2016年10月4日火曜日

中の湯温泉と上高地(その2)

(3)中の湯温泉旅館 長野県松本市安曇中の湯 4467
 この旅館は以前は梓川沿いにあったが、安房トンネル工事のため閉鎖し、完成後現在の海抜 1500 m のこの地で平成10年に再開した経緯がある。昨日着いた時には少々駐車場に余裕もあったが、夕方近くには満車の状態、ここに泊まって焼岳 (2455 m) へ登る客が多いからだ。部屋は穂高 205 号室で、家内では前の時と同じ部屋とか、窓からは北に前穂高岳 (3090 m) と明神岳 (2931 m)、近くには霞沢岳 (2646 m) が見えている。でもやがて雲に覆われて見えなくなった。寛いだ後、露天風呂で身体を休める。好きな宿だ。
 翌日の朝は、入替えになった露天風呂に入る。上がって午前7時に食事。。山へ行く人達はもうとっくに食事を済ませ、宿から出て行ったようだ。私たちの予定は、食事後、8時30分発の宿のマイクロバスで上高地へ行くことに。もっと早くに出た人達もいる。以前来た時は、何度も河童橋近くの上高地バスターミナルまで送って頂いたが、今日は手前の大正池までしか送れませんとのこと、そんなふうになったのだと思っていたが、後で判ったことだが、2016 年の観光バス乗入れ規制で年に7回、土日のマイクロバスと観光バスの上高地への乗入れが出来ない日があり、9月24日 (土) と25日 (日) がその日に該当していたのだった。年間を通じて、自家用車 (自動二輪を含む) は釜トンネルを通行できないので、平湯か沢渡の駐車場に車を停めて、シャトルバスもしくはタクシーで入山することになる。私たちが行った日は、たまたまその乗入れ規制の日だった。
(4)上高地 長野県松本市上高地
 中の湯温泉旅館を8時30分に出発するマイクロバスには2組5人のみ、申し訳ない感じだ。車は九十九折れになった国道 158 号線を1号カーブまで 250 m 下り、中の湯の釜トンネルゲートへ、そこでチェックの後トンネルへ、隧道の内壁はずっと以前には岩でゴツゴツしていたが、今はきれいに仕上げられている。ただきつい勾配はそのまま、かなり急である。2km 近いトンネルを抜けると、今度は真新しいトンネルが、訊くと今年7月に竣工開通したとか、名称は「上高地トンネル」、長さは1km ばかりだろうか。この公園内では、道路は中々拡幅できないこともあって、車両数を減らさないと渋滞は解消できないが、トンネル開通で少なくともこの区間の通行がスムースになったことは歓迎すべきだろう。
 そして太兵衛平のバス停を過ぎると、次が大正池のバス停、送迎の車はここまでだ。下りて大正池へ向かう。私は何度も上高地へ入ってはいるが、大正池の辺りに佇むのは初めてだ。この池は大正4年 (1915) の焼岳の大噴火で梓川が堰止められて出来た池、以前は林立していた枯れ木はもう数える位になっている。曇り空が次第に明るくなり、焼岳もくっきりとその姿を見せてくれるようになった。池にもその姿を写している。沢山の人が来ている。今日はここから河童橋までそぞろ歩くことにする。陽が射してきて、上着を着ていると汗ばんでくる。20 分ばかり歩くと田代池への分岐に出た。
 すぐ近くにある田代池へ、ここは以前は池だったらしいが、今は大部分が土砂の堆積で湿原化している。暫し佇んだ後、元の分岐まで戻り、梓川コースへ。川辺へ出る小径があるが、家内ではこの径はどん詰まりで川縁沿いには歩けないとか、それでそのまま上流へと歩を進めることにする。すると程なく田代橋に出た。ここで梓川を渡る。中州を挟んで穂高橋があり、川の右岸へ渡る。5分ばかり上流へ歩を進めると、左手に上高地温泉ホテルがある。以前ここで大学の同窓会をしたことを思い出した。さらに5分ばかり歩くと、ウェストン園地に出た。この園地の山手の崖には、明治時代に日本アルプスを世界に紹介した、あのイギリス人のウォルター・ウェストン卿のレリーフが嵌まっている。実物を拝見するのはこれが初めてで、とても感激した。毎年6月初旬にはここでウェストン祭が開催されている。そしてさらに歩を進めていると、数頭の日本猿に出くわした。全く人を恐れない様子、餌を絶対やらないで下さいとのことだったが、餌をやると人に危害を加えるようになる恐れがあるという。何とも大胆不敵で、もし増えるとすると問題が起きそうだ。15 分ばかり歩くと、左手にホテルや山荘やロッジが連なる所となり、やがて河童橋の袂に着いた。手前の河原には沢山の人がいる。私たちも下りてみた。流れる水は澄んでいて透明、底までくっきり見える。空も青く澄んでいて、正面の岳沢の奥には奥穂高岳、吊り尾根、前穂高岳が、あの上高地での一級の穂高連峰の風景が展開している。秋も深まると、上高地には多いカラマツ (落葉松) が一斉に黄色く色づき、また別の素晴らしい景観を醸し出してくれる。そんな秋の上高地にも家内を案内したいと思った。
 10 時を過ぎ、バスターミナルへ戻る。旅館の指示では、ここからは沢渡へ行く路線バスに乗り、中の湯で下り、すぐ近くにある中の湯温泉の連絡所へ行き、そこから旅館へ連絡して貰えば迎えに行きますという。暫くして迎えのマイクロバスが来て、駐車場へ戻った。歩くとすると1時間以上かかるという。サービスとはいえ大変助かる。
 帰りは国道 158 号線を1号カーブまで下りて右折し、有料の安房トンネルへ、ほぼ3 km はあろうか、抜けると平湯、帰りはここから新平湯、神岡を通る国道 471 号線を北上して国道41号線へ。途中富山県へ入っての最初の道の駅「細入」で小休止、魅せられて立派な子持ち鮎を食べ、そしてビールで喉を潤した。充実した2日間だった。

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