2009年11月13日金曜日

高齢運転者のための「高齢者講習」

 私の運転免許証の有効期間は誕生日より1ヵ月長い平成22年3月11日までである。誕生日は昭和12年2月11日、更新時の誕生日には70歳以上になるので、新しく平成21年6月から適用になった「高齢者講習」を受講して「講習終了証明書」を免許証更新時に持参しないと更新できなくなった。先ず県の公安委員会から親展で「高齢者講習通知書」が届く。これには「この講習は、運転免許センターでは実施していません」と朱書きしてあり、さらに「この講習を受講されていない方は、免許証の更新が出来ませんので、免許証の更新を予定されている方は、更新手続きの前に必ず受講して下さい」と続く。受講できる期間は、更新日の前5ヵ月からと後1ヵ月までの半年間で、通知書に明記してある。受講場所は自動車学校、県内にある14のどこかへ予約して受講するようにと。私には9月4日付けで届き、期間は平成21年9月11日から平成22年3月11日までとあった。
 そこで私は免許講習を受けた自動車学校に予約を申し込んだところ、10月までは予約で一杯で、今のところ11月なら予約可能ですとのこと、ならばと11月4日(水)にした。必要なものは、運転免許証、高齢者講習通知書、手数料と筆記用具とある。手数料は通常の高齢者講習ならば5,800円、ただし運転技術に自信がある方はチャレンジ講習を受けることが可能で、これだと2,650円で、合格すれば更に簡易特定任意高齢者講習を受講する。この手数料は1,500円、締めて4,150円で1,650円の割り得となる。しかしチャレンジしても基準点数に達しないと、もう一度チャレンジ講習を受けねばならず、1回でパスしないとうまみはない。
 講習の当日、私は通常の「高齢者講習」を受講した。1クラスの人数は12人、開始10分前までに集合、内容は講義と運転適性診断と技能講習である。講習時間は正味3時間、休憩もあるので、実際は3時間半程度である。講義の中で、高齢者の運転事故が多いことから、その対策として教育を兼ねた講習を義務付けるための法改正があり、これに対応するには運転免許センターでは物理的に受け入れ困難で、民間の自動車学校で対応することになったとのことだった。因みに石川県の場合、免許証保有者約76万人のうち、70歳以上は8.4%、6万4千人いる。また75歳以上になると予備検査が義務付けされ、①今の年月日・曜日・時刻を言わせる、②果物や動物の絵を記憶させ答えさせる、③言われた時刻の時計の絵を書かせる、検査をするという。私も次回から該当することになるが、講師では①を聞いただけでほぼ見当がつくとのことだった。
 講義の後、4人1組で視力検査(静止視力、夜間視力、動体視力、視野)、3人1組での運転適性検査、3人1組での実車運転がある。この自動車学校では、この講習での検査に必要な自動測定装置を購入して対応していると話していた。講習には講師1人にアシスタントが7人付いての対応である。
 視力検査で、静止視力は右・左とも0.3以上、両眼で0.7以上が必要だが、これは裸眼でクリア。夜間視力での視認時間は40秒、減衰していないという20秒(A)には及ばずBランクの21秒~60秒以内に該当し、減衰していると指摘された。なお61秒以上はCとなる。動体視力は3回の平均が0.3、静止視力から平均動体視力を引いた数値0.4が私の値で、これは0.4以下のAであった。なおBは0.5~0.6、Cは0.7以上である。視野検査は右目が右方71度左方56度の計127度、左目は右方53度左方75度の計128度で、Bの100~149度、視野の範囲が狭くなっているので、左右に顔を動かして周囲を広く見て下さいとの指摘を受けた。因みにAは150度以上、Cは100度以下である。この検査で私は眼鏡をかけて測定したが、眼鏡枠のところで一瞬白球が見えなくなるのでボタンを押したが、この検査では眼鏡をかけずに受検した方がよい。
 次に高齢者用の運転適性検査、先ず運転に必要な基本的反射動作能力(単純反応)検査をする。前面にモニターが出る模擬車に座り、レバーを発進にし、アクセルを踏むと画面が前へ進む。画面の上半分は暗く、そこに突然青、黄、赤のシグナルが現れる。青ではそのままアクセルを踏み続け、黄ではアクセルから足を離し、赤ではブレーキに踏みかえるという動作をするというもので、結果は自動記録される。私が始めよく間違ったのは、青が点くと一瞬黄の時のように足が離れてしまうことで、これは後半には慣れてきた。したがって反応のバラツキを指摘された。また平均反応時間は0.33秒で、30~50代の平均0.31秒より0.02秒の遅れだった。時間は3分間である。
