2018年3月14日水曜日

冬眠明けの「やまぎし」を訪ねる

 今年の山岸さんからの年賀状には、「1月と2月は冬眠休業します」とあった。奥深い山奥のこと、さもありなんと思ったものだ。しかし山岸さんの家がある左礫のさらに奥5km の阿手にあった鳥越大日スキー場には以前よく通ったものだが、雪道だったものの車で十分行けたものだ。とすれば、今はスキー場こそないものの、左礫の上流には阿手を含め3部落あることから、積雪期とは言え、少なくとも道路の除雪はされているのではと思う。でも冬眠というからには、1月2月は交通の便はやはり悪いのだろうと思ったりした。
 ところで今年は半世紀ぶりともいえる大雪に見舞われ、立春寒波の折には、金沢でも一時積雪は87 cm にもなり、街中の融雪装置がない道路では除雪もままならず大変だったようだ。そして幹線道路も大渋滞、鉄道も在来線は運休で大混乱、ここ数年は暖冬で気が緩んでいただけに本当に往生した。それにしても北陸新幹線は平常通り運転していたのは驚きだった。我が家でも除雪というか、車2台のスペースの確保に連日汗を流したものだ。庭にはその時の雪の名残がまだ残っているものの、その残雪も3月半ばには無くなるだろう。
 こんな大雪だったものだから、山はもっと大変だったろうし、「やまぎし」も休業は1月と2月だけと言われていたが、ひょっとしてまだ開業は無理なのではなかろうかと勝手に憶測したりしていた。定休日は水曜と木曜なので、3月の第2週の9日に、やっているとすれば営業しているはずの 11 時に、念のため電話してみた。すると3月2日からやっていますととのこと。道路には雪もなく、来られるのには全く心配はありませんとのこと、それではと早々に家内と訪れることにした。
 道路に雪はないとのことだったが、念のため私の四駆のハイラックスサーフで出かけることに。私が住む野々市周辺には全く雪はなく、でも鶴来辺りまで来ると、路肩には雪が残ったりしている。道が大日川に沿って上流へ向かうと、道路には雪がないものの、周辺にはまだ雪が残っていて、別宮を過ぎると残雪の量も次第に多くなり、左礫辺りでは道路にこそ雪はないが、道端の雪の壁は優に1m は超えて
いる。後で聞いたところでは、降雪時には午前1回、午後1回除雪車が入ったので、車の運転には支障がなかったとのことだった。でも枝道は除雪されていなくて、山岸さんのところも玄関先は除雪されていたものの、奥まった駐車場は1m余の雪で埋まったいた。家から1時間ばかり、12時半には「やまぎし」に着いた。車が2台停まっていた。
 この日は山岸さんと末の妹さんの二人、お客は3人、今日は焼酎 (財宝) がないのでお酒にして下さい
とのこと、手取川を2杯貰うことに。そばは家内は「黒」の普通盛り、私は「田舎粗挽き」の普通盛り、そして「天ぷら」を2人前、酒以外はいつものコースだ。この時期天ぷらの具材は少なく、ありきたりのかきあげだったが、これはこの時期致し方のないことだ。ところで今日の蕎麦は加賀市宮地の産とか、「やまぎし」では北海道産も扱うが、宮地の方が味も香りも良いとか、家内は久々に美味しいそばを味わったと感激していた。私はいつものように岩塩をまぶし、酒を飲んだ。至福の時間だ。先客が帰り、久々に山岸さんと談笑した。窓が雪で埋まっていたが、つい3日前にやっと窓から空が見えるようになったとか。でもまだ雪は深い。
 午後1時過ぎになり、これまでも何度かこの時間帯に出会ったことのある N さんが御入来になった。マタギまがいの彼氏は大概ここ「やまぎし」で昼食をとるのが常らしい。まだこの辺りは一面雪だが、1カ所だけ雪が早くなくなる場所があり、今日はそこでフキノトウを採ってきたという。そこのフキノトウは他所と違って苦みが少なくて上品な味がするとか。そして彼が注文したのは「黒」の大盛りに特大の「蛍米のおにぎり」と「天ぷら」、すごい健啖家だ。昨年母親を亡くしてからはフリーで、今は四季を通じて山に入り、山菜採りばかりでなく、時に猪も捌くという。山には送電線の巡視路や植林の作業路を利用しているという。また山歩きは鞍掛山をホームグランドにしているようだし、スキーも大変上手だとか。また左礫の裏手の大日川と手取川の分水嶺である白抜山から鷲走ヶ岳にかけての山はホームグランドのようなもので、よく入るという。さらに驚いたことに、クロダイがある時期ある時刻にある気水域に上がることを知っていて、獲りに行くとか。活き絞めの技術も持っているとか。いろいろ面白い話を伺った。この間、家内は末の妹さんと談笑していた。
 午後2時に「やまぎし」を辞して、初めて別宮から軽海を経由して家に帰った。

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