2014年7月29日火曜日

6度目の満山荘と3度目に「ふじおか」(その2)

(承前)
 家内が務めている病院で、料理が上手な看護師に、今度出かけて泊まる満山荘という宿は、夕食に創作料理が出るので有名だと話したところ、ぜひその料理を写真に撮ってきてほしいと頼まれた。あそこの夕食には大概「献立表」が付くし、食事の時には簡単な説明もあるので、出来るだけ期待に沿いたいと言った。テーブルは個々の部屋毎になっているが、仕切りはあったりなかったりする。私たちは丸テーブルに並んで腰掛けた。飲み物は予め申し出てあって、私たちは地元小布施のワイナリーの赤 (メルロー) のフルボトルをお願いしておいた。テーブルで若主人が開栓してくれた。出されたグラスはブルゴーニュ風だった。以下に出された献立名を「  〕内に記し、解説を加えた。

「北信濃風 夏の献立」
● 白磁の大皿に4品が配置され、開いた空間に、赤・黄・オレンジのジュレが置かれる。
「食前酒」:透明な小さなグラスに、茶色の液体が入っている。クコ酒だろうか。大皿の左上部に置かれている。
「生湯葉 クコ 柚子胡椒」:厚手の角のグラスに生湯葉が入り、上に枸杞の赤い実と柚子胡椒が載っている。大皿の上部右手に配置され、その下に、ゼリーの小さなブロックが。
「信州サーモンのコンフィー 塩糀 アロエヤングリーフ シーサラダ」:サーモンを緑色のヤングリーフで囲むように包み、上にシーサラダが載せてあり、大皿の中央左側に置かれ、下側に塩糀が添えられている。
「地物野菜他とピクルスなど」:薄口切りにした野菜等を、ランダムに、中央右手に斜めに線状に引かれたオレンジ色のジュレの上の、下方3分の2に盛り散らされている。材料は、しめじ茸、赤ピーマン、胡瓜、豌豆、セルリ、白うど、人参、甘藷、コーンなど。そして上方の3分の1には、自家製のピクルスが盛られている。
「ビーツとパブリカのソース、バーニャカウダーしょう油ジュレ」:大皿の中央に赤いジュレが茄子型に、黄色のジュレが右下に逆茄子型に配されている。
● 陶器の高杯が、黒い木製の板皿にスプーンを添えて置かれる。
「牛乳豆腐 柚子味噌」:高杯に牛乳豆腐が茶巾絞りにして入れられ、真ん中頂きに柚子味噌が添えられている。
● 浅い片口の白磁の鉢が、黒い木製の板皿にスプーンを添えて置かれる。
「十六穀米スープ ドライベジタブル」:十六穀米の粥が入れられていて、上に乾燥野菜の砕片が散らされている。
註:五穀(米・麦・粟・黍もしくは稗・豆)は成句としてあるが、十六穀米はない。しかし商品としては販売されていて、あるメーカーでは次の表示がされていた。精白米・もち玄米・青玄米・胚芽押し麦・裸麦・もち黒米・もち麦・ハトムギ・もち赤米・たかきび・大豆・小豆・ひえ・もちあわ・青大豆・黒千石大豆・とうもろこし。 
● 藍鼠色の釉薬を施した浅鉢に、天ぷら敷紙が2枚敷かれていて、揚げたての天ぷらが順次運ばれて来る。熱いうちに味付け塩を振って食べる。
「夏の天麩羅 万願寺甘唐 スティックブロッコリー 白れい茸 (エリンギ?)   まこも筍 信州りんご」:以上の5種が一口大の大きさに切り分けられ、衣を付け、揚げられている。
● 白磁の大皿の中央に、4段に積み上げられた料理があり、頂に外見が人参風のものと香草が載せられている。皿の右手にはナス型の金属のボールが置かれ、クリームチーズと木苺ソースが入っている。
「大岩魚のジェノバ風ソース 長芋・椎茸・ミニキャロット」:ソースの上に、輪切りの長芋、椎茸、揚げた岩魚の身、その上に揚げた葉柄が付いたミニキャロット、そして頂に香草が置かれる。
「びわの生ハム卷き クリームチーズ 木苺ソース」:クリームチーズと木苺ソースが入った金属のボールに、枇杷の生ハム卷きが載っている。
● 漆塗りのお椀にお吸い物。
「牛ヒレと冬瓜のお吸い物 独活 人参 ディル」:お椀の底に牛ヒレが沈んでいて、その上に極細に千切りにした独活と人参、それにディル (ヒメウイキョウ) が散らされ、透明な吸い地が張られている。
● 秘湯ビールを追加注文。信州の温泉ではよく出される。
● 浅い鉢に入った茶碗蒸し。蓋はない、蒸しとなっているが、オーブンかも。
「チーズの茶碗蒸し トマト ねぎ」:とろけたチーズの上に、乱切りのトマトとざく切りした青葱が散らされている。赤と緑のコントラストが良い。
● 緑色の釉薬を施した片口に、木杓子が付いている。
「野沢菜茶漬け」:野沢菜のお茶漬けが入っていて、煎り米が浮かべてある。
● 真ん中に凹みがある凸状になった円盤状の白磁の中皿。凹みに品が入っている。
「りんごあいす りんご赤ワイン煮 マンゴーヨーグルトソース」:凹みにマンゴーヨーグルトを敷き。その上に林檎の赤ワイン煮、それに緑色の香草と紫蘇粉を散らした林檎アイス、皿の部分にも上と下に線状に紫蘇粉が散らされている。
「平成二十六年七月十七日 料理 明子」 印   以上が墨書されている。