 次に状況の変化に対する反応の速さと正確さ(選択反応)検査で、走行画面には右左に障害物が現れるが、運転は自動的にこれら障害物を避けて運転してくれる。前半はゆっくりと、後半はやや早めとなるが、運転者は信号の点滅にのみ対応すればよいというシステムである。反応の速さ、正確さ、むらが判定される。反応時間はアクセルを離すまでの時間(秒)とブレーキを踏むまでの時間(秒)とが記録される。赤の点灯は20回、青も黄も同数である。結果は、信号の見落としや誤反応はなく、アクセルを離すまでの時間は0.42(0.49)秒、ブレーキを踏むまでの時間は0.53(0.72)秒で、5段階評価では4(4)であった。ここでの( )内数字は30~50代の平均値である。なお反応の正確さは3(2)、反応のむらは4(3)だった。コメントは、①前方の障害物に気が付き、ブレーキを踏むまでの時間はほぼ安定しています。反応時間の遅れは前方をよく見ていても、脇見をしていなくとも発生します。②あなたの状況判断、操作は平均的(普通)と考えられます。ただし、急いでいると間違った操作になる恐れがありますので、注意して下さい。
 次に注意力とその持続性・ハンドル操作の巧みさ(ハンドル検査)と複数の作業を同時に行う能力(注意配分・複数作業)検査を行う。モニター画面は前の検査と似ているが、今度のは障害物を自らの運転で回避し、かつ信号に対応しなければならない。障害物は3分30秒の間にランダムに右左に現れ、左右同数で90個ばかりだろうか、ハンドル操作では、避けられなかった数がエラー数として右左別々に70秒ごとにカウントされ表示される。また信号の点滅は45回あり、アクセルを離すまでの時間(秒)とブレーキを踏むまでの時間(秒)が計測される。ハンドル操作でのミスは、前半70秒では左10回右5回の15回、中盤70秒では左11回右7回の18回、後半70秒では左5回右4回の9回で、左右の注意配分に差が出た。ただ後半では操作が上手くなり、練習効果率は40%上昇した。アクセルを離すまでの時間は0.57(0.57)秒、ブレーキを踏むまでの時間は0.72(0.80)だった。評価は、反応の正確さは3(3)、反応の速さは4(3)、反応のむらは4(3)、ハンドル操作は3(1)だった。コメントは、①運転中周辺に対する注意力は、さほど問題ありません。ただし、人間は急いだり考え事をしていると、周辺の危険物に気が付くのが遅れることがあります。②あなたの判断・操作は、運転を急ぐと確実性に欠ける場合が考えられます。いつどんな時も急がず、確実に一時停止や安全運転を励行して下さい。
 以上の運転適性検査の総合的な評価は4(3)クラス、総合コメントは次のようであった。「あなたの本検査による機能は、全般的にやや優れています。また非高齢者と比較しても、平均的(普通)です。しかし状況判断機能がやや低下しています。交差点では確実に安全運転をしてから運転操作に移る習慣をつけて下さい。また、交通状況に対応する運転操作が間に合わないことがあります。ひとつの事のみに集中せず、広く視野をとって確実な運転をして下さい」。
 最後にAT車による実車運転、車には3人ずつ分乗する。後部座席もシートベルトを着用する。始めに講師による模範運転、コースは暗記する必要はなく、実運転では指示をするとのことだった。内容は周回からの車線変更、指定車庫への入庫、止まれ標識での停車と左右確認後の発進、停車線で止まっても左右の安全確認ができない交差点での少しずつ前へ出ての確認後の発進、指定のS字カーブの通行、信号のある交差点の通行等で、クランク通行、縦列駐車、坂道発進、踏み切り一時停止等はなかった。講師は助手席で運転者のチェックをしていたが、その評価は知らされていない。でもペーパードライバーだとかなりハードルが高いかも知れない。これで講習はすべて終了した。
 修了後、教室で「講習終了証明書」が渡された。書面には、「上記の者は、平成21年11月4日、道路交通法第108条の2第1項第12号に掲げる講習(認知機能検査の結果に基づいて行う講習以外の講習)を終了した者であることを証明する。 平成21年11月4日 石川県公安委員会」とあった。
 この日は晴れていて、雪をまとった白山がきれいだった。   

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