家内とは年に何回かは温泉へ出かける.親戚や子供たちと一緒のこともあるが、できれば夫婦でというのがベターである。一昨年11月14日に長野県の中の湯温泉旅館に立ち寄った折りに、宿の主人から、明日は上高地の閉山祭なので出かけませんかと誘われたほかに、温泉がお好きならこのスタンプ帳を上げますから利用して下さいと言われた。これは3年間のうちに「日本秘湯を守る会」の宿を10軒巡ると、そのうちの1軒に1泊招待されるというもので、勧進元は(株)朝日旅行である。押印を見ると、平成22年には2軒、23年には2軒、24年には6軒巡り、これで10軒クリアしたことになる。このうち近場の白山麓の秘湯では、今年の5月に中宮温泉、6月には白山温泉、10月には新岩間温泉へ寄った。
1.中宮温泉にしやま旅館(石川県白山市中宮温泉)
もうかなり古くから湯治場として知られている。でも山奥にあるため、昔は歩くか駕篭でしか行けなかったが、今はスーパー林道も開通して、車で行くことができる。以前は旅館が4軒あったが、現在は2軒のみ、でも公営の施設が新たにできている。ここは標高 700m、白山中宮道の登山口でもあるが、主人の話では、ここから登るのは年に1組位とか。私も学生の頃に友達と二人でここから白山へ登ったことがあるが、随分難儀した。中宮温泉は古くから胃腸の名湯として親しまれてきたが、里からは遠く、私の大叔母がよく湯治に訪れたと聞いたことがあるが、どうして訪ねていたのだろうか。
私たちが訪れたのは5月4日、冬季は閉じていて、営業の再開は4月27日、辺りは新緑が萌え始めた季節、まだ白山スーパー林道は開通していない。林道に入る手前の急な坂道を上がると、にしやま旅館の看板が見える。駐車場は狭く、着くと車のキーは宿の人に託す。玄関に日本秘湯を守る会と墨書した提灯が吊るされている。古い佇まいの宿で、山の湯治場という雰囲気である。入ると囲炉裏のあるロビー、熊とか羚羊などが置いてある。部屋へ案内される。昔ながらの湯宿という感じ、早速風呂へ。男湯は1階の御前の湯、女湯は2階の大汝の湯、男湯は古い木造りの湯槽、湯は飲用できる。夕食は部屋で、岩魚や山菜は地元だが、刺身は海のもの、もっとも金沢からは1時間半もあれば着くので、新鮮な海産物も手に入ろうというものだ。翌朝4階の露天風呂に入った.丸い総桧の湯槽、新緑の林を眺めて浸かっていると、心が洗われる。ここは立ち寄り入浴もできる。帰りにここの「胃腸の湯」を求めた。1年間は保存可能という。水割りに使おう。
● ナトリウムー塩化物・炭酸水素塩泉、源泉65℃、35ℓ/分、加水加温なし、源泉かけ流し。
2.白山温泉永井旅館(石川県白山市白峰市ノ瀬)
ずっと昔の白山温泉は湯の谷の方にあったが、あの百万貫の岩が流れてきた大洪水で温泉は埋没した。その後新しい源泉が見つかり、ここ標高830mの市ノ瀬に湯宿ができた。昭和10年のことである。別当出合までの林道が開通するまでは、市ノ瀬が正に白山登山の基地で、皆ここから歩き出したものだ。最近になって永井旅館に別館が造られ、湯槽も新しくなり、きれいになった。本館は襖で仕切られた部屋だったが、別館は個室になっている。私たちが寄ったのは6月23日、白山の開山祭は7月1日、電話した時には白山へ行くのですかと問われた。家からは車で約1時間、本館には何度か泊まったが、別館は初めてだった。湯へ入って寛ぐ。夕食は大広間で、5組ばかり、白山へ登る人も2組いた。岩魚や山菜のほかも山の物ばかりなのが嬉しい。翌朝は私たちが殿だった。
● ナトリウムー塩化物・炭酸水素塩泉、源泉47℃、24ℓ/分、加温あり、源泉かけ流し。
3.新岩間温泉山崎旅館(石川県白山市尾添岩間温泉)
この新岩間温泉(標高790m)や、6km下にある一里野温泉(標高550m)の源泉は、さらに3km奥の岩間温泉元湯(標高1000m)で、ここから引かれている。尾添の土建業者山崎組の組長の信一さんが、その元湯に温泉宿を造ったのは昭和30年代、二度ばかり白山からの下山時に泊まったことがある。しかしその後雪崩で倒壊し、今は往時の浴槽が残っているのみである。その後下流の現在地に新しく新岩間温泉を造った。しかし当時ここへ来るには、中宮温泉へ行く途中にある三又第一発電所の導水管に沿ってつけられた急な坂を200mばかり上らないと行けなかった。その後信一さんは私費を投じて林道を建設、大部分は一車線ながら、現在は車で行くことができる。私たちが訪れたのは10月28日、この日はもみじウォークがあって、私は一里野からここまで往復した。宿泊予約の電話をすると、寒いですから温かい格好で来て下さいとのこと、面食らった。私たちは本館ではなく、新しい別館に案内され、暖房なしと覚悟していたが、ガスストーブは置いてあった。午前中は小雨だったが、午後は本降り、ここの露天風呂は実に素晴らしいのに、雨で入れなかったのは残念だった.夕食は広間で、6組ばかり、家族連れも団体もいる。結構信奉者もいるのだなあと感心する。食事は山一色、孫の太一朗さんがよく世話をしてくれた。
● ナトリウムー塩化物泉、源泉93℃、60ℓ/分、加水・加温なし、源泉かけ流し。
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