2016年7月9日土曜日

本家吉田家のお墓が野々市にあることを知る

 7月2日の午前10時頃、突然電話があり、「京都の吉田ですが、お昼少し前に木村さんのお宅へお寄りしたいのですが、宜しいでしょうか」とのこと。私は特にお断りする理由もないので、「お待ちしております」と返事した。京都には私が年賀状を差し出している吉田さんという家が3軒あり、お電話頂いた吉田さんはどの吉田さんなのだろうかと思案したりしていた。先の電話では、「タクシーを待たせてお寄りするので、時間は取らせませんから」とも話されていた。
 11時過ぎ、吉田さんと言われる上品な女の方と身体が大きな息子さんと思われる方とが見えられた。「タクシーを待たせておりますので、玄関先でご挨拶だけ」と言われ、それで私もそれに甘んじて応対させてもらった。そして驚いたのは、「今日は吉田の家のお墓にお参りに来たので、木村さんのお宅にも寄らせて頂きました」とのこと。吉田家の墓が野々市にあることは知っていたが、これまで私が吉田のお墓にお参りしたことは一度もない。年寄りから野々市の旧中町の墓地に吉田家の墓があるとは聞いてはいたものの、場所がどこなのか、どんなお墓なのかは知らず、それでこれまで気にしたこともなかった。だから突然来られて、お墓参りに来ましたと言われても、驚いて全く応対のしようがなかった。それで「いつか人伝に、吉田さんのお墓は京都の方に移されたとお窺いしましたが」と言うと、「いえ、私の主人からは、亡くなったら野々市のお墓に埋葬して欲しいと言われていましたので、お骨は野々市のお墓に納めました。またその際に墓碑も新しくしました」とのこと、私にとっては全く寝耳に水のこととて、赤面してしまった。「そうとは知らずに、大変失礼をいたしました」とお詫びをした。玄関先での数分の会話だったが、その時に後でぜひ吉田さんのお墓へ行って来なければと思った。吉田さんからは、手土産に京都の宇治茶のラスクを頂戴した。
 いつかまだ私の弟が存命中に、一度旧中町の墓地に案内されて、これが吉田のお墓だと紹介されたことがあるが、それは本当に小さなお墓だったので、その後吉田のお墓が京都に移されたと聞いた時は、さもありなんと合点していた。それでその日の夕方に、家内は知っているというので、案内してもらったが、吉田家のお墓は大変立派なので驚いた。現在吉田さんの御一族は皆さん京都に住んでおいでだが、これほどの大きなお墓を移すのは容易ではないと思った。
 お墓の土台は、間口 250 cm、奥行 190 cm、高さ 52 cm で、その中央に5段組の高さ 180 cm の「吉田家累代之墓」が建っており、正面には「丸に州浜」の家紋が刻まれている。そして右面には昭和九年八月建之とあり、左面には、吉田亀次郎、吉田規一、澤田 冬、南 壽美と4人の名が、おそらくこの4人の兄弟姉妹が建立したのだろう。亀次郎さんも規一さんも、木村の家に来られたのを私は子供心に覚えている。そして左側には2段積みの高さ 82 cm のお墓があり、正面には南无阿弥陀仏の文字、左面には木屋五左衛門、右面には弘化二年七月とあった。木屋というのは吉田家の屋号で、私の家の先祖の五右衛門も吉田家から分家して木屋五右衛門と名乗っていて、明治維新以後に木村姓を名乗るようになったと聞いている。また我が家の家紋も「丸に州浜」で、これも主家の家紋と同じである。
 お墓の右端には新しい墓碑 (法名板) があり、3名の法名と名前と没年齢、それに没年月日が記してあった。それには右から順に、香譽梅薫禅定尼 梅野 八十一歳 昭和三十八年二月二十二日、法譽浄規禅定門 規一 五十二歳 昭和四十三年十月十日、壽楽優道信士 壽雄 六十六歳 平成十二年三月
二十一日、と記してある。
 壽雄さんは規一さんの長男で、もし今存命ならば 82 歳、私と同年代である。身体の大きな方で、一時相撲部屋に居たことがあったが、修業が厳しくて挫折し、一時木村の家に逗留していたことがあるので覚えている。今思うに、お墓参りにおいでた方は、壽雄さんの奥さんと息子さんだったのだろう。後日出したお礼の手紙には、旧盆にはお参りさせて頂きますと書き記した。
 本家の吉田家がいつ頃からいつ頃まで野々市においでたのかは知らないが、野々市には吉田の姓を名乗る家が何軒もあり、皆親戚同士だと聞いたことがある。本家はかなり以前から吉田の姓を名乗っていたが、分家は屋号で呼んでいたろうし、明治以降に吉田姓を名乗ったのだろう。因みに私の先祖は吉田でなく木村を名乗ったが、旧野々市村で木村を名乗ったのは私の家と今は絶えた分家だけである。
 今年の旧盆にはぜひ吉田家のお墓にお参りしたいと思っているが、ほかにどんな方がお参りされるのか、興味が持たれる。もし縁者の方が近くにおいでれば、お参りされると思うのだが、どうだろうか。旧盆が待たれる。

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