2018年2月27日火曜日

平成30年 (2018) 2月17日 (土)

 2月9日から17日間の予定で平昌冬季オリンピック大会が始まった。小生今はサンデー毎日の身、振返って17日間毎日テレビにかじりつき、オリンピックを楽しんだことになった。でもこの間50年ぶりともいう強烈な立春寒波に見舞われ、延べ8日間は老骨にむち打ち除雪に精を出さざるを得なかったりもした。家内もよく協力してくれた。これは一つには足としての車を動かせるようにするためで、家の前の奥行ある敷地内を除雪すれば、前の道路は融雪装置が完備しているので、その点は細い路地に面している家とは違って、格段に雪の恐怖は少なかった。それにしても久方ぶりの大雪にはシッペコイタ。
 ところで2月17日 (土) は、オーケストラ・アンサンブル金沢 (OEK) の第2ヴァイオリン首席奏者の江原千絵さんのヴァイオリン・リサイタルの日、お正月の年賀の挨拶にもお知らせがあり、ぜひ出かけねばと思っていた。彼女が金沢へ来られたのは OEK の設立間もない時、もう25年が経過している。そしてまだ来沢されて間もなくだったろうか、永坂先生の事務所で米田さんや前田さんらと団欒したこともあり、OEK の定期演奏会では4列23番という彼女とは指呼の間の席 (現在は10列10番) に陣取って演奏を聴いたものだ。というのも彼女の言では、ステージから聴衆を認識できるのはせいぜい8列までと聞いていたからだ。彼女は大学卒業後はハンガリーに留学し、コヴァーチ・デーネシュに師事した。一度師が金沢へ来られた折には、師とデュオでヴァイオリン・リサイタルを開かれたこともあった。バルトークやコダーイの曲だったろうか。そして今年のお正月の年賀を兼ねた案内には、師が最も得意としていた曲の一つのバルトークの無伴奏ヴァイオリンソナタと「44のソナタ」を弾きますとあった。そして最後の添え書きに、「オーケストラの室内楽のコンサートでは、誰でも知っている簡単な曲をとよくリクエストされますが、敢えて自主企画では『弾きたい曲だけ弾く』選曲にこだわった」とあった。
 さて私のスケジュール表には、金沢アートホール (304 席) でのリサイタルは午後2時半と記されていた。またこの日は泉丘高校同期有志の会の「湧泉会」が金沢ニューグランドホテルで開催されることになっていた。この例会は午前 11 時半から昼食を兼ねて午後3時半頃までダベルのが常なので、2時少し前に退出してリサイタルに向かう予定にしていた。ところでこの日は丁度オリンピック開催 10 日目で、羽生結弦の金メダルがかかったフィギュア男子のフリーの決勝の日、最も期待がかかっているだけに、私は先ずこれを最優先にすることにした。滑走順の予定時刻は午後1時43分、それで今一度入場券を確かめた。するとリサイタルの開演は午後3時、それで結果を確かめてから駆けつけることにした。結果は第1位、前回オリンピックに続いての2連覇、こんな快挙は66年ぶりという。見届けてから会場へと車を走らせた。開場の2時半前にはホールに着けた。会場へのエレベーターでは寺田先生に、ホール前では永坂先生、早川先生、前田さん、米田さん、松田さんほか探蕎会の方々とお会いした。私はその結果を皆さんに報告したものだ。ところで早川先生から片岡さんという青年を紹介された。という彼は私とは1日早い生まれの従姉の長男さんだとか、初めてお目にかかった。奇遇だった。彼は早川先生が施設長をされていた医学部の動物実験施設に勤務されているとか、びっくりした。聴けば野々市に
ある私の家にも寄られたことがあるとか、正に驚きだった。会場でも隣どうしに座りいろいろ懇談できた。
 定時に開演、先ずエルガー作曲/藤家渓子編曲の「愛の挨拶」、よく知られたポピュラーな曲だが、ソロヴァイオリン用に編曲されると元の雰囲気とは全く異なる曲になる。次いでシュニトケのフーガに続いてデュオでの Moz-Art、一度 OEK で聴いた記憶があるが、モーツアルトの旋律に則っているとはいえ全く別の代物、これは弾いている人が快感を味わっているのではと思わせる曲だった。そして江原さんが作曲を権代淳彦さん ( OEK の 2004 年のコンポーザー・イン・レジデンス 及び 2014 年のコンポーザー・オブ・ザ・イアー) に委嘱して作曲してもらったという「今も死の時も」という世界初演のヴァイオリンのソロ曲、前衛的だ。そして藤家渓子さん ( OEK の 1998 年のコンポーザー・イン・レジデンス)が編曲したトスティのアヴェマリア、これも前衛的だ。休憩を挟んでバルトークの「44の二重奏曲」から12曲、面白いが、これはむしろ演奏者がその演奏を楽しんでいるように思えた。そして最後は名演奏家メニューインからの委嘱でバルトークが亡くなる前年に作曲されたという「無伴奏ヴァイオリンソナタ」、演奏時間は25分ばかり、私は初めて聴く曲だった。この日の演奏はすべて譜面を見られての演奏、難曲ともなれば正確を期すには必要かも知れないが、難曲であってもソロで弾くのなら見ないで弾く方がずっとスマートだ。アンコールはなかった。でも難曲ついでに、こちらはポピュラーなサラサーテのツィゴイネルワイゼンでもアンコールに応えて演奏して頂けたら満足だったのだが。演奏後に彼女に会えるかと思っていたが叶わず、何か消化不良になったような気分になり、26日の OEK
次期芸術監督に就任するマルク・ミンコフスキーのコンサートを聴きたくなりチケットを求めた。
 帰りに迎えの車の中で、家内からこの日行われた第 11 回朝日杯将棋オープン戦で、初参加の15歳の藤井聡太五段が準決勝で羽生善治竜王、決勝で広瀬章人八段を破り優勝、六段に昇格したと告げられた。居並ぶ棋士たちが脱帽する華麗な決め手だったという。