1.マイスターシリーズ「ショパンと友人たち」
シーズン中にこのシリーズは5回あり、第1回は昨年の10月24日、最終の第5回は今年の7月16日の第379回定期公演だった。今回のシリーズのテーマは「ショパンと友人たち」、この日はショパンのオーケストラ付ピアノ曲として ピアノ協奏曲第2番へ短調 op.21 、それにメンデルスゾーンの 交響曲第3番イ短調「スコットランド」op.56 が演奏された。ほかに現代ポーランドの新進作曲家キラールの「オラヴァ (1988)」という弦楽オーケストラのための作品、そして嬉しいことに、前回の演奏会で演奏者急病でキャンセルとなったショパンの管弦楽付ピアノ曲の「ポーランドの歌による幻想曲 op.13」が追加演奏された。指揮をした井上道義 OEK 音楽監督の言によれば、再演の要望が非常に強く、この日のピアノ奏者の北村朋幹(ともき)さんの了解もあって実現したとかだった。北村さんはまだ弱冠34歳、現在ベルリン芸術大学に在学中の新進気鋭のピアニストである。
初めにショパンの「ポーランドの歌による幻想曲」、この曲はこの後に演奏されたピアノ協奏曲第2番のワルシャワでの初演 (1930年3月) の際に初めて演奏されたという曲である。演奏に先だって、門田 宇 (たかし) さんによるナレーションがあり、それは暗くて果てしないポーランドの原野を印象づけるような語りだった。その後暫く時間をおいてから、曲はオーケストラのゆっくりとした序奏から始まった。第1部はポーランドの民謡に、第2部はポーランドのとある作曲家の旋律に修飾、第3部はポーランドの民族舞踊を主題にしたもので、華やかな独奏ピアノを管弦楽が装飾し、序奏、第1部、第2部、第3部と進むにつれ、ピアノは静から動へと華やかに躍動する様は凄く、満席の聴衆に感動を与えた1曲だった。追加の演奏だったのにこの迫力、要望が強かったのが頷ける会心の演奏だった。
次いでキラールの「オラヴァ」、弦楽器パートのみ15人での演奏、オラヴァとは川の名だそうだが、演奏は民族音楽風な感じの簡潔なリズムの反復と、次第にだんだん強くなる力強い推進力が身体に直に感じられるような凄い音楽だった。
そして本命のショパンのピアノ協奏曲第2番へ短調 op.21、作曲も初演も第1番よりも先だったという
ことはよく知られている事実で、2曲あるピアノ協奏曲のうち出版が後だったということで第2番になっている。第1番、第2番共によく演奏されるが、この日の若い北村さんの華麗な旋律は聴衆を惹き付けた。
最後にメンデルスゾーンの交響曲第3番「スコットランド」op.56、第4番「イタリア」と共につとに有名である。井上道義の華麗な全身を駆使した指揮ぶりには圧倒された。
2016年7月25日月曜日
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