2009年9月15日火曜日

美濃探蕎ー胡蝶庵仙波〔岐阜市)と萬屋町助六(関市)

 平成21年度探蕎会後半の行事は8月上旬の世話人会で大筋が決まり、9月は例年ならば近隣の県のそば屋巡りなのだが、今年は岐阜の胡蝶庵への日帰りということになった。それで胡蝶庵へ行くなら「蕎麦三昧」に挑戦したいと願ったが、胡蝶庵では部屋でしか蕎麦三昧は食べられず、しかも4人限定の2部屋のみ、入ってもし蕎麦三昧にありつけても8人が限度ということになる。事務局で予約すると、1日4名様とか、前田さんの計らいで11日と12日に分けて行くことになった。私は和泉さん夫妻、松川さんと4人で後半の12日の訪問となった。和泉さんの車で、私が野々市で、松川さんが予防医学協会で乗り込み出発、この日だけが生憎の雨模様、6時少し前に金沢西ICから高速道に入る。ETCのトラブルで若干時間を浪費したものの、後は順調、ひるが野PAで休憩し、東海北陸道の関ICで下りる。時刻は8時半、少し早すぎた。 
 ICを下りると、やたら沢山車が止まっている。何とこれがギャラリーの車、知らなかったが、今日は関IC近くにある関CC東コースで全日本女子プロゴルフ選手権大会の3日目とのこと、道理で混んでいるわけだ。車にはナビがなく、大雑把な地図と道路標識を頼りにやっと目印の忠節橋に辿り着いた。ここまで来ればしめたもの、どうやら目的地に着けた。着時間予定を10時半としたが、1時間以上早く着いてしまった。駐車場の一番奥に止めようとしたら、ご主人の仙波さんが出てきて、この場所以外に止めて下さいと言われる。時間つぶしに大通りまで出て、とある喫茶店に入り、時間をかせぐ。11時少し前に胡蝶庵へ戻る。丁度この時間に合わせるように車が2台、岐阜ナンバーだ。ここは10歳以下のお客様は入店不可とある。
 11時丁度に木戸の戸が開けられ、中に入る。予約の方ですねと言われ、奥の一間に通される。手前の部屋には地元の二人が、後でもう一人来た。着座すると直ぐに、末広の赤土色の美濃焼きの茶碗に蕎麦茶がたっぷり出されっる。品書きの蕎麦前はと見ると、特別本醸造の樽酒の片口が630円、房島屋の純米吟醸の片口が840円とある。ほかに達磨正宗の古酒があったが、これは敬遠した。吟醸の「ひやおろし」はと聞くとないとのこと、初めに本醸造の樽酒を頼む。片口は蔓がついた内面金色の陶器のつくり、杯は腰高の磁器、先ずは乾杯する。
 初めに「蕎麦寿し」が出る。細打ちのそばと椎茸、ほうれん草、紅生姜を色に、きっちりと綺麗に巻き上げ、4切れが黒い釉薬を施した厚手の皿に端正に盛られて出てくる。繊細さを感ずる。実に見事である。蕎麦前を純米吟醸にする。酒を替えると、杯も替わる。次いで「吸い物」、黒塗りの椀に松茸の切り身と三つ葉を浮かしたすまし汁、程よいしのぎとなっている。次に「そばがき」、粗挽きの蕎麦粉をしっかりかき込んであって、洗練された荒々しさを感ずる。汁と海塩が付いていて、どちらでもと言われる。蕎麦は酒のツマにはならないと言うが、そばがきで飲むのも一興、純米吟醸を追加する。次いで「卵巻き」が、大振りに切ったのが4切れ、出汁を含んだ焼き目のない巻き、若干緩い感じが、ツマに辛味大根のおろし。そして最後は「天ぷら」、志野の皿に赤い線が踊り、懐紙には車海老と獅子唐が盛られ、それにレモンの串切り、もう一本シメに本醸造の樽酒を貰う。
 最後に「ざるそば」が出た。そばは高杯の使い込まれた笊に盛られている。この手挽き生粉打ちの細打ちは、正に芸術品である。この端境期にあってのこのそば、繊細で瑞々しく、ホシが今にも蠢きそうなそばである。葱も山葵も要らない素晴らしいそばだ。蕎麦湯は別に誂えたもの、程よい濃さがよい。中座して厠へ行くと、玄関の待ち場所には沢山の人が待っている。もう一枚「おろしそば」とのことだったが、長居は失礼だろうと腰を上げることにした。
 品書きは次のようである。[冷]ざる蕎麦945円、とろろざる蕎麦1155円、天ぷらざる蕎麦1575円、おろし蕎麦1155円、[温]かけ蕎麦945円、とろろ蕎麦1155円、天ぷら蕎麦1575円、鴨南ばん1680円、[他」蕎麦三昧3675円、蕎麦寿司945円、そばがき1050円、三種肴1050円、かも汁1050円、卵巻き945円、焼き鴨840円、天ぷら630円、胡麻豆腐525円。
 胡蝶庵でもう一杯を止めたので、もう1軒行くことに、店は「ダンチュウ」という雑誌に出ていた関市本町8丁目交差点のすぐ近くにある「そばきり萬屋町助六」である。今の主人は二代目、先代のときは町の「めん処」として、丼もそば・うどんも中華そばも、そして出前もやっていた。ところが先代が亡くなって店を継いでからは大改革をしたという。出前をなくし、中華そばを止め、うどんを止め、手打ちそば一本にしたという。以前の常連客は去ってしまったが、新しく石臼挽き自家製粉を始め、3年を経て新しいリピーターが付くようになったという。助六のそばはつなぎを入れているが、巾広の「円空鉈切りそば」が名物、これと美濃の酒とはウマが合うという。一度挑戦したいものだ。さて、目指す「助六」は見つかったものの、午後1時頃とて、店の中には立って待つ人もいるという程の満員、駐車場も満杯、雨降りでもあり、またの機会ということにして残念ながら引き返すことに。店の造りは前のままとて、一見何でもありのありふれた食堂という印象、でも中身は中々のものらしい。再見だ。 

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