10月1日の日曜日のお昼近く、テレビを観ていた私に家内が、「行かないの」、「何処へ」、「あなた、朝起きがけに やまぎし へ行こうと言ってたじゃない」、「えっ、俺そんなこと言ったかなあ」、「言ったわよ」、「そうか、でもわしゃ全然覚えておらんけど」、「だから、私今化粧して用意してるのに。私はよく外へ出るので、あなたに悪いと思っているから、無理を聞いてあげなきゃと思ったからよ。それにしてはいつまでもテレビを観てるから、どうしたのって思って言ったのよ」と。「じゃ、行こうか」。
私のこの頃の日曜日の日課は、朝7時からは NHK のニュースと百景、8時からは MRO テレビのサンデーモーニング、10時からは檀蜜さんが出てれば続けてサンデージャポン、正午からは NHK のニュースとのど自慢、午後1時からは石川テレビの 開運!なんでも鑑定団 という次第。この日私が家内に声をかけられたのは、サンデージャポンが終わる寸前。「やまぎし」はもう開店しているけれど、でも昼時を外せば大丈夫だろうから、「じゃ、今から用意するから」と言って私も用意して一緒に出かけることに。家を出たのは正午を少し回っていた時刻だった。
いつものように鶴来の山手バイパスを通って行く。ふっとこの間「草庵」へ行った時は月曜日だったけど混んでいたが、今日の日曜日はどうだろうと店の前を通ってみた。ところがさすが日曜日の昼時とあって、20台は停められるという広い駐車場は満タン、すごい混みように度肝を抜かれた。今時の草庵は、一品はともかく、そばは今一の感じがするのに、草庵という名前が人を引き寄せつけるのだろうか。何ともすごい光景だった。
裏へ回って、朝日小学校の前から再びバイパスへ。白山さんは今日は一日参りなのだろう、駐車場は一杯だった。先へ進むと左手に林業試験場の樹木公園、この敷地に植わっている桂の並木はもうまっ黄色に色付いていた。国道を横切り、鳥越大橋を渡り、ひたすら国道44号線を大日川沿いに南下、途中上野辺りからは白山が望めた。元鳥越村役場があった別宮に着いたのは午後1時少し前、「やまぎし」にはもう少し時間をずらして行くことにして、寄り道して道の駅「一向一揆の里」に寄ることに。ここには地元の農産物が比較的豊富で安くて、「やまぎし」への行き帰りにはよく寄っている。この日も多くの人で賑わっていた。家内が言うには、この賑わいの元は、附属する評判の「鳥越そば」にあるという。地元で採れた玄そば6割につなぎに丸いもを使ったそばとか、乾麺も売っていた。
道の駅から別宮に戻り、右折して更に県道を南下する。対向車も少なく、すんなり左礫に着いた。時間は午後1時半、もうお客さんも少なくてすんなり入れようと思って前まで来ると、県道沿いの左側にはびっしりの車の列、私も県道に車を停め、店へ。ところが入り口には「打ったそばはなくなりましたので、またのお越しを」と。いつもは開店前に訪れることが多く、こんな目にあったのは初めて、家内は「じゃ、烏骨鶏の卵だけ貰ってくる」といって玄関に入って聞いたが、ないとのことだった。それで仕方なく家内が、「折角来たのだから、挨拶だけしてきたら」と私に言うので玄関に入ると、卵が見つかったというので4個 (1個 250 円 ) 頂いた。その時「あら、木村さん」と奥さんの声、それに呼応して山岸さんが、「もう少し待ってもらえば何とかしますよ」との返事、九死に一生の思いで中に入った。そろそろ波が引く時間帯だが、まだ中で待っている客もいた。すごい人気だ。
入り口近くの大きなテーブルに、以前会った御仁がいて手招きされた。彼はほぼ毎日ここへ寄るという。今日も山歩きをしてきたとか、もう木通 (あけび) はお終いだとか。彼は名古屋の出身、あちらにいる時は南アルプスはほぼ全域歩いたとか、出来るだけ身軽にするため、雨具やツェルトの代わりに大きなビニール袋を何枚も持って歩いたとか、まるでまたぎだ。私も大学の山岳部に入りたての頃、やはり親父がまたぎの男が入部してきて、どんなに雨が降っていようと火を焚く術を持っていたのに驚かされたが、そんな感じだった。
私は「田舎粗挽き」と天ぷらと財宝 (焼酎) 2杯といつもの通り、家内は「白」と天ぷらとノンアルコール、でも「白」はなく「黒」に。この日は山岸さん夫婦、弟さん夫婦、妹さんとフルメンバー。そして天ぷらにはこれまで入っていなかった海老が。件の彼氏が言うには、粗挽きは釜揚げも美味しいですよと。今度試してみよう。家内は白より黒の方が味があるとご託宣。今日はそれぞれ60人前ずつ打ったとかだったが、完売とかだった。今日もありつけて良かった。
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