) (49) 乗鞍岳と槍・穂高連峰:冬の乗鞍岳上空から北望.(50) 乗鞍岳:冬の乗鞍岳8 峰を鳥瞰.(51) まいめ池と乗鞍岳:乗鞍高原には小さな湖沼が数多くあるが, この人造湖である「まい め池」からの眺めが代表的といわれる.(52) 一ノ瀬園地からの乗鞍岳:乗鞍高原の紅葉は素晴らしい が, 中でもこの一ノ瀬園地が最高に華やかである.
● 焼岳 (2455m) (53) 焼岳:雪の焼岳をヘリから撮影.
● 笠ヶ岳 (2455m) (54) 笠ヶ岳:雪の笠ヶ岳を空撮.  

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