2010年1月21日木曜日

いわゆる抗ガンサプリメント (3) 血管新生阻害物質

 がん細胞が新生されるには、この新生細胞に酸素や栄養を送り込む血管の新生が必須で、この血管の新生を阻止すれば、新たながん細胞の増殖を止めることができる。しかし抗血管新生特性のある物質の投与は、冠動脈疾患や末梢血管疾患のある人には慎重を要し、時に病状が悪化する可能性がある。また手術前後の人や外傷の人では、傷の治りが悪くなる可能性もある。

1.サメ軟骨 shark cartilage (別名サメノフカヒレ)
 サメはがんを発症しないという説が登場して以来、俗に「サメの軟骨」はヒトでもがんを防ぐのではないかと言われてきた。しかしその後の研究で、サメにも腎臓がん、リンパ腫、軟骨腫があることが確認された。でも未だに「サメ軟骨」にはある程度の抗がん作用があると信じられているが、それを裏付ける科学的なデータは見当たらない。サメ軟骨の成分は、40%がタンパク質、5-20%がグルコサミノグリカン(コンドロイチン6硫酸及びコンドロイチン4硫酸)で、ほかに Ca塩を含む。アブラツノザメの胃や肝臓から発見されたスクワラミンは、いわゆるサメ軟骨の成分とは別のものである。
 副作用としては、吐き気、嘔吐、消化不良などを起こすことが知られているほか、急性肝炎の症状である微熱、黄疸、眼球黄変などが起きるという報告もある。サメ軟骨製剤には Caを多く(25%程度)含んでいるものもあり、摂取により時に高カルシウム血症を起こす可能性がある。したがって高カルシウム血症患者には使用が禁忌とされている。また血管新生障害が起きる可能性があるため、小児に対する使用は控える。
 がん治療に対しては経口摂取で効果がないことが示唆されていて、乳がん、大腸がん、肺がん、前立腺がん等の進行がんあるいは治療中のがんについては効果がなかった。ただ経口摂取により進行している腎細胞がん患者に対しての延命効果が示唆された報告がある。
2.スクワ(ア)ラミン squalamine
 健康食品の素材情報には記載がない。1993年に深海サメ(アイザメ)の臓器から発見された自然物質で、抗腫瘍活性、殺菌能力があり、新生血管阻害作用があるとされる。
3.スクワ(ア)レン squalene
 この物質はトリテルペンの1つで、ステロール生合成の中間体として重要である。サメ類の肝油に多く含まれていて、中でも水深1000mの深海に棲むアイザメの肝油は特に良質とされ、その成分であるスクワレンを「深海ザメエキス」と呼ぶことがある。俗に「肝機能を高める」「免疫力を高める」と言われているが、ヒトでの有効性・安全性に関しては信頼できる充分なデータは見当たらない。

付.DHA ドコサヘキサエン酸 docosahexaenoic acid
 炭素数が22、不飽和結合が6の n-3系の直鎖多価不飽和脂肪酸でEPAと同様、主に魚に含まれる必須脂肪酸の1つである。生体内では脳や神経組織、精子などに多く存在し、俗に「動脈硬化や高脂血症の予防や改善によい」「脳の発達によい」「がんの発生や転移に効果がある」などと言われている。ヒトでの有効性については、冠状動脈疾患に対しての有効性が示唆されている。また魚油を含む魚の摂取量が高いと、前立腺がんのリスクが低下するとの報告がある。多く含まれる食品としては、マグロ、カツオ、ブリ、サバ、イワシなどがある。
付.EPA エイコサペンタエン酸 eicosapentaenoic acid
 炭素数が20、不飽和結合が5の n-3系の直鎖多価不飽和脂肪酸で、青背魚に多く含まれる必須脂肪酸の1つである。魚やアザラシを常食とするイヌイットでは、脂肪摂取量が多いにもかかわらず、血栓症や心疾患が非常に少ないことから注目された栄養素である。俗に「動脈硬化や高脂血症などの予防や改善によい」と言われている。有効性については、冠状動脈疾患に対しての有効性が示唆されているほか、中性脂肪を低下させる機能、抗凝血機能がある。多く含まれる食品としては、サバ、イワシ、マグロなどがある。

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