次の2曲はハイドンの作品、初めにチェロ協奏曲第1番、この曲は1761年頃に作曲されたとされているが、発見されたのは200年後という曰く因縁つきの、しかもかなりの技巧を要する質の高い曲である。チェロを演奏したのは1984年グルジア生まれ、新進気鋭の弱冠25歳のジョルジ・カラゼ、多くの主要なチェロ・コンクールで入賞し、わけても2006年のエマニュエル・フォイアマン・グランプリにおいて一等賞と審査員賞を受賞してからは、とみに注目される若手演奏家として国際的な名声が高まったという。加えてギドン・クレーメル率いる楽団と共演していて、彼が使用しているチェロはその楽団基金から貸与されている1765年製のマンテガッツァだという。演奏は荒削りともとれる無類の大胆さで、高度な技巧で曲を苦もなく鮮やかに弾きこなし、観客を心底魅了した。ハイドンにこれほどの難曲があろうとは思いもつかなかった。とにかく実に素晴らしい演奏だった。将来カザルスやロストロポービッチのような巨匠になるかも知れない。初来日だという。とにかく演奏が終った後での拍手は、その質、量、大きさとも久方ぶりの凄さ、音楽堂全体が興奮の坩堝となった。アンコールの嵐はあのホセ・カレーラスのときに匹敵するものだった。OEKにはルドヴィード・カンタという日本でも十指に入るチェロの名手がいるが、彼の印象はどうだったろうか、感想を聞きたいものだ。ところで演奏者のカラゼは六尺の長身、演奏時の服装は黒の着流し風、一層スリムに見えたが、それがなんと私の三男坊と顔立ちも姿格好も歩く様もそっくり、あまりに似ているのでびっくりしてしまった。翌日の朝刊に彼の演奏スナップが載っていたが、家内もあまりの空似に正直口あんぐりだった。正に瓜二つである。彼の今後の大成を祈りたい。
ハイドンの2曲目は交響曲第60番「うつけ者」、通常は4楽章だが6楽章。それは付随音楽からの6曲を交響曲に転用したからとあった。その付随音楽の題名が「うつけ者」である。邦訳では「うすのろ」「うっかり者」「迂闊者」「うすら馬鹿」といろいろだ。この曲にはハイドンらしい茶目っ気あるハプニングがあり、第6楽章の冒頭にコンサートマスターが突然立ち上がって指揮者に何かわめいて噛み付くというとんでもない場面があることだ。これには驚いた。曲は何回か聴いているが、その場面を実際に見たのは初めてだった。アンコールも含めて終ったのは5時半近くだった。
〔むだばなし〕メンデルスゾーンをそのまま訳すると「メンデルの息子」となる。ということは、この姓の元の姓はメンデルということになる。メンデルといえば、あの「メンデルの法則」を発見したグレゴール・ヨハン・メンデルが有名であるが、メンデルスゾーン家はメンデル家の遠い昔の分家ということになろうか。
〔むだばなし〕メンデルスゾーンをそのまま訳すると「メンデルの息子」となる。ということは、この姓の元の姓はメンデルということになる。メンデルといえば、あの「メンデルの法則」を発見したグレゴール・ヨハン・メンデルが有名であるが、メンデルスゾーン家はメンデル家の遠い昔の分家ということになろうか。
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