2011年10月13日木曜日

『ドンキホーテの誤解』を読んで

 『随想 ドンキホーテの誤解』  永坂鉃夫著  前田書店  1,500円  (2004)

 以前ご恵送いただいた『随想 ドンキホーテの誤解』の当時の読後感が手元に残っていて、読み返しますと、そこには、「大変面白く、先生の薫りが随所に匂う、素晴らしいエッセイ・主張・解説の数々、一気に読ませていただきました」とあります。この度もう一度通読させていただき、勝手な今なりの私のおもいも追記させていただきました。
1.「ドンキホーテの誤解」
 どなたかがドン・キホーテではないかとの御託宣は正しいに違いないことです。でも先生は敢えて中点のないドンキホーテとして本物と区別する事にしたとは、何という開き直り、正に返し技一本です。大変小気味よい仕業です。ところで先生は「あえて自著ではドン・キホテとせず」とありますが、そこはドンキホテとせず日本語通読のドンキホーテとされたところが先生らしいですね。おそらく大方の日本人は書きなさいと言うと、中点など付けずに書くのではないでしょうか。
 外国の人名・地名をカナ表記するのは大変です。中国のようにこう書くと決めて示せば別ですが、統一した表記は至難でしょう。
 マニフェストのこと、私も語源は英語で manifest とばかり思っていたのですが、実は英語でも語尾に o が付くとは驚きました。確かにマニフェストなどと言って国民を煙に巻いている感がします。 
 箸の握りでは、機能的な握りであれば、どんな握りでも原則OKなんでしょうね。
 さて、ダッタンソバの花の色のことですが、五弁花の花びらを比較しますと、ソバは大きくふっくらとしていて白色で、基部のみが淡緑色ですが、ダッタンのは小さくて細く、白色なのですが、基部からほぼ中央に沿って、ほぼ真ん中辺りまで淡緑色の部分があり、全体では淡緑白色に見えます。また花の付き方も、ソバは花が塊状に付き白色が強調されるのに対し、ダッタンは穂状に付くのと花が小さいのとで、花盛りでも淡緑白色はほとんど強調されません。それに早川先生の指摘にもありましたように、「ほう」のような小葉は淡緑色から花期には淡緑黄色になるので、眺めた場合はむしろこちらが強調されます。とは言っても、ダッタン蕎麦畑の花盛りの写真を見ると、葉の緑が最も強く、先端に点々と淡緑黄色と淡緑白色が伺えるという程度です。また葯の色はどちらも紅色なのですが、ダッタンの「おしべ」はソバよりも小さくて短く、紅色が目に入ることはありません。因みにソバは2倍体で虫媒か風媒、一方ダッタンは4倍体で自家受粉です。またダッタンの実には稜がなく小麦状です。
2.「粗忽者ドンキホーテ」
 大杯の酒、先生の場合は、仲人で飲み干してはいけない酒を自発的に飲み干されてしまって周りを驚かせてしまったようですが、小生の場合は、家での結婚式の最後に、大杯になみなみと注がれた酒を飲むように催促され、飲むには飲んだのですが、新婚初夜は大変でした。後で聞けば、宿へのハイヤーは途中でパンクしたけれど、縁起もあって交換もできずそのまま走り、宿には4時間遅れの到着、早速用意しますのでと言われたことまでは覚えているのですが、そのまま夕食も食べずに朝までソファーでぐっすりという始末、縁がなくてもそれまででした。
 また春山での遺体収容で、クレゾール石鹸液をコーヒーと間違えて飲んだ御仁もいました。
3.「わたくしの書評」
 シャンソン「リラの花咲く頃」の元歌か原詩がドイツ語とは全く知りませんでした。シャンソンでは冒頭の小節で lilas blanc となっていますが、それはそれでよいのですが、これがブタクサとなると、日本ではあの花粉症の元凶ですから、どうでしょうか。
 因みにライラック(リラ)には沢山の種類(種・亜種・変種・品種)がありますが、代表的な薄紫色の花を付けるのは、和名ではムラサキハシドイといい、北大の植物園には多くの株が収集されています。
 豚の饅頭、どなたの命名か知りませんが、現物を観察するとなるほどと納得です。
