4月に入って、日に日に温かさが増し、陽が照っている所にいると、暑いと感じたりする昨今、桜の開花が聞かれるようになった。家には,以前は大きな桜の木が2本あったが、枯れてしまって今はなく、家で花見はできない。4月1日、何となく陽気に誘われ、庭を回り、この時期どんな花が咲いているかをメモってみた。ランダムである。木本では、ツバキ、ヒサカキ、アオキ、アンズ、ウメ、シナレンギョウ、ヒイラギナンテン、トサミズキが咲いていて、杏、梅、支那連翹、土佐水木は満開、椿は次々と咲いている。その他の木も満開なのだが、花は余り目立たない。ただヒサカキだけは腐敗臭がするので、すぐに咲いていると分かる。
次に露地に咲いている草本についても記載した。このうち、いわゆる帰化植物には、植物名の後に (外) を付した。ここでいう帰化植物とは、清水健美編の「日本の帰化植物」に収載されている植物で、その定義としては、(1) 人間の活動によって、(2) 外国から日本に持ち込まれ、(3) 日本で野生化した植物で、この本では、安土桃山時代以降に渡来した植物を対象にしている。また園芸栽培植物で露地に繁茂している草本には (栽) を付した。以下ランダムに記載する。ヒメリュウキンカ (外) 、ダッチアイリス (栽) 、フキ、アメリカスミレサイシン (外) 、ヒメオドリコソウ (外) 、ミスミソウ・ユキワリソウ、スイセン、タネツケバナ、カンスゲ。この内、ヒメリュウキンカの鮮やかな黄色とダッチアイリスの薄紫色はよく目立つ。後者は3月中頃から咲き始めていて、花期はもう終わりである。
● トサミズキ(マンサク科 トサミズキ属)
40年以上も前に、植木市で買ってきて植えたもので、花が愛らしい。高知県に自生するのでこの名前なのだが、家の裏庭では株立ちして繁っている。植木屋さんには雑木と目に映るのか、黙っていると刈り込んでしまう。すると翌年は花が咲かない。3月中頃、まだ葉が出る前に、淡黄色の花苞ができ、やがて穂状の花序を垂らし、淡黄色の花を7〜8個付ける。昨年は難にあって花が見られなかったが、今年はかなり花が付いた。これと近縁のヒュウガミズキが庭に植わっているのを時折見かけるが、こちらは日本海側の石川・福井にも分布している。黄色の穂状花序に花は1〜3個しか付かないので、前者との違いは明瞭である。
● ヒメリュウキンカ(キンポウゲ科 キンポウゲ属)
在来種のリュウキンカ (リュウキンカ属) とは外観が極めて似ているが、別属である。原産地は北アメリカで、野生化したものは、日本では1997年に初めて山形県で発見された。第二次大戦後に観賞用に鉢植え栽培されたものが野生化したものだが、その繁殖力には目を見張るものがある。夏から冬にかけては地上部は枯れ、雪解けとともに芽吹き、中型の黄色い花を咲かせる。少し乾燥した土地でも繁茂している。他方、リュウキンカは山地の沼地や湿地に自生していて、よく山ではミズバショウと混生している。白山では南竜ヶ馬場から別山へ行く途中、一旦赤谷に下りるが、そこにはリュウキンカが群生している。また白峰から鳴谷山や砂御前山へ登る途中、この2峰を繋ぐ尾根へ上がる手前の鎧壁との間の湿地には、ミズバショウとリュウキンカが一面に群生している。
● ミスミソウ/ユキワリソウ(キンポウゲ科 ミスモソウ属)
石川県では輪島市門前町の猿山岬近くの山林での群生地が有名である。和名の由来は、葉の形の三角 (みすみ) に由来する。この別品種に、スハマソウやオオミスミソウがある。雪が残っている頃に咲き出すので、雪割草ともいう。花弁のように見えるのは蕚片で、花の色は白色や淡紫色である。5年位前に、能登の時国家で求めたももので、毎年花を付ける。
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