2011年1月20日木曜日

子うし会で私に発芽玄米を勧めた畏友河野君

 昨年の小・中学校の同窓会「子うし会」に、河野君は還暦の集まり以来12年ぶりに出てきてくれた。彼は明治乳業研究所にドクター研究員として、また定年後も顧問として多忙な日々を送っていたこともあって、中々時間を取れなかったようだ。65歳で退職した後もアドバイザーとして関わっていた。彼の父はNHKの技術職員で、当時野々市町にあったNHK送信所の所長として赴任し、彼は中学校へ転向してきた。その頃の野々市町というとまるで田舎、会社は少しはあったものの、いわゆる転勤族はないに等しく、したがって彼のような類の転校生はいなかった。一見都会風な容貌、頭がよく、絵が上手かった。私達などはその高い送信塔によじ登って叱られた類の悪童で、その点では質が違っていた。
 私達の小・中学校の同窓生は、そのほとんどが昭和19年に野々市町国民学校に入学し、昭和24年に野々市小学校を卒業し、昭和27年に野々市中学校を卒業している。中には中学校を国立や私立へ進学した者もいたが、大概は小・中とも同じ顔ぶれだった。ただその頃は、旧三馬村横川出(弦金沢市横川1丁目)の児童・生徒が野々市小・中学校に寄留していて、一学級は合わせて50名ばかりであった。
 同窓生は、昭和11年(子年)と12年(丑年)生まれなので、会を「子うし会」と名付けた。現在名簿には男28名、女26名が載っているが、他界したのが男7名、女4名、消息不明が男に2名いて、現在連絡可能な会員は、男19名、女22名となっている。もう歳も古稀と喜寿の間とあって、同窓会は毎年、地元と遠所とで交互に開くことにしている。
 昨年は地元開催の年だったが、何故か福井県の芦原温泉でということになった。集まる人数は、近場では20名ばかり、遠出では15名が限度、皆さん持病があり、たまさか元気でも、添いや親の面倒を見なくてはならない人もいて、ままならない。河野君も現役の頃は多忙で出席できず、若干余裕が出てきたと思ったら「慢性炎症性脱髄性末梢性神経炎」という難病になり、入院加療を余儀なくされたとか、今度も参加は駄目だろうと思っていたら、少しよくなったので杖を頼りにそろそろと出掛けますと電話連絡があった。そして最後になるかも知れないとの心細い参加だった。会って、私も十病息災、糖尿病もあると話していたら、彼は島根県のJA雲南のアドバイザーもしていて、そこで発芽玄米を製造・販売している有限会社ソーシンの社長もしているとかで、サンプルを送るから試してみたらと言われた。また愛知県でフィールド実験も行ったことがあるとかで、その文献も送ろうと言ってくれた。次にその文献の概略を抜粋する。

 閑話休題
[発芽玄米摂取による糖・脂質代謝への影響]
1.JA雲南での発芽玄米の製法
 家庭でも浸水した玄米を芽出しして食することは可能だが、これを商品化しようとすると、通常この発芽状態では、細菌がg当たり100,000~1,000,000個に増えているので、この細菌数を1,000個以下にするためには加熱殺菌処理後乾燥しなくてはならず、するとどうしても栄養価の低下や澱粉のα化が起きる。JA雲南では芽出しでの雑菌の繁殖を抑えるため、発芽はL型乳酸を用いた乳酸バッファ(pH3.5)環境条件下で行うので、雑菌の繁殖が抑えられ、発芽後は水洗浄のみで次の乾燥工程に入ることが出来る利点がある。製品の水分含量は約16%、細菌数は1,000個/gであるという。
2.白米と発芽玄米との成分比較
 両方を比較すると、エネルギー、たんぱく質、炭水化物では同じだが、発芽玄米の方が、脂肪で3倍、食物繊維で5倍、GABA(γーaminobutiric acid)で8倍多い。
3.2型糖尿病患者への摂食投与
 愛知県内の3病院に入院中の糖尿病患者30名を対象に、白米と発芽玄米を1:1に配合したものを炊飯し、1日1合、3ヶ月間喫食してもらった。
4.結果の概略
 ①糖代謝への影響:空腹時血糖値に変化はなかったが、グリコHbA1cは有意に低下した。
 ②脂質代謝への影響:中性脂肪、LDLコレステロールは低下傾向、HDLコレステロールは上昇傾向。
  LDL/HDL比は有意に低下した。
5.結 論
 2型糖尿病患者に発芽玄米を3ヶ月摂取してもらったところ、糖代謝と脂質代謝が共に改善された。

 次に彼から提供されたJA雲南の発芽玄米3㎏を食した私の体験について記載する。
1.食事方法
 白米と発芽玄米を同量混ぜたものを1日2合、週5日喫食した。すると延べ5週間続けることができた。他の食事習慣は通常どおりである。
2.結果の比較
 私が勤務している石川県予防医学教会での夏季健診での結果の数値で比較した。対照は平成21年7月30日の結果、発芽玄米を5週間食した後の結果は平成22年7月30日のものである。比較は糖代謝と脂質代謝に限って行った。結果は次のようだった。
・随時血統:基準値(139 ㎎/㎗以下):前年 102:今年 81:増減 21減。
・HbA1c:基準値(4.8~5.8 ㎎/㎗):前年 6.4:今年 6.2:増減 0.2減。
 糖代謝への影響では、随時血糖、HbA1cとも減少した。
・LDL-c:基準値(80~140 ㎎/㎗):前年 139:今年 129:増減 10減。
・HDL-c:基準値(40~65 ㎎/㎗):前年 53:今年 64:増減 11増。 
・中性脂肪:基準値(50~150 ㎎/㎗):前年 76:今年 70:増減 6減。
 LDLコレステロール、中性脂肪は減少、HDLコレステロールは増加した。
・LDL/HDL比:前年 2.21:今年 2.01:増減 0.20減。
 LDL-cの減、HDL-cの増の結果、比は減少した。
3.評価とその後の対応
 随時血糖値の減少は全く評価できないが、他の項目の増減は有意検定をできないので正確な評価はできないものの、喫食期間が5週間と短かかったにもかかわらず、先のフィールド調査の結果に類似した傾向を示した。この結果は河野君へ報告した。
 この結果に対する家内の意見は、もし今後も発芽玄米を食するのなら、何も遠い出雲から取り寄せなくても、近くで市販のものを求めたらとのことだったが、彼からはもっと続けたらと3㎏3袋送ってくれたので、現在のところそれを継続して喫食している。

 [私見を交えた考察]
 近頃、健康のために玄米を食する傾向はあるものの、匂いとか焚きにくさ、食感がよくないこともあって、普及はイマイチである。しかし発芽玄米は、炊きやすく、かつ白米とも混ぜて炊いても問題なく、半々でも違和感はない。でも市販の発芽玄米の流通は多いとは言えない。ただ発芽玄米に限れば、加熱殺菌しないJA雲南の製品ならば、栄養価の熱による損失もなく、健康食としては理想的であろう。
 ところで、成分としては玄米と発芽玄米とではどんな差があるのだろうか。文献的には唯一GABAのみが玄米よりも多いようだが、これがグリコヘモグロビンの改善に関与しているといっても、玄米との比較で有意な差が出るのだろうか。もし効果に大きな差がないとすれば、加工した高価な発芽玄米を用いずとも、多少のデメリットさえ辛抱すれば、未加工の玄米でもよいような気がするが、どうであろうか。
 
 

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