 仁木先生の「遊んで学べば一体どうなる」の言、実践するとどうなるんでしょうね。
4.「続・体温十二講」
 今回も「そうですか」「そうでしたか」に終始しましたが、お終いの体温調節に関する3講には興味がそそられました。中でも冬眠についての項で、高僧や修行を積んだ雲水やヨガの練達者が座禅や瞑想を行っている時には心拍数や呼吸数、代謝が落ちて、冬眠に似たような状態が具現されているとか。ときに真剣に訓練しなくても、機器を使うもよし、薬物を使うもよし、催眠術のような術を使うもよし、望むときに冬眠できるようになれば素晴らしいですね。先生が仰るように、この方面の研究も進展してほしいものです。
5.「My Dear 王木会」
 先生自身、この会の影響がすこぶる多大であったと述べておられますが、そうだと思います。毎年開くことだけでも大変でしょうに、会務報告あり、特別口演あり、分科会あり、出品あり、ツアーあり、すごい会ですね。でもそれには会をリードし、企画し、お世話する中核となる人がいないと持続させるのは至難でしょう。しかし読んでいて実に素晴らしい会、本当に羨ましい限りです。
6.「学会(界)の周辺」
 話す時間のこと、正にその通りですね。約束ごとを無視し、人の迷惑も顧みずに延々と話す御仁に出くわすと、無性に腹が立ちます。 
 イグノーベル賞のこと、日本人でも受賞されている方ありますね。それはそうと、賢いカラスは正に好適なターゲットだと思います。以前酸性雨の被害状況調査で、合金別にいろんな条件で年余にわたる調査を行なったのですが、なぜかカラスの糞害に悩まされました。その時は、ビニール被覆線を40cm位に切り乱立させることで解決できました。それはカラスが羽を広げた時に、針金が羽に当たることを極端に嫌うというヒントからでした。  またゴミ袋の場合、ずっと以前の真っ黒な袋では被害がなかったわけで、中が見えないと敵は素通りのようです。しかし、人間様も見えないわけで、中に何がということで透明な袋に変わった経緯があります。ところで磁石はそれなりに有効なのでしょうが、そこそこ強力でないと駄目なのではないでしょうか。いつか朝日新聞に、ヒトとカラスでは視覚に差があることと、中身が分からない限りつつかないというカラスの習性に目をつけ、黄色を強調する顔料を塗った半透明のゴミ袋を試作したそうです。この色の濃さと光の透過率を調整すると、カラスには見えないがヒトは見えるというゴミ袋ができ、それだと全く荒らされなかったとのことでした。
7.「性懲りもなくまたドンキホーテの八つ当たり」
 正に先生の言われる通りです。  その後「名古屋高速」は改善されたでしょうか。 
 ジパング倶楽部のこと、私は煩雑で辞めましたが、年寄りは「のぞみ」に乗るなとは、親切心なのでしょうかね。ただ代行については、ジパング倶楽部会員でないからか、全く支障がありません。 
 行田市教育委員会もとんでもない企画をしたものですね。悪い冗談だということ分からないのでしょうか。その後の消息知りたいものです。 
 会費制の謝恩会など、謝恩会じゃないでしょう。別名にすべきです。 
 減塩食の是非、沖縄では最長寿で摂取食塩量も多いとか、ただ天然塩でカリウムがふんだんに含まれているからOKなのでしょうか。最近得た知識では、食塩量を余り下げるとかえって腎機能によくないとか、どうなんでしょうか。
8.「手作りの本」
 小冊子ならいざ知らず、少なくとも本となると、相当な技術と何か道具が要るのではないでしょうか。あるいはちょっと技術見習いに弟子入りするとか。でも先生は独学とか。手作り本(Ⅳ)表紙と本にありますから、少なくとも4冊は作成されたようですね。本当に驚きました。所謂「凝り性」なのですね。

 いろいろと勉強させて頂き、有り難うございました。またいろいろ御教示下さい。

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