2015年12月5日土曜日

「のとじ荘」と「そば」と「ジンベエザメ」(翌日)

11月23日 内浦海岸から能登島へ 水族館と「槐」
 翌朝は曇り空、淡く太陽が見えたが一時だけ、明るくなって風呂へ行く。今朝は入る湯は昨日と反転、私は大浴場へ、家内は露天風呂へ。この風呂の家内の印象はサインは V だった。さて私たちは毎朝NHK の連続テレビ小説を見ている。日曜を除く毎日、7時 15 分から NHK-BS で、既放映分と新放映分とを各 15 分ずつ放映している。ところで今放映している両方とも興味津々で、毎日かかさず観ている。もっともそれは現放映のドラマがたまたま興味あるからであって、いつもそうとは限らない。また現在放映の既放映のドラマは、私がまだ勤務していた頃のらしく、余り記憶にないこともあって、こちらも内心できるだけ観たいと思っている。しかしこの宿では BS 放送はなく、したがってこの日は8時から放送の現放映のドラマのみしか観られないことになる。そんなに執心するのなら録画すればよいのだが、でもそのレベルには達していない。それで食事は7時 30 分の予約、早々に済ませてテレビの前へ。何とも我ながら滑稽だ。
 チェックアウトは 10 時、9時半頃宿を出た。今日は時間もあり、曇り空だが雨は落ちていないので、久しぶりに内浦の海岸沿いに車を走らせることにする。能登半島周回の国道 249 号線を南下、恋路海岸を過ぎた辺りから海岸沿いの県道 35 号線へ、道路は狭いが、九十九 (つくも) 湾、小木港、真脇遺跡、遠島山公園を経て能登町宇出津へ、ここから再び国道に戻り、海岸桟敷の七見 (なごみ) から曽山峠を越えて中居湾へ、ここではボラ待ち櫓が見られる。穴水城跡がある小さな尾根を越えると、穴水の街に入る。ここ穴水湾は能登牡蠣の産地、至るところに牡蠣が食べられますという看板が乱立している。穴水から国道を七尾へと南下する。能登大仏、桜のトンネルで有名なのと鉄道の能登鹿島駅、能登小牧台を過ぎると、道の駅なかじまロマン峠に着く。ここから能登島へ渡る。
(1) のとじま水族館
 時間はそろそろ正午、能登中島と能登島を結ぶツインブリッジのとを渡り能登島へ、当初は向田でそばでも食べて水族館へと思っていたが、家内は腹がへっていなくて食べられないかも知れず、あんただけ食べればとの御託宣、せっかく紹介したいと思っていたのにこの口上、それでは先に水族館で腹ごな
 ししようということに変更した。前に来たのは随分昔のこと、あの頃は今は目玉にもなっているジンベエザメは居なかった。駐車場から随分歩いて入口へ。入ってすぐに「ジンベエザメ館 青の世界」、青い照明の巨大水槽、大きなのが2尾、成長すると 10m を超えるとか、一度大きくなり過ぎて海へ返したと
いう記事を読んだことがある。シュモクザメやエイ、ほかにもアジだろうか小魚の群れも見えている。初めは大水槽を上から、徐々にらせん状に通路を下へ下がりながら見られるようになっている。次の「回遊水槽」では、ブリ、シマアジ、ヒラマサ、カンパチ、それにマダイの遊泳が観られる。多くのいろんな環境での魚が観られる幾つもの水槽が並んでいて、実に楽しい。また以前にはなかった「クラゲのアート」には、沢山の変わったクラゲが飼育されていた。次いで「イルカたちの楽園」という光が射し込むトンネルがある大水槽、七尾湾にもいるというバンドウイルカやマゼランペンギンの遊泳をトンネルから見上げて観ることができる。さらにゴマフアザラシの水中遊泳、愛嬌のあるラッコ水槽やコツメカワウソの水槽、約1万尾のイワシの群泳など、以前にはなかった展示に感嘆した。
 午後1時から「イルカ・アシカショー」があるというので、ショーが観られる観覧席へ行く。初めにカリフォルニアアシカの素晴らしい演技、よくぞ仕込んだものだ。大喝采である。次いでバンドウイルカとカマイルカ3匹のショー、あの豪快なジャンプもさることながら、お客さんから投げられた輪を上手に受け取る仕草など、なかなかの頭脳だ。久しぶりに童心にかえって、海や川の生き物たちと向き合えた。
 (2)  生蕎麦 槐 (えんじゅ)
 午後2時近くになり、水族館を出て向田に向かう。ここは旧能登島町の役場があった場所、県の職員であった頃に何回か訪れた。目的のそば屋の「槐」はもう2度も訪れているので、難なく行けると思ったが、見当たらない。旧役場まで走り、これでは行き過ぎと、ここでナビを入れる。電話番号では駄目で、番地を入力すると、600 m 戻りなさいとの指示、今度は例の小さな表示を見つけて、どうにか着いた。すると玄関には「今日のそばは終了しました。またのお越しを」との張り紙、駄目もとで中へ入って尋ねると、更科と変わりそばが少しありますとのこと、それを頂こうと部屋へ上がった。先客が1組いた。奥さんでは更科が 1.5 人前 (1回分)とあと変わりそばが少々あるとのこと、今日は中島菜切りですと。それで更科と中島菜切りをもらうことに。変わりそばは更科を打つ店でないと出せない品、どうして打つのかと訊くと、ミキサーで粉砕して加えるとかだった。中島菜は地元の産である。暫くして、珠洲焼と思しき菊縁の丸い皿に簀の子を敷き、そこにてんこ盛りにした更科と中島菜切り、両方とも 1.5  人前のうず高く盛られたそば、更科は細くて白く、変わりそばは更科よりやや中細の濃い緑色、芸術品の風格がある。更科には蕎麦の香りはないにしろ、口にすると喉に滑り込んでゆく感じ、また中島菜切りは、菜の新鮮な香りが鼻を楽します。二人で半分半分ずつ食した。この変わりそばはお品書きには記されていない。家内はもう一つ頼もうという。異論はない。訊くと変わりそばならありますという。家内はつい2時間前にはお腹が減らず、食べられないかもとのことだったが大変身、結果として 4,5 人前を食べたことになった。満足して外に出た。
 (3) 道の駅/能登食祭市場
 槐を出たのが午後3時近く、向田から県道を南下し、島の南岸を西へ、そして能登島大橋を渡って和倉温泉へ、そして能登食祭市場へ向かう。県外ナンバーの乗用車やバスも見受けられる。市場は人でごった返していた。この時期ズワイガニや香箱が目立つ。私は酒のつまみに黒づくりと場違いな白山市美川のフグの身と真子の糠漬けを求めた。こうして能登への二人の旅は終わった。

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