来年は戌年なので、頭に「イヌ」の名が付く植物を検索しました。参考にした図書は次の通りです。
A. 日本の野生植物(草本) Ⅰ〜Ⅲ 平凡社 (1982)
B. 日本の野生植物(木本) Ⅰ〜Ⅱ 平凡社 (1989)
C. 日本の帰化植物 平凡社 (2003)
D. 山渓カラー名鑑 日本の野草 山と渓谷社 (1993)
E. 山渓カラー名鑑 日本の樹木 山と渓谷社 (2011)
F. 写真でわかるシダ図鑑 トンボ出版 (2008)
接頭語に「イヌ」の名が付く植物はかなりありますが、動物の「犬」に因んだ植物は少なく、私が知っているのは「イヌノフグリ」とその仲間のみでした。イヌノフグリは日本在来の草で、漢字では「犬の陰嚢」と書き、それはこの草の実の形が、小さいながらも犬の陰嚢そっくりなことに由来しています。この草は道端や空き地などによく匍匐して生えていて、春には径4mm 位の紅紫條のある淡紅紫色の小花を沢山付けます。この仲間でほかによく目にするのが「オオイヌノフグリ」と「タチイヌノフグリ」です。2種とも明治初期にヨーロッパから渡来した植物で、今では日本全国に広く分布し、同じく道端や空き地によく見られます。中でも西アジア原産で明治初期に渡来したといわれる「オオイヌノフグリ」は欧州では Bird's eye と呼ばれ、春には濃い紫條のある径7〜10 mm の青紫 (藍・瑠璃) 色の可憐な美しい花を咲かせ、なかなか美しく、今では雑草のように言われますが、匍匐して一面に咲くと中々壮観です。そしてその果実がなんとも犬の睾丸にそっくりなので笑えます。本当に野に咲く春の使者という感じのする草で、誰しも一度は目にしておいでで、ご存じの筈です。一方「タチイヌニフグリ」はこちらも帰化植物で、全国に広く分布していますが、前2者とは異なり、匍匐せずに立ち上がっています。花は淡紫色で、径は2mm と小さく、目立ちません。田畑や道端では余り目にしませんが、私の家の庭には散見できます。
以上は通常の植物図鑑にも搭載されているイヌフグリの仲間ですが、平凡社刊の日本の野生植物の草本編によりますと、これらの外に何れもヨーロッパ原産であるコゴメイヌフグリ (花は白色、径は5mm)、ツタノハイヌフグリ (花は淡青紫色、径は4mm)、アレチノイヌフグリ (花は濃青紫色、径は5mm) が掲載されています。これらイヌフグリの仲間はいずれも分類上はゴマノハグサ科に属している草本です。
その外に動物の犬に因んだ名をもつ草木を調べたところ、「イヌノヒゲ」「イヌノヒゲモドキ」「イヌノハナヒゲ」という植物がありました。前二者は和名で「犬の髭」「犬の髭もどき」、後者は「犬の鼻髭」で、その花の形状が犬の髭や鼻髭に似ていることから付けられたようです。前二者は分類上はホシクサ科、後者はカヤツリグサ科で、三者とも在来種のようですが、私は見た記憶はありません。
2017年12月11日月曜日
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