2013年6月17日月曜日

会員そば打ちの集いで出されたサプリメント

 今では恒例となっている探蕎会の湯涌みどりの里でのそば打ちの集いは、平成15年に始まったのだから、もう数えて11回目になる。それまでは毎回場所を転々としていたから、世話は先ず場所選びから、世話する方々は大変だったろうと思う。それが現在の場所に定着したのは、世話人の塚野さんの尽力に負うところが多い。それに一昨年からはクイズまがいで、生粉打ち、九一、二八で打たれた「そば」を当てるという趣向も加わった。また当日のおしながきを見ると、そば以外に「つきだし」や「でざーと」と称して、会員の方々が腕を振るった品々が提供され、それが格好のお酒の友やお土産となっている。ところでこの趣向の傾向も年々内容が充実、いやエスカレートしているのではと思われ、これは素晴らしいことである。これが会員一人一品とまで義務化されると大変だが、そうでなくて任意でボランティア的であるのが素晴らしい。それにしても今年は昨年よりも品数が多くなったように感じた。それで厚かましくも遠慮しないで、一部の品を除いてはしっかり食し、堪能させて頂いた。以下に今年の会で出されたサプリメントについて、感謝をこめて列記してみたい。順不同である。

一、つきだし類
1.新田さん提供の品々
● 「かたはのお浸し」:「かたは」というのはご当地名で、和名はウワバミソウ、イラクサ科の植物である。やや湿気た山地に群生していて、茎は瑞々しい。東北では「みず」といい、茎が赤みがかっているものを「あかみず」、そうでないものを「あおみず」と呼んでいる。我が家の庭にも群生してはいるが、丈も低くこわそうで、食したことはない。本品のお浸しの作り方は不明だが、榎茸も入っていて、生姜と茗荷のトッピングで、仄かなうまみがお酒の友にはぴったりだった。
● 「ワラビの煮浸し」:言わずと知れた「わらび」、和名もワラビで、古くはウラボシ科だったが、現在はコバノイシカグマ科に分類されている。春に未だ丸まって開いていない拳状の若葉のついた葉柄を湯がいて食する。匍匐茎があるので、何度か収穫できる。この品は醤油に浸したものとか。色は黒紫色、姿はというと精悍な風貌、程よい歯触り、素人ではこうは作れまい。逸品だった。
● 「ゼンマイの煮物」:ゼンマイはゼンマイ科の多年生の羊歯で、春の山菜の代表でもある。春先、先ず胞子葉が、次いで栄養葉が出る。どちらも芽生えは綿毛で被われ、ゼンマイ状に巻いている。食用にするのは後者で、生食することはなく、一旦乾燥して揉んで保存できるようにしたものを煮たりして食する。出された「ぜんまい」は能登産とか、油揚げと竹輪、それと茸?とが入った煮物、おふくろの味というべきか。私の家の庭にも数十株のゼンマイが葉誇りしているが、ついぞ食べたことはない。
● 「コールラビの塩麹漬け、酢麹漬け」:コールラビとは何か。出品の新田さんに訊くと「のと野菜」だとのこと。後日、南栃市福光の道の駅で、この品の表示を見たが、残念ながらその品は売り切れていた。ただ説明の表示があり、それを書き写した。「コールラビとはドイツ語でキャベツカブという意味で、キャベツに似たやさしい甘味があります。茹でてサラダにしたり、スープや味噌汁などの汁物、煮込みなどにも合います」とあった。現物は見ていないが、アブラナ科の植物であることは間違いない。一見小蕪のようで、調理には皮を剥いてとある。出た品もそうして輪切りにしたものを漬け込んだもの、初めて口にしたが、新来の味だった。
● 「モミジガサの白和え」:モミジガサは山地の林下に生えるキク科の多年草である。食用にするのはその若芽で、キク科の植物の大半は若芽であれば食することができる。最も安直なのは天ぷらである。でもこの品はモミジガサを湯がいて、よく摺った白味噌と白胡麻とで和えてあった。見た目には、濃い緑と白のコントラストが素晴らしかった。
 出品された新田さんは岩手県遠野市の出身、何と言ったって東北は山菜の宝庫、しかもスナック遠野を経営されていて、料理の腕前も一流、毎回素晴らしい一品を提供して下さっている。
2.早川さん提供の品
● 「山椒の未熟実の入った縮緬雑魚」:縮緬雑魚はカタクチイワシなど、鰯の雑魚を煮干しにしたもので、しらす干しともいう。これに薄味を付け、灰汁抜きした山椒の緑色未熟実を混ぜてある。市販の山椒粉は、赤く熟した実の黒い種子を粉末にしたもの、未熟な実の方がミカン科特有の芳香を出す。昨年は実の数が多くて舌が麻痺する程だったが、今年は少なかった。因みにこのサンショウは雌雄異株、先生宅のは雌株で、小生の庭のは雄株の老木、でも庭のあちこちに幼木が育っているのはどうしてなのだろう。
3.松田さん姉上提供の品
● 「花豆の煮豆」:花豆とは、マメ科インゲン属のベニバナインゲンの成熟した種子のことで、大型の豆、大福豆や虎豆と共に高級煮豆の材料になるという。これら大型の豆類を上手に煮るのは難しく、その炊き方にはコツが要るという。提供された煮豆は煮崩れもなくて上等な出来だった。でも何故か私は口にしていない。
4.久保さん提供の品
● 「沢庵と大根の浅漬け」:沢庵も自家製なのだと思う。私の家でも母が存命中は家で沢庵を仕込んでいたが、今は大根の浅漬けでさえ漬け込むことは少ない。どちらもお酒の格好の友と言える。
5.池端さん提供の品
● 「帆立の貝柱の干物」:小粒なのがよく、じっくりお酒を頂く時には格好のつまみになる。

二、でざーと
1.久保さん提供の品
● 「そば掻きぜんざい」:小豆(あずき)の中では最も粒が大きい大納言小豆、それも毎年こだわって福井県大野市から引かれるとか。久保さんは探蕎の折りには、もしぜんざいがあれば必ずといっていいほど所望される善哉通である。この作品は奥様の作であろうが、作り方にも甘味にもきっとこだわりをもっておいでだと思う。事務局長の前田さんが終了までに間に合い、このそば掻きぜんざいを食されたと「日めくり日記」に記されていたが、絶賛されていた。私はこれを見て、ぜんざいはともかく、粗挽きの蕎麦掻きは食べたかったと思ったものだ。
2.石野さん提供の品
● 「そばクッキー」:石野さんは今回は欠席だった。いつもは「シフォンケーキ」を提供されるのだが、今回はお休み。代わりに「そばクッキー」が配られた。すでにパッケージされていて、乾燥剤も入れられていた。私は家に持って帰り、翌日にウィスキーの水割りと共に頂いたが、最高だった。甘味が程よく調和され、格好の摘まみとなった。
3.松田さん提供の品
● 「水無月(蕎麦粉入り)」:裏千家の宗匠さんである松田さんお手製のお菓子、これは6月に頂く定番の和菓子とか、知らなかった。横から見ると、下の方5分の4ばかりが白っぽい生地で、ここに蕎麦粉が入っているようだ。その上に甘く煮た小豆が乗っかっている。白い部分は氷室の氷を表し、小豆は悪魔祓いを意味するという。またこのお菓子は三角の形状をしているが、これも魔除けを意味し、このお菓子を頂くと、その年の後半の厄払いと夏の健康祈願となるという。有難く頂いた。それにしてもよくぞ作られたものだ。

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