食事を終えて館主の文四郎さんに会い、件のことをお伝えし、部屋へ。程よい酔い加減とあって、これ以上飲みもせず食べもせず、しばし寛ぐ。曇り空だが、眼下には長野市街が明るく光って見えている。室温はエアコントロールで快適、風呂は明朝5時に入ることにして、就寝する。今回はベッドだった。
 翌朝5時に交換された桧風呂へ行く。まだ誰も居ない。天候は曇り時々雨、時に強く降ると一切周囲が白く閉ざされ、何も見えなくなる。風呂は昨日の岩風呂よりこちらの方がずっと居心地が良い。露天風呂の屋根の庇の下にイワツバメの巣があり、しょっちゅう燕が出入りしている。糞が落ちないように大きな受け台が設えてある。半時近く風呂に居て、部屋へ戻る。その途中の渡り廊下から、湯殿の下辺りの巣に出入りするキセキレイ?が数羽いるのが見えた。初めてのことだ。そういえば、昨晩は狸と遭遇しなかった。来なくても食事は取れるのかも知れない。交代で家内は岩風呂へ。
 今日は本命の「蕎麦ふじおか」へ、うまく辿り着けるだろうか、心配だ。朝食は8時から、すんなり行き着く自信がないので、朝食後すぐに出かけることにする。家内は風呂で夫婦共に蕎麦大好きの方に会ったとか、家内が今日これから「蕎麦ふじおか」へ行くと言ったら、ぜひ何時か行きたいとのこと。それで、朝食のときに「ふじおか」への案内の略図を上げると約束したとか、東京の方だったという。
 朝食はバイキング形式、もう皆さんお集りだ。取りあえず、6つに仕切られた陶器のトレイを持ち、順に取り分ける。品数は30種位。夕食と違い、自家製の品は少ない。バイキングの常として、どうしても余計に取ってしまう。私がチョイスしたのは、トレイに、卵巻き、焼いた鮭の切り身、岩魚の甘露煮、アスパラとベーコン、ウインナーソーセージ、きゃらぶきの6種、ほかに生ハム、ゆで卵、ヨーグルト、焼き海苔、それに白御飯と豆腐とナメコの味噌汁。家内のトレイには、梅干し、ひじき、ベーコン・アスパラ、生ハム、岩魚の甘露煮、鮭の切り身が載っている。それにヨーグルトと御飯と味噌汁。二人用に、野菜(トマト、胡瓜、紫キャベツ)の盛り合わせ、果物(西瓜とメロン瓜)、飲み物に、オレンジジュース、牛乳、コーヒー、実に盛り沢山になった。近頃は二人とも比較的少食になっているのにこの量、当然残すことは憚られ、最後には詰め込むような羽目になった。今後は心しなければならない。これから本番の「蕎麦ふじおか」を控えているのにである。何とも不用心だった。